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かわいいこ

甘さも苦さも特に無い珈琲の、香りだけがずっと忘れられずに僕は今日迄目の前の君よりも香りの誰かをこの両手で掻き抱いてきた。あの時からずっと見られなかった影の脆さの何たるや、ああ、そこに哀しさはあれど愛しさは映らないのだ。

僕と君の今日迄は君の微笑みの全てであり、僕を作る全てだった。




【泳ぐ水蓮と歩く金魚の鉢から】――――かわいいこ

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