ホロライブファンタジーしか勝たん『ラブライブ!スーパースター!!』『ゾンビランドサガ』

『ラブライブ!スーパースター!!』京極尚彦
アマプラで視聴。ラブライブシリーズ最新作。私立結ヶ丘女子高等学校という新設校が舞台。
“全てが真っ白で、無限の可能性を持つ彼女たちとの「みんなで叶える物語」”と言うだけあって、それぞれのメンバーがわりと致命的なコンプレックスを抱えている。ラブライブ!シリーズはアニメのみ視聴しているが、どれも挫折からの成功体験がシンプルに描かれていて気持ちがいい。僕はいつもライブシーンで泣きます。
今回は廃校の危機がないのかなと思ったが、やっぱりひと悶着あるようで今後の展開が楽しみ。
『ゾンビランドサガ』境宗久
アマプラで視聴。『ラブライブ!スーパースター!!』がド都内(23区の中で山手線の内側、さらには洗練されたファッションでないと存在を許されない地域のことを僕がそう呼んでいる)を活動拠点としているのとは真逆(?)で佐賀を拠点とする、「フランシュシュ」のサクセスストーリー。メンバー全員ゾンビ。
ぶっ飛んだ設定にもかかわらず、彼女たち自身が致命的な失敗をすることは少ない。そもそもゾンビであることが最大の弱点なので他のことは大概何とかなってしまうのだ。
“少女たちの願いは、たった一つ。「私たち、生きたい。」”なんと倹しい願いだろうか、彼女たちの懸命に「生きる」姿に心動かされること必至。僕はいつもライブシーンで泣きます。


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僕はホロライブが好きだ。

キズナアイがVtuberとしてネット界隈でちらほらと流行り始めた頃、僕はVtuberのことを「スキルの高いおじさんが美少女になってゲーム実況する文化」だと思っていた。
YouTubeでしきりに勧められても頑として再生しないし、仕組みや技術的なことが気になって調べたとしてもそのコンテンツ内容に興味を持つことはなかった。

ところで、僕ら夫婦は二年から三年周期でマインクラフトに傾倒する時期が来る。
どちらともなく再ダウンロードして、ダイヤモンドを探したり、高い塔を建てたり、ネザーでガストに殺されたりして僕らは楽しむ。
継続して定期的にアップデートされるところがマインクラフトの良いところで、何度プレイしても何かしらの発見がある。
ただ、アップデートによって戸惑うことも多いので、そういう時はYouTubeの有識者の力を借りてゲームを進める。

そんな折、たまたま兎田ぺこらのライブ配信を開いてしまった。
文字通り、しまった、のだ。もしやすると画面を見たとき、「しまった」と声に出したかもしれない。
配信内容はマインクラフト、YouTubeが気を利かせてマインクラフト関連コンテンツとして表示していた。
配信する声を聴いて、いわゆるバ美肉ではないことはすぐ分かった。また、人気女性実況者特有の、線の細い可愛い声とは少し違う声だと感じた。
Vtuberを食わず嫌いしていた僕だから、結局のところ前のページに戻るためにマウスを動かしたのだけれど、兎田ぺこらの声を聴いたその一瞬、偏見の気がゆるんだ心持ちがした。

「兎田ぺこら」に遭遇した、次の日の夜。
僕が仕事から帰ると、夫が兎田ぺこらのライブ配信を観ていた。
が、僕が帰ってきたことを知るや否や、他の動画に変えようとマウスに手を伸ばした。昨日、僕がライブ配信をすばやく閉じていたことを覚えていただろう(実は一緒に動画を探していたのだ)し、残業が続いていた僕にアニメでも映画でもYouTubeでもテレビでも、自由に選択する権利を譲ろうと彼なりの労りを発揮してくれたのだ。

「いい。」
「え?」
「僕はそれでいい。」
「この配信?」
「そう、そのままでいい。」
「観るの?」
「分からない。でも、変えなくていい。」

彼が釈然としない顔で夕飯の準備をしようとマウスから手を離したので、僕は少しボリュームを上げた。
風呂にも入らず、ビールを飲みながら、用意された夕飯を食べ、初めて最後まで兎田ぺこらのライブ配信を観た。

そうして僕は兎田ぺこらが好きになり、だんだんとホロライブ全体を好きになっていった。

思春期の頃、芸能人やアイドルに熱中する周りを遠巻きに見ていた。
テレビや雑誌の話をされても、僕お得意のあいまいな笑顔でごまかすしかなかったし、周りに合わせて知識を習得するほど労力を割く意義を見つけられなかった。
時にそういったファンたちを見下しすらした(自分もオタクだというのに)。会えもしない、画面の向こうの人物に夢中になって何の得があるのか、何故彼ら彼女らが歌い、話すだけでそんなに盛り上がることが出来るのか、と。
でも僕はもうその時には気づいていた。
アイドルに入れ揚げる人たちは往々にして愛にあふれ、幸せそうであることを。

とどのつまり、僕は嫉妬していたのだ。
そんな風に誰かに溺れてみたかったのだ。

さすがに溺れるほどではないけれど(大人になってしまったがゆえにそこまでの心のゆとりがない、不本意ながら)、兎田ぺこらのライブ配信を鑑賞することは僕の生活の中で優先度が高い。
出来が良かったのでフィギュアも予約したし、グッズを購入したりもした。僕の毎日をそっと、多すぎず少なすぎない程度に、彼女は支えてくれている。

最近は、ホロライブファンタジー(兎田ぺこらの所属する、ホロライブ三期生の五名のユニット)を推している僕である。
彼女たちがしばしば行うコラボ配信は観ていて微笑ましく、兎田ぺこら以外のメンバーも質の高い掛け合いや喋りを駆使して僕らリスナーを大いに楽しませてくれる。
そんな彼女たちがつい先ほど、ファーストライブの告知配信をしてくれた。いつものようにエンターテインメント性の高い配信だった。実にありがたいことだ。

昨夜(もう日は変わっていたけれど)号泣した、あのライブシーンのように。
もしくは、何が起きてもめげないゾンビたちのような、力強さをきっと魅せてくれるだろう。

想像するだけで涙が出る。
遠回りをして、僕はあの頃憧れた、愛にあふれている。

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