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スーパーアクセサリーSONY LA-EA5 マウントアダプター

かつてマウントアダプターと言えばマニア向けのアクセサリーで、その〝遊び〟にはEFマウントのボディが標準でしたが、ミラーレスの台頭でその常識が変わり、現在ミラーレス機ではマウントを問わずアクセサリーメーカーから様々な商品が発売され、カメラメーカー純正でも用意されるような一般的なアクセサリーとなったと思います。

カメラメーカー純正品の場合は自社マウント資産の有効活用と言うか、新マウントのレンズラインナップが整っておらず、その拡充に旧マウントのレンズを用いて補完/延命するのが目的で〝遊び〟とは事情が異なりますけども、4/3やEFマウントやA(α)マウントの場合、歴史のある旧来の同社マウントのレンズがメーカー動作保証の上AFで使用出来るという点で、古いマウントのレンズを所有していない人にとって魅力的な〝遊び〟であると同時に、実用的にも問題なく使用出来る魅力的なアクセサリーになったと思います。

今回はSONY LA-EA5を紹介しつつ、オススメレンズを挙げていこうかなーと。
マウントアダプターを撮っても面白くないので画像は殆どないです。

LA-EA5とLA-EA3 LA-EA3には三脚座がある

4/3やEFマウントの場合、その立ち上げから〝レンズ内モーター〟だったのでマウントアダプターは電気的な機構のみで過不足無く使用出来るマウントアダプターが実現出来ますが、AF化の際に〝ボディ内モーター〟を採用したメーカーでは通常レンズ内にモーターを持たない為に、マウントアダプターを用いたAF化は困難でした。

そんな中、SONYさんはLA-EA5でアダプター内に駆動モーターを押し込み、しかもモーター無しと殆ど変わらぬ大きさ/価格(2万円台前半)で提供するという有り難い対応をしてくれた為、4/3やEFマウントと変わらぬレンズ選択が出来るようになりました。
無論、レンズ内モーターのレンズ(SSM / SAM)も問題なく動作します。

LA-EA5 + 85mm F1.4 ZA / 今田詩音

LA-EA5の発売は2021年11月。
その時点でFEマウントのレンズラインナップは殆ど完成していて、旧いマウントのレンズを利用してまで自社レンズを拡充する時期は過ぎ、この製品の主な目的なAマウントのボディを使うユーザーやかつて使用していてレンズを死蔵しているユーザーに、スムーズにE(FE)マウントへ移行して貰おうという親切心しか感じません。

AマウントのユーザーはSONYがAマウントを主力としていた時期でも20%に満たなかったでしょうし、2021年当時はSONYカメラのユーザー数の5%以下だと思うので〝商売〟を考えたら無駄な代物ですが、SONYはKONICA MINOLTAからマウントを継承した際に「キッチリ面倒をみます」と宣言していて、そりゃまー、新しいボディをリリースしてくれるのが一番良いですけど、その責任を果たす為にリリースしたと思っています。

FEマウントを主力にしてからのSONYに〝良心〟を感じた事は一度もありませんが、この製品の登場で「SONYは嘘をつかなかった」と〝良心〟を信じるようになりました。

長期的に見れば死蔵されているAマウントレンズを持つユーザーを自社マウントに繋ぎ止めたり引き戻す事が出来る訳ですが、その対象はごく少数なので無尽蔵に存在する新しいユーザーを開拓した方が効率的だし、こんなもんを売っても現在主力のレンズが売れる訳でなく儲かるはずもないので、やっぱり〝良心〟以外にない。


LA-EA5 + MINOLTA AF MACRO 100mm F2.8 new / 朝比奈 夢空

さて、SONYのマウントアダプターは、
LA-EA3
・レンズ内モーターのみAF可の三脚座付き素通しモデル(2022年時点で廃盤)
LA-EA4
・トランスルーセントミラー・テクノロジー(TLM)によるAF機能とモーターを搭載しAF可能としたモデル
LA-EA5
・LA-EA3の機能に加え、モーターを内蔵しレンズ内モーター無しのレンズでも条件付きでAF可能

この3種類のうち、LA-EA4は鬼門。
元々はFEマウント以前、Eマウントが主力であった当時のLA-EA2をFullFlame用にしたもので、ボディ側のAFシステムでは無く、マウントアダプターに搭載されたAFユニットとモーターを使用する事でモーター非搭載レンズでもAFを可能としたまでは良かったのですが、A(α)マウントTLM機を使用した事がある人にはお馴染みの10カット中7-8カットはピントを外すような〝AF精度最悪〟のAPS-C用AFユニットが搭載されていて、こんなもんを使ってまでAFに拘るのは愚かです。
その上値段は高額だし、筐体はデカいし、測定点はAPS-Cのままなので中央に寄りすぎだし、良いところは何も無い。
メーカーとしては出揃っていないレンズの穴を埋める為に飛び道具的なAF化は苦肉の策だったのでしょうが、ユーザーは苦肉を貪る必要なし。

