不安を具体的な恐怖に変えたなら

「不安」と「恐怖」の違いを端的に表した説明として、「不安は具体化されていない恐怖」と言う言葉があります。

直面するのを避けたり、何が気になるのかをはっきりさせないでいる問題があると、それは漠然とした不安として心の内側に留まり続けます。
そこで、不安な気持ちを無視せず、忘れたり逃避しようとせずに直視すると、それは具体的な対象を持った恐怖へと変わります。


これだけ見れば、精神的には悪化したように見えるのですが、具体的な恐怖に変える事でプラスになる事もあります。
それは、問題の対象が具体的になったことで、対策も具体的に取れるようになると言う事です。


例えば、音楽の演奏でも、単に「難しそうだ」とか「できそうな気がしない」と言うような不安の段階で気持ちを止めてしまうと、それは不安のまま、単に見ないようにしたり、嫌な気持ちのまま我慢するしかなくなります。

しかし、そこで「サビのバッキングのこの部分のフレーズが難しい」とか、「Bメロのコード進行が覚えられない」などのように、具体的な問題として表に出してしまえば、それは明確な攻略対象に変わります

その問題が10個でも100個でも、リストアップしてしまえば、その時点で訳の分からない不安ではなくなるはずです。


さらに、そうして表に出した問題は、もし恐怖なのだとしても、他者に伝えられる状態になっています
それであれば、相談することも出来るかもしれませんし、同じ問題を乗り越えた人の解決法を真似られるかもしれません。
100点を目指せば難しくても、実は合格点は80点の問題なのかもしれません。
一気に解決するのは怖くても、いくつかに分けて少し乗り越えていけるかもしれません。


漠然とした不安を、具体的な恐怖に変える時は覚悟がいるかもしれませんが、そこを乗り越えたら、具体的な対策、解決、協力、などに辿り着けるでしょう。
そうした道筋が見えることは、つまり、対象への恐怖が、対象を克服する希望に変わると言う事だと考えています。

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