反証可能性の大切さ

「反証可能性」とは、ある仮説に対して「○○であれば、この仮説は誤りである」と言える可能性があることを指します。

これは言い換えれば「仮説を誤りだと認める条件が存在する」と言うことです。
そのため、ある仮説を否定したい人は、反証の条件を満たすものを示しさえすれば、その仮説を否定することができます。


逆に、反証可能性が存在しないと言う場合は、何を言っても、何を示しても、相手の仮説を否定できないことになります。

そのため、反証可能性が無い意見で話し合いなどをしてしまうと、いくらでも言い逃れが出来てしまい、泥沼になってしまうような場合があります。


例えば、有名なものでは「世界五分前仮説」と言う考え方(思考実験)があります。

単に「世界は5分前に創造された」と言う仮説であれば、「5分より過去の記憶」や「5分より前から世の中に存在するもの」を示すことで否定できます。

しかし、「世界五分前仮説」では、「5分より過去の記憶や、5分より前から世の中に存在するように見えるもの、それらすべてを含めて、5分前に創造された」と言う説を取ります。

本当に神様(?)が、このような記憶や歴史などすべてを、丸ごと5分前に創造したのであれば、「5分より過去の記憶」や「5分より前から世の中に存在するもの」を示しても、「世界五分前仮説」は否定できません。

このように、どんなに「世界は5分より前から存在したのだ」と主張しても、必ず「その証拠も丸ごと5分前に創造されたのだ」と反論することが可能です。

この反論自体には根拠は無いので「世界五分前仮説」が正しい事を証明することは出来ませんが、同時に、誤っていることを示す方法も無い=反証可能性が無いので、誤りだと証明することも出来ません。


こうした正しいとも誤っているとも証明できない、現実の証拠に論拠を持たない仮説はいくらでも作ることが可能です。

だからこそ、もし話し合いなどで、客観的に説明できる根拠が欲しかったり、後で検証して誤りがあったら修正していくような在り方を望むのであれば、「この仮説の反証可能性はあるか?」、「あるならばその条件は何か?」を明確にしておくことで、意義のある意見を交わすことが出来るのだと考えます。

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