LA-EA5はLA-EA3同様の機能に加えAF駆動可能なボディを限定とすることで実質全て(レンズメーカー製は非動作報告もある)のA(α)マウントレンズでAF化を実現したマウントアダプターで、対応ボディは2022年3月現在ILCE-1やILCE-7RM4(A含む)、ILCE-7M4、ILCE-6600と限られていますが、魚眼レンズやミラーレンズを始め、現在のE(FE)マウントでは用意されていないMINOLTA αレンズをも使用可能とするアクセサリーであります。
ついでにLA-EA3で邪魔だった三脚座は省略され撮影時に保持しやすくなっています。 この三脚座、三脚使用時はマウントアダプターと雲台を結合させる必要があったので、レンズ交換しづらくて不便だった…

AF対応ボディを増やしてくれると有り難いのですが、LA-EA5後に発売となったボディでも非対応は存在する為、SONYさんの社内基準で対応/非対応が決まるようです。
スチルより動画向けな7S IIIに、わざわざAマウントのレンズを使う人もいないだろ?とか、入門者向け(?)のA7Cを使う人は古いレンズを使うわけないとか…そういう思い込みじゃないかなー。

LA-EA5にはレンズ駆動用のピン(カプラー)がある
LA-EA5(手前)とLA-EA3 LA-EA3のレンズ駆動用のピンは埋まっている


LA-EA5が素晴らしいのはモーター非内蔵レンズでもAF可能なところですが、同時に、AF(測距)にはカメラボディを用いるので、AマウントボディよりAFフレームの選択面積が広い、と言う所も特筆すべきです。
Aマウントボディで最大面積の測距点を持つのはA7R3と同等センサーらしいA99 IIですが、LA-EA5でのAF対応ボディは全てA7R3より広いAF測距面積を持っている為、どのレンズを使ってもE(FE)マウントレンズ同等の広大な測距点を使用可能。
当然と言えば当然なんですけど、これは地味に凄い。
30年以上前のレンズでも現行レンズと同じように広いAF測定点が使える…素晴らしい…


モーター非内蔵レンズのAF動作は、ジィーコ・ジィーコとレンズによっては五月蠅いし、Aマウント一眼レフでは良くあったジコジコッって感じのアヤシげな動作もあるしでFEマウントレンズやAマウントのレンズ内モーターレンズと同様とは言えず、速度も速いとは言えない。
電源ONから撮影出来るまでの時間は長いし、AF補助光は発光しないし、プレビュー(露出)はいい加減、とかいろいろ欠点はありますが、〝(信頼出来る)AFが使える〟事に比べたら大きな問題では無いです。

LA-EA5 + AF MACRO 50mm F2.8 (D)


AF精度はレンズ/状況によって変わるものの問題ないレベルだと思います。
日中であればヘタなレフ機より高精度と言える反面、夕暮れなど光量の少ない状況では迷う事も少なくありません。
感覚的にはSSMのようなレンズ内モーター搭載レンズはネイティブE(FE)マウントとあんまり変わらない気もしますが、手持ちだと(D)タイプであればまぁ普通に使えるものの、それ以前のタイプは明らかに弱く、感覚的には開放F値が暗い程弱い気がします。
公式にはSONY製以外は〝AF性能は良くないよ〟という事になっているので、詳しくは公式アナウンスを確認して頂きたい。

AF補助光は発光しません。
その為、先に挙げた〝低輝度下の弱さ〟を決定的にします。
そもそもオートと任意発光を操作出来れば良いのですが、OFF/AUTOしか選べないのでネイティブE(FE)マウントでも問題なのですが、暗所でのAFはちょっと頼りないです。

〝AF微調整〟機能は無効となります。
今のところ所有レンズで調整が必要と感じたレンズは無いので、ミラーレス機は本質的な(?)AF精度が高いのかも知れません。 瞳認識とかの機能は測距の問題じゃなく空間認識の問題なので、それらの機能を使う場合は旧来のAF微調整は無意味だと思いますけども。

〝プレビューがいい加減〟なのは、ミラーレス用レンズが絞り込み(実撮影時の絞り値)で測光/プレビューするのに対して、一眼レフと同様開放のままで測光する事にあります、たぶん。
絞り動作でプレビューは変化するのですが、開放値からの推測で変更しているみたいで絞り値を変更しても絞り羽根は開放のまま、シャッタースピードやISO感度の変更は正確に反映されますが、絞りは正確に反映されない点は留意しておく必要があり、特に輝度差が激しい状況ではその影響が出やすいです。

