見出し画像

あるくくも

井戸に一人、落ちて

垂らされた糸はきっと求めた光に届くと信じて登る。登る途中、光が見えてきて
光の差す方向へ目をやると青色が見えた。青色を自由に長い時間かけてあるく貴方を見つけて、その青と貴方のあまりの眩しさに意識をなくして

そこで糸は力を失って切れた。


わたしはあなたになれない。

そのまばゆさもその美しさもその自由もその幽玄さもそのたおやかさも

ぼくにはもてないもの。




【泳ぐ水蓮と歩く金魚の鉢から】――――あるくくも

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?