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助産師あいあいこのプチ相談室「Q&Aコーナー」

こんにちは、あいあいこです。

今回は、私に寄せられた疑問に何点かお答えしていく「Q&Aコーナー」をお届けしようと思います。


Q.簡単な体重管理の方法ってありますか?

A.体重計に毎日乗ってみるといいでしょう。

毎日が面倒という方は、気付いた時に週1〜2回乗るだけでもよいです。体重計に乗ると、無意識に体重に意識が向くので、結果食べる物にも意識が向くようになると思います。


Q.痩せてるとお産や後期にどんなデメリットがありますか?体力面とかが厳しいのでしょうか?授乳するならある程度ふくよかになっといたほうがいいのかな?と思ったりします。

A.こちらは「体重ってどれくらい増えていいの?」の回で詳しくご紹介しています。

妊娠中のお話からすると、痩せ型の女性(BMIが18.5未満)では、切迫早産や早産のリスクが高まると言われています。

また、目安よりも体重増加が少ない場合、胎児発育不全や、低出生体重児で出生するリスクが高くなると言われています。

低出生体重児(出生体重が2,500g未満の赤ちゃんのこと)で生まれることの何が悪いのかと言うと、赤ちゃん自体の体力がないことや、身体の器官の発達が十分でないままに生まれてしまうことです。

例えば、低出生体重児の育児で苦戦するのが授乳。赤ちゃんの体力が十分に無いので、自分に必要なお乳を1回の授乳で飲み切れなかったり、お口が小さいので、正しいポジションでの授乳が出来にくかったりします。また、体重が小さい分、生理的体重減少(生まれた後に一時的に体重が減ること)の許容範囲も小さくなります。

よって頻回授乳になったり、体重増加が悪い、生理的体重減少の範囲を超えることがあると、ミルクを足してあげるという場合が出てきます。

また、妊娠中に長期間低栄養状態に晒されていた赤ちゃんでは、様々な臓器や血管に影響が及び、将来、生活習慣病(メタボリックシンドローム=肥満、二型糖尿病、高脂血症等)を引き起こす可能性が高くなるという研究結果も出てきました。

そして、母体側目線で言うと、出産には莫大なエネルギーを使います。そして、その後の育児・授乳でもカロリーを使います。

よって、これまでの助産師の経験上、体重増加が目安よりも少なかった場合、お母さんの方も体力不足になる印象が強いです。

「小さく産んで大きく育てる」とは昔よく言われていた言葉ですが、栄養を十分に摂ることが出来なかった昔と、栄養を十分に摂ることが出来る現代は違います。

よって、目安範囲内での体重増加を目指すようにしましょう。


Q.間食として良さそうなものとそうでないものはありますか?

A.スナック菓子、洋菓子は控えた方が良いでしょう。なぜなら脂質が多く含まれるからです。和菓子は、スナック菓子や洋菓子と比較して脂質が少ないため、もし「どうしても甘いものが食べたい!」となった時は和菓子をオススメします。

ただ、全くスナック菓子や洋菓子を食べてはいけないわけではありません。食べずにストレスが溜まってしまうのであれば、自分の体重増加の具合を見ながら、少しずつなら召し上がってもいいと思います。(医師から制限されている場合はもちろん控えましょう)

また、厚生労働省の作っている「妊産婦のための食事バランスガイド」を参照し、普段の食事で摂れていない乳製品や果物を間食として摂るのもいいでしょう。

ただ、乳製品や果物といえど、食べ過ぎはもちろん体重増加に繋がりますので、ガイド内の単位の目安に従った範囲で召し上がってください。


Q.炭水化物や塩分を控えた方がいいのでしょうか?

A.極端に控える必要はありません。

バランスの良い食事を摂るためには、炭水化物や塩分を極端に控えることはかえってバランスを崩してしまうことに繋がります。

こちらも「妊産婦のための食事バランスガイド」を参照しながら、主食(ごはんやパン)はしっかりと召し上がってください。

塩分については、「摂りすぎると高血圧になるのでは……」と心配している方が多いと思いますが、極端に控えることは推奨されていません。

ちなみに、厚生労働省が2020年に発表している目安では、18歳以上女性で食塩(ナトリウム)は6.5g/日未満とされていますが、これは生活習慣病を予防するための量なので、厳密に守らないといけないというわけではありません。

ですが、健康的に過ごすのであれば、7〜8g/日程度には抑えた方がいいでしょう。

ちなみに、平成29年の国民健康・栄養調査結果を見てみると、日本人成人女性の平均的な食塩摂取量は9.1g/日だったそうですので、「少し控える」という心持ちで大丈夫です。

減塩のための工夫としては、お出汁の味を活かした料理をする食事にかける醤油を減らす、あるいは醤油をあらかじめ出汁で割っておく、などでしょうか。

そして、妊娠高血圧症候群を引き起こす要因としては、摂取塩分量より、体重増加量が鍵だと言われています。

目安よりも体重増加が大きいと、妊娠高血圧症候群の発症率は、目安内で体重増加した人に比べて高かったという研究があります。

また、興味深いのが、体重増加が目安よりも低かった場合が最も妊娠高血圧症候群の発症リスクが高かったという研究が出ているという点です。

よって、ご自分の体格に合った体重増加をするように、極端なダイエットはすることなく、お食事はバランス良く召し上がってください。

(体重増加量の目安はこちらの記事をご参照ください)


さて、今回はQ&A方式で記事をお届けしました。

「これってどういうこと?」「ここをもう少し詳しく知りたいんだけど……」ということがありましたら、遠慮なくコメント欄にお寄せください。今回のようにQ&A方式でお答え出来ればと思います。

では、また次回お会いしましょう!


【出典】

病気がみえる 産科 vol.10(第4版)(株式会社メディックメディア)

妊産婦のための食事バランスガイド(厚生労働省):https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3b02.pdf

日本人の食事摂取基準(厚生労働省):https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html

低出生体重児とは?(Medical Note):https://medicalnote.jp/contents/200406-003-EL?p=2#html_body_2

平成29年国民健康・栄養調査結果(厚生労働省):https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/h29-houkoku.html

妊娠中毒症に減塩・体重制限は本当に効く? (All About):https://allabout.co.jp/gm/gc/188510/

【画像提供】

いらすとや:https://www.irasutoya.com/?m=1

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