樺沢一朗/仕組づくりプロデューサー

日本財団常務理事。NHKでワシントン、バンコク特派員など20年の記者生活のあとPhil…

樺沢一朗/仕組づくりプロデューサー

日本財団常務理事。NHKでワシントン、バンコク特派員など20年の記者生活のあとPhilanthropyの世界に転身。社会課題の持続的な解決の仕組みづくりのため資金を拠出し、世界中のパートナーとより良い社会に向けて現場で汗を流す。

最近の記事

ウクライナ東部訪問:ニュースは真実を伝えない

ウクライナ東部の戦闘地域では多くの障害を持った人たちが避難もできず、現地に取り残されている。紛争や災害などで最も弱い立場の障害者に対しては、国連にも専門の機関はなく(子供にはUNICEF、女性にはUN Womenがある)常に忘れ去られた存在となる。日本財団では私自身が陣頭指揮をとりウクライナ東部の戦闘地域から障害者の救出を行なった。特徴的なのは、ウクライナ国内や周辺国に広がる数百万人のユダヤ系住民のネットワークを活用していることだ。これまでに4000人以上の障害者をウクライナ

    • ウクライナ危機 26歳オルハの挑戦〜若者が変える草の根支援〜

      23歳の時、隣国ポーランドで自らの財団を立ち上げたウクライナ出身のオルハさん(26歳)。ロシアの軍事侵攻を受けて母国から逃れてきた同胞を助けたいと支援センターを開設した。すでに1000人がボランティアとして登録。スマートフォンやSNSを駆使して効率的な避難民の搬送、支援の仕組みを作った。国際社会の支援が遅れる中、若者が変える新たな草の根支援のかたちだ。 ポーランド第2の都市クラクフ。17世紀までポーランド王国の首都だった。日本でいえば京都だ。ウクライナ国境からは200キロあ

      • ウクライナ危機 大学生マリアさんの奮闘

        ポーランドのトップ大学ヤゲロニアン大学。1364年に設立されたヨーロッパ最古の大学の1つだ。ウクライナ出身で、この大学で生物化学を専攻する4年生のマリアさん。大先輩には地動説のコペルニクスがいる。大学を休学しボランティアとして避難民の支援を行っている。話を聞いた3月下旬時点で、首都キーウの防衛に当たっている父親とは1週間連絡が取れないという。そんな事情は微塵も見せず、笑顔で同胞のお世話に奔走している。 (※その後、彼女から知らせがあり、2週間後に父親の死亡が確認されたというこ

        • ウクライナ危機 国際支援はなぜ届かない

          ロシアの軍事侵攻によって続くウクライナの人道危機。3月下旬、国境を越えてポーランドに到着したばかりの母娘。女の子は自分の置かれた状況などわかるはずもなく、支援団体に差し出されたお菓子を無邪気に選んでいた。この母娘にはこれから厳しい現実が待ち構えている。そこに手を差し伸べるはずの国際社会の支援は今も届かないままだ。 母娘が越えてきたばかりのウクライナとの国境のチェックポイント。ようやく国境を越えてホッとするのも束の間、言葉も通じない国での母と子供だけの生活が始まる。ロシアと激

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          所詮、金持ちの道楽なのか?

          日本ではあまり馴染みのない言葉ですが、今、世界ではフィランソロピー(Philanthropy)がブームです。日本語では慈善活動とか博愛主義と訳されますが、要はお金持ちが財団を設立したり、寄付をしたりして社会貢献を行う行為です。 2019年にアマゾンの創業者ジェフ・ベソス氏と離婚したマッケンジー・スコット氏。翌年の2020年には300近い主に非営利の団体に80億ドル(8800億円)の寄付をしたことが明らかになっています。離婚による財産分与は6兆円以上と言われています。そのほと

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          NHK記者から財団役員へ

          群馬県前橋市出身。18歳で米国の大学へ。卒業後、NHK記者に。沖縄、東京、バンコク、ワシントンで取材。44歳でNHKを退社し、日本財団でグローバルイシュー担当の常務理事に。 ジャーナリストから世界のNPOや社会起業家に資金を提供し、世界的な社会課題解決の一歩前進を目指すプロデューサーに。 特殊な業界から見える世界の最新の動きを綴ります。