うろ覚えむかしばなし 雪女

あやふや度 ★★☆☆☆

むかし、あるところに若い猟師がいました。
猟師は、年かさの猟師と二人で冬の山に入りました。
山で猟をしていると、辺りが猛烈に吹雪いてきましたので、ふたりは山小屋に逃げ込みました。
ふたりが山小屋で暖を取っていると、戸を叩くものがありました。
少し戸を開けてみると、風や雪と共に女がひとり、滑り込んできました。
女は透けるほど色白の肌で、冷たいほど美しい顔をしていました。そして、薄手の白い着物姿でした。
ふたりの猟師は、これが人の命を奪うという雪女というものかと思い、恐れました。
女は、年かさの猟師に近寄ると、その命を吸い取って殺してしまいました。
そして、若い猟師を見ると、言いました。
「おまえは若くてまだ先があるから、生かしておいてやろう。
 でも、今日見たことはけして人に話してはいけないよ」
若い猟師は年かさの猟師の遺体を背負って山を下り、それっきり山には入りませんでした。

さて、猟師をやめた男が山のふもとの村で暮らしていると、ある日ひとりの女が訪ねてきました。
女はおゆきといい、あてのない旅をしているといいます。
男はおゆきを泊めてやりました。
そして、おゆきはそのまま男の元に留まり、男の嫁になりました。
おゆきは肌の白い、美しい女でした。
男とおゆきの間には、2人の子供が生まれました。

そんなある日、吹雪に閉じ込められた家の中で、つくづくとおゆきを眺めながら、男は言いました。
「昔、お前のように色の白い、美しい女を見たことがある」
そうして、あの吹雪の夜のことをすっかり話してしまいました。
すると、おゆきはあの夜の雪女に姿を変え、泣きながら言いました。
「人に話してはいけないと言ったのに。
 このことを話してしまったのでは、私はあなたのもとにいることはできません。
 本当は殺してしまわなくてはいけないけれど、あなたと暮らすうちにすっかり好きになってしまったので殺すことはできません。さようなら」
そうして、吹雪と共に男の元を去っていきました。
後には男と、2人の子供が残されたのでした。


昔話の好きな子供でした。でも、あの頃読んだ昔話は今や記憶の中でうろ覚えのあやふやになり、混ざり合いごちゃごちゃになっています。
きちんとした話を目にしてしまう前に、うろ覚えの状態の自分の中の物語を書いておこうと思いました。
きちんとしたものを目にしてしまえば、うろ覚えの状態には戻れないのですから。

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