うろ覚えむかしばなし とろかし草

あやふや度 ★☆☆☆☆

むかし、ひとりの男が山道を歩いていると、大蛇が人を丸呑みにしているところに出会いました。
大蛇は人を丸呑みにすると、パンパンに膨らんで苦しそうにしていましたが、少しそのあたりを探すと草を食べました。
すると、大蛇のおなかがスっと細くなり、大蛇は具合良さそうにどこかへ去っていきました。
男は、消化に良い薬草を見つけたと思い、喜んで草を摘みました。

男が山を下りて町に着くと、蕎麦屋の前に人だかりができていました。
そばの大食い大会で、優勝したら賞金が出るというのです。
男は、すごい効果の消化薬を持っているのだからと、さっそく参加しました。
そばは次々に運ばれてきます。男はどんどん食べました。
男はもう食べられないくらいおなかいっぱいになると、少し席を外しました。
男は、物陰に隠れて大蛇の消化薬を飲みました。

その後、町の人々は物陰に人の形をした蕎麦の束が落ちているのを見つけました。
男が持ち帰った草は、消化の薬ではなく、人間を溶かす薬だったのです。


昔話の好きな子供でした。でも、あの頃読んだ昔話は今や記憶の中でうろ覚えのあやふやになり、混ざり合いごちゃごちゃになっています。
きちんとした話を目にしてしまう前に、うろ覚えの状態の自分の中の物語を書いておこうと思いました。
きちんとしたものを目にしてしまえば、うろ覚えの状態には戻れないのですから。

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