【短歌一首】 いかずちを落とし豪雨は駅ナカに川を作りて渋谷止めたり
一昨日(7月6日)は二十四節気の「小暑」。暑気が強まってくるという時期の始まり。
朝から35度超の猛暑への警戒がニュースで流れていた。毎日の猛暑でもはや小暑ではなく、すでに次の二十四節気(7月22日)の大暑だろう、一体梅雨はどこに雲隠れしたんだ、などと梅雨に八つ当たりをしていた。
そうしたら、夕方にとんでもない雨の逆襲を受けることになった。
夕方、外出先で渋谷行きのバスに乗ろうとしていたら空模様がだんだん怪しくなり、急に冷たい風が吹いてきて雨粒がポツリ、ポツリと落ちてきた。バス停でバスを待つ人々も口々に、「これは夕立が雨くるな、雷にも注意しないと。」などと言っていた。 すると、突然、まだ大して雨も降っていない空に稲光が走り、ドーンという音とともにどこかに雷が落ちた。程なくバスが到着。
しかし、バスに乗り込んで1、2分すると激しい雨が降り始めた。道路やバスを叩く雨の音が爆音に聞こえてくるほど大きくなり、たちまち窓の外の視界もほとんど効かない状態となった。一定の周期で稲妻が光り雷鳴が轟く。
これは今外に出たら大変なことになる、渋谷駅でバスを降りてすぐにバスターミナルのビルの中に逃げ込めばなんとかなるだろうと、考えていた。他の乗客も口々に豪雨への心配を話していた。
そうこうするうちにバスが渋谷駅の西口に到着。乗客たちは皆すでに傘を広げてダッシュでビルの中に逃げ込む準備をして身構える。バスのアナウンスは「外は雨が強いので十分にご注意ください。」と流れるが、外の豪雨の様子に比してかなり穏やかな一般的な言葉に聴こえた。
そしていよいよバスの扉が開いて、傘を広げて一歩踏み出しだ瞬間、ものすごい風が吹いてきて傘がひっくり返り、たかだか数メートル先のビルの1階の中にある道路と繋がっているバスターミナルに辿りつくまでに、すでにかなり濡れてしまった。
バスターミナルに入って一安心かと思いきやここが一番危なかった。すでに避難している人々でごった返している上に、ビル中とはいえ扉や窓で遮られておらず吹きっ晒しの場所なので、猛烈な風と雨が入り込んできて、そこにいる人々は逃げ場もなく、まるで横からシャワーを浴びているような状態になり、みるみる頭から足元までずぶ濡れになっていった。
そもそも避難しているバスターミナルの一角は通常は人などいるところではないので、皆バスターミナルの中のバスの通る車道を横切って柵を跨いでより奥にあるデパートの中に向かおうとした。するとバス会社の社員らしき人が、「バスの車道を渡ると危険ですので、そのままそちらでの待機をお願いします。」と言ってきた。いや、そのまま待機する方が何倍も危険だろう。皆さん多分同じことを思ったのでは。
そのうち、人々がどんどん車道を横切り柵を跨いでより奥の安全な場所に移動して行ったが、さすがにバス会社の社員らしき人もそれ以上注意することはしなくなった。バス会社の社員の皆さんも大変だと思う。生命・身体の安全が最優先の緊急事態での指示や指導は、何が最善であるか誰にも分からないのに即断即決を求められるから。
やっとビル内の安全な場所に入り、ほとんど壊れかけたびしょ濡れの傘の雫をはらい、今度は駅のホームへと向かう。しかし、少しでも外と直接繋がっている場所はどこも激しい雨風が容赦なく吹き込む。
普段、バスターミナルから駅の中へ移動するときに利用している屋根付きのオーバーパスは吹き込む雨で大河?と化していた。ここを渡る人は非常に少なかったが、たまたまくるぶし上まであるアウトドア用のブーツを履いていたので、突き進むことにした。
オーバーパスの大河を渡りようやく駅の中に辿りついたが、駅の中にも雨水が溜池のようになっており、それを回避しながらかろうじてあまり濡れていない狭いところをたくさんの人々が歩いているのが見えた。あの人の通行の流れに乗るのも一苦労。
ようやく駅のホームへ向かう道にきたが、渋谷はどこもかしこも年中大規模再開発中。 至る所が工事の作業現場の延長とも言え、半分外にいるようなものなので、どこを歩いていても雨風が吹き込んでくる。一時的に渋谷の街が豪雨に埋もれ機能不全に陥ったかのような状態。
ここまで歩いてきて、ふと、自分が乗ろうといしてる山手線も駅は半分外みたいなものだ、駅のホームで電車を待つ間にまたびしょ濡れになるだろう、と思う。
豪雨の中、駅ナカにたどり着くことで頭がいっぱいとなり、そのことを全く忘れていた。
このましばらく渋谷駅の中に留まり豪雨が一段落するのも待つか、それとも電車に乗って移動するか。 次の用事の時間もあるので、(渋谷ではとってもわかりづらいといつも感じている)地下鉄半蔵門線に乗るか、とびしょ濡れの人たちでごった返す駅の中を地下ホームへと向かった。
それにしても、連日の猛暑を嘆き、梅雨はどこに消えちまった、小暑じゃなくてすでに大暑だろ、などど文句をたれていたら、夕方から稲妻と雷鳴と横殴りの豪雨となり酷い目に遭った。(天の逆鱗に触れたか?) 夕方から夜は少し涼しくなってありがたかったけど、天候変化がちょっと極端過ぎやしませんか。
猫間英介