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【短歌一首】 公園のしじま破りてカラス鳴く去ればなほさら午後密やかに

公園の
しじま破りて
カラス鳴く 
去ればなほさら 
午後密やかに

短歌は深閑セラピー

平日の昼過ぎの公園。
大人も子供もいない。本当に静かで穏やかな午後。少し蒸し暑い。

昼過ぎの公園

公園は物音ひとつしない。こういうのを「深閑」とでも言うのだろうか。しばらくその静けさの中に身を置いていた。すると、突然、その静寂を突き破るようにカラスの鳴き声がした。

時計塔のそばのカラス

カラスが鳴いた方に目をやると、公園の時計塔のそばでカラスがカァ〜カァ〜というよりも、グギャーギャーとかなり大きな声で鳴いている。

木の上のカラス

すると、今度は別の方向からカラスがもう一羽、木の枝に舞い降りてきた。そうか、時計塔のそばで鳴いていたカラスは仲間を呼んでいたのか。

電線の上のカラス

しばらくすると、またカラスが2羽、少し離れた電線の上でグギャー、グワーと泣き始めた。だんだん数が増えてくる。カラスは賢くタフで、よく歩行者などを襲ったりすることもあるから、これは要注意だな。カラスは古来、神の使いとされるとか、鳴き声は不吉なものとされる、とかいろいろ言われている。

ケヤキの中のカラス

そうこうするうちに、座っていた公園のベンチのそばの大きな欅の木の枝からもカラスの叫び声が聴こえてきた。見上げると、カラスが口を開けて叫んでいるのが見えた。

ケヤキの中で動くカラス

公園の木と近くの電線にいるカラスたちは、不意に飛び立って場所を移動したり、特定の相手に近づいたり、追いかけたり、威嚇したりを繰り返しながら、終始けたたましく鳴いていた。 全部で7、8羽。 

そして、15分くらいすると、みんな飛び立って、どこかへ去っていった。公園に再び静けさが戻ってきた。カラスたちが大騒ぎしていったせいなのだろう、反動で、カラスたちが来る前よりも、より一層静けさを増したように感じる。

静かな昼の公園

それにしてもカラスたちの集会にはどんな意味があるのだろう。縄張りの確認、相手への威嚇・牽制、求愛、それとも有益情報や危険情報の共有か。

もしかしたら、公園に一匹で無防備にただずんでいる愚かな人間を攻撃するための相談をしていたのかもしれない。 街全体が集まってきた鳥に襲われる、ヒッチコック監督の有名なサスペンス映画「鳥」を思い出した。

猫間 英介



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