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短編小説

3
長いお話はお話が破綻してしまうので極短編集を書いています。
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ぼくらの失敗

ぼくらの失敗

 ぼくらの失敗ってなんだ?
 そもそもぼくらってなんだい?
 ぼくはらって誰と誰のことを言っているんだい?
 ぼくたちじゃなくてどうしてぼくらなんだい?

「だからって、そんな風に言われてもねえ」
「ぼくとしては、ぼくの手違いでもないのに連帯責任のように言われるのは心外なんだよ」と佐川順平はいった。

「あなた佐川君、あなたみたいに自分は関係ない風を装っているけど、そももそもこの案件は佐川君が提唱

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とある寿司屋にて

とある寿司屋にて

「お客さんどうしましたか」
「はぁ?」と客は声をかけられてカウンターの中にいる人を見た。

「おや、これは寿司屋に来てたのか」お客さんどうしましたかと声をかけられた男は、ちょっとの間に呆けたようになっていたみたいだ。

「あっいや、大将、呆けっとしちゃってすまないね」

「へえ、目がなんとなく泳いでいた感じですよ、本当に大丈夫ですか」

「どうしやす、なんならお帰りになりますか?」嫌味ではなく、カ

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明美という女

明美という女

 明美は言った。
「マスターって、私の兄に顔がそっくりなのよ」
「お兄さんにですか、そうですか?」
「まあどこにでもあるような平均的な顔ですからね」


「それよりもあけみさん、どうですか今度私とエッチしませんか」とマスターと呼ばれた男はそう続けた。

「お兄ちゃん似てるから嫌」即座に明美はそう切り替えした。
「近親相姦みたいで燃え上がるんじゃないですか」なんてゲスなことマスターはアケミという

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