ちなみに、AマウントTLM機も一眼レフ同様開放のまま測光しますが、露出のズレはここまで感じた事は無いです。

想定外に暗くなってしまった


その仕組み上、ボケ量も開放のままプレビューされるので、絞り操作を行うと撮影結果は想定外に絞り込まれた状況だったりします。
レフ機だと〝絞り込みプレビュー〟ボタンがあるので事前に確認可能なのですが、ミラーレズにはそういう仕来り(仕組み)は無いので「撮るまで判らない」面があります。

想定外にボケ量が少なかった

ミラーレスの良さは〝撮る前に結果が(まぁまぁ)わかる〟事で、その利点というか利便性が損なわれてしまうのは欠点ではありますが、レフ機では普通の事なので実用上は大きな問題では無いでしょう。

その他レンズによる制限は公式アナウンスを参照して頂きたい。


オススメレンズの前に予備知識ですが、MINOLTAのレンズは3世代存在する場合、
● 初代
new  初代から円形絞りになって絞りリングがプラからゴムへ
(D)  絞りリングが非回転となってストロボのTTL調光に対応した
レンズによっては見た目だけnewで円形絞りでは無いタイプも存在するのですが、だいたいはそんなとこ。
SONY版は(D)をベースにデザイン変更や硝材の変更がされているらしいですが、35mm F1.4Gを考えるとそれ以前も各世代で都度硝材変更は行われているかもしれません。


A(α)マウントのオススメレンズですが〝安くて性能が良い〟のが好きなので高級/高額なレンズと、評判しか知らないレンズは自信を持ってオススメ出来ないので未使用のレンズは除外します。

  1. MINOLTA AF 50mm F1.4 New (SONY版含む)
    古典的な50mm F1.4で開放では柔らかく1.5段絞り辺りから近接専用だが良い感じに。 F4~F5.6くらい絞り込むとカリカリ

  2. MINOLTA AF MACRO 50mm F2.8 New (DおよびSONY版含む)
    開放から中央はシャープな描写で50mm F1.4より安定している

  3. MINOLTA AF MACRO 100mm F2.8 (New、DおよびSONY版含む)
    解像力とボケ質の両立を体現するMINOLTAの看板レンズ

  4. MINOLTA AF 24-50mm F4
    αシステム初期のレンズでそこそこ寄れる普段使いに適した小型ズーム

  5. MINOLTA AF 70-210mm F4
    αシステム初期のレンズで鏡胴が長く開放からシャープだがボケは固め

  6. SONY 85mm F2.8 SAM (SAMレンズなので全てのボディでAF可能)
    開放から安心して使える上にボケも自然で85mmとしては近接に強い(60cm)最安おねーちゃんレンズ

  7. SONY DT 35mm F1.8 SAM (APS-C専用)
    少々ボケは固めだがシャープな描写

これらのレンズは安いものでは数千円で、高額でも2万円強で購入可能と安価な割に性能が良く、細かい事を言わなければ現行レンズと同様に使用出来るので価格を超えた価値があると思います。
F4通しの2本は解像力がウリですが、反面ボケは固く非円形絞りと相まって点光源描写も固めで、70-210mmの方はアダプター経由で全長が長くなり過ぎるので性能は良いけど可搬性に多大な問題を抱えますw
それ以外のレンズはボケとシャープネスのバランスが良く、多くは円形絞りを採用していて中でもMACRO 100mm F2.8は至極の一本。 これを持たずにボケ質を語ってはいけない。
その弟分のMACRO 50mm F2.8 Newは非円形絞りの初期型もありますが、焦点距離的に絞り羽根の形状が目立ちやすく円形絞りの方が良いでしょうし、底値なのでMINOLTA版とSONY版の価格差は殆どありません。


高額なGレンズやCarl Zeissまで選択範囲を広げると現行E(FE)マウントレンズとの価格差が減少し旨味も少なくなる上に、修理期限の切れた補償のないレンズなのにも関わらず過剰に高額と思える値札のレンズも存在するので、性能と価格、運用性、適した状況等などちょっと冷静になって考えた方が良い場合があるのですが、先に挙げたレンズであれば欲求に従い勢いで確保しても全く問題はありません。
安価ながら十分に撮影が楽しめる高性能スーパーレンズなので、LA-EA5と合わせてゲットし、泥沼に入り込む事をオススメします(笑)

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