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昏下(くらげ)

ふわふわと 空中を漂って彷徨う
いつもあたたかいひかりが差しているのに
いつもそのひかりの元へは届かず

べちゃ、と言って落ちる
見事に落ちる 顔から潰れて落ちる

そのうち水分が無くなって

塩分が無くなって

ガラスを明るくする為だけだったつめたいひかりを未だやさしいと言いながら見上げて


見上げて

見上げて

首が痛いのも忘れて見上げたままで


漂いたかったのは水中ではなくて空中だったのだけど

空中に揚げられた私はとても醜くなって無様にずるずる這いずったのだ、というお話




【泳ぐ水蓮と歩く金魚の鉢から】――――昏下(くらげ)

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