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2022年 第33節 アビスパ福岡vs柏レイソル レビュー

試合内容




開始4分、これまでの試合であれば得点よりも失点を心配する時間帯。山岸が粘ってフアンマがサイドへ展開、走り込んだ志知が持ち上がり中央を確認してマイナス方向へクロス。走り込んだ山岸が右足を合わせて先制点を奪うことに成功した。
このゴールは結果的に、サッカーにおいての1点の重み以上に効果があったと感じている。この得点から前半を通して、筆者の頭のなかには「すべてを飲み込め」という言葉があった。前線からパスコースを限定し最後は強度が武器のDF陣が奪いきってしまう守備、1万人を超えるサポーターのハリセンを使った特大の手拍子、それが屋根を通して反響するベスト電器スタジアム、それを背に湯澤のクロスにフアンマが完璧に合わせた2点目。
まるでアビスパ福岡に関わる、現地にいるすべての人のパワーが、レイソルを飲み込んでいるように感じたのだ。
結局前半はシュートを1本も許さず、スコアは2-0。100点満点の前半だったといえるだろう。
ただハーフタイムを挟み、百戦錬磨の敵将・ネルシーニョ監督はシステムとメンバーを変更。噛み合わなくなったことに対して修正するまもなく、1点を返されたことは要改善だ。
ここからは前半のような神通力を感じることはなかったが、長谷部監督が積み上げてきた守備の粘り強さを発揮。
途中出場の小屋松と真家にチャンスに絡まれはしたが、決定機を作られることはほぼなく、後半アディショナルタイムの+6分まで耐え抜くことに成功した。
前半の内容はもちろん、通常数字に表れにくい両SBがアシストを記録したことも含め、来場したほぼすべての方が満足する試合となったことだろう。
これで2連勝としたアビスパは、14位に浮上。勝ち点は37に到達している。J1参入プレーオフ出場となる16位の可能性は依然として残すものの、来季もJ1で戦うための状況が試合前よりも改善したことは間違いない。残す1試合、浦和レッズとのアウェーゲームに、この試合と同様のモチベーションで挑まなくてはならない。

採点(及第点5.5)、寸評

GK 31村上昌謙  6.0
シュートを止める機会は少なかったが、集中力を維持。終盤の真家のヘディングシュートも、しっかりとキャッチした。

DF  3 奈良竜樹 7.0
クロスへの対応など守備面はもちろん、攻撃参加の意識もあるなど、3バックのCBとしての役割を果たした。

DF 33 ドウグラス・グローリ 7.0 
左右の奈良、宮ともに距離感よく、隙をみせなかった。もはやハイボールへの強さは言わずもがな。

DF  5 宮 大樹 6.5 
マテウス・サヴィオに突破され、またパスが合わない場面もあったが、身体を張り続けるという任務を遂行した。

DF  2 湯澤聖人 7.5
チーム最高走行距離とチーム最多スプリント回数の2冠。さらにフアンマもゴールをアシストした。終盤は疲れた様子もみせたが、最後まで歩みは止めず。

DF 13 志知孝明 7.5
完璧なタイミングのオーバーラップから、アシストを記録。マテウス・サヴィオと川口の両方に気を配りながら、サイドを自由にさせず。

MF 40 中村駿 6.5
11kmを超える走行距離で中央のスペースを消し、勝利に貢献。キッカーとしてもまずまずのボールを供給した。

MF  6 前 寛之 6.5
パスコースを消しながらインターセプトも狙うなど、危機察知能力を発揮した。勝利への意欲はさすが。

FW 17 ルキアン 7.0 (89分OUT)
サイドでも中央でも、攻撃でも守備でも、忠実に役割をこなした。得点には絡まずとも、必要な選手。

FW 11 山岸祐也 7.5 (81分OUT)
貴重な貴重な先制点を奪取。このときのシュートは、簡単なようで非常に巧みなもの。これで2桁得点に到達した。

FW  9 フアンマ・デルガド 8.0 (76分OUT) MOM
攻撃の起点になるという戦術面においても、前線からパスコースを制限するという守備面においても、この試合の極めて重要な選手だった。さらに決勝点まで奪取。1点目の起点となった、レイソルのウィークポイントを突くパスも含めて文句を付けるほうが難しい。

途中出場

FW 16 渡 大生 6.0 (76分IN)
まるで闘牛における牛のように、ボールを追い回した。それはこの試合の勝利に、欠かせないものだった。

MF 19 田邉草民 採点なし (81分IN)

FW  7 金森健志 採点なし (89分IN)

監督  長谷部茂利 7.5
この大一番で、チーム本来の持ち味を取り戻した。選手のコンディションが上がったこともあり、相手の良さを消しながら縦に速い攻撃を繰り出し結果につなげてみせた。ただおそらく、その目はすでに浦和レッズとの試合を見据えているだろう。

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