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『新テニスの王子様』最新号ネタバレ感想〜行き着くところは結局「力と心のバランス」だと思われる中学生ズの課題〜

最新号の「ジャンプSQ」の『新テニスの王子様』ですが、今月号に関しては物凄く「いい話」である反面、個人的にはやはりこの流れは金太郎たちが負けてしまうのだろうなあというのが薄っすら見えてまいります。
何故かって高校生組と中学生組の実力差が明らかだからであり、今回は実質金太郎VSマルスの「おスギ婆さんから薫陶を受けた弟子」対決になっていましたので、この時点で今後の流れが見えてしまうのです。

とても良かったのが金太郎とセダの対比で、金太郎が「やられたらやり返せは暴力やない!テニスでや!」という台詞がとてもいいですし、同時にこれが似た立ち位置にある立海の赤也や山吹の亜久津とも上手い対比になっているなと。
セダ君は何と言いますか、前々からそうだったんですけど、どこかかつての赤也や亜久津と同じような危うさを抱えていて、今回はそれがモロにマイナス面として出ていたという印象です。
赤也や亜久津が物理(身体)で相手を傷つけて破壊してしまう「悪魔」だとするなら、セダは「精神」という内面で相手を傷つけて破壊してしまう怖さを持っているのではないでしょうか。
金太郎と違って折角の先人の教えをきちんと正しく己の中で咀嚼・吸収して使いこなすという、とても大事なステップを欠いたまま才能だけが歪んだ方向に肥大化してしまっているように思えてなりません。

これは「新テニ」に限らず「テニプリ」の実はとても根源的なテーマですが、「力と心のバランス」というのが直接的ではないにせよ割と重要なテーマとして設けられているのではないでしょうか。
金太郎とかリョーマとか見ているとわかりますけど、天衣無縫に行き着く人ってそれぞれに個性とベクトルは違えど「素直」かつ「謙虚」なんですよね、「力」というものに対して
一方でかつての亜久津や赤也、そしてセダを見ていると、彼らはとてつもない潜在能力や教えを授かっているのに、それを安直な自己解釈をしてしまって間違った方向に使ってしまっています
ロミオから教わった心理学にしたって「乱用は禁止」と釘を刺されたにも関わらず、アラメノマとして使ってしまっていて、その致命的欠陥が今回「迷い」という形で露呈したようです。

そして何より金太郎の口から「セイギノミカタ」という言葉が出たし、またそれを「心強さの輝き」という、鬼先輩が辿り着いたところへの到達と上手くリンクさせて意味づけがなされているのも良かったです。
金太郎とセダの対比を通して、「天衣無縫のその先」へ行ける金太郎とロミオやゼウスから素晴らしい叡智を授けられているにも関わらず、器というか精神面が未熟なためにその力を使いこなせないセダの対比が皮肉です。
というか、これを見ているとマルスもそうなんですけど、南次郎の英才教育って実は「才能の発掘」「技術の指南」はできても「メンタル面の指南」は実はとんでもなく不器用というか下手な人ではないでしょうか。
おスギ婆さんやオジィはその辺りのメンタル面もきちんと指南できる人だから、金太郎・マルス・平等院鳳凰はその辺りを間違えることなく進んできたということなのだと思います。

ただし、だからと言ってじゃあ日本側が勝てるのかというとそう簡単ではなく、許斐先生は決して綺麗事で勝たせるような人ではないので、マルスが脅威として立ち塞がります。
「新テニ」のもう1つのルールとして「高校生>(超えられない壁)>中学生」があるので、おスギ婆さんの指南を受けているという同じ条件の場合どう考えても日本側が不利です。
しかも入江も指摘していたように、日本チームは「能力の覚醒」はしたけれども「相手チームの技の攻略」はしていないので、そこを乗り越えないと勝てません。
あと、この流れで行くとセダがもう一段階ギアが上がってとんでもない方向に行ってしまい、下手すると大曲先輩がボコボコにされかねないというかつての決勝立海D2の悪夢が再来する可能性もあります。

そしてまた、金太郎が「心強さの輝き」に目覚めたことでS2のリョーマが試合中にどう進化するのか?という方向性もある程度は見えてきましたが、どうなのでしょうか?
金太郎が鬼先輩と同じ「心強さの輝き」ならば、手塚が「切なさの輝き」であり、そしてリョーマが「愛しさの輝き」に目覚める可能性が高いですが、そこは許斐先生にしかわかりません。
おそらく金太郎と同じ天衣無縫の派生系という方向性には行かせないとも思えますし(じゃないと金太郎との差別化にならない)、何よりリョーマの場合天衣無縫自体が南次郎から授かったものなので。
リョーマにとってのS2がリョーガという「能力剥奪」を乗り越えること=父親殺しがテーマだとするならば、リョーマにしか辿り着けない新境地というか新形態がある気がしてなりません。

というのも、「新テニ」のリョーマはおそらく許斐先生としても意識的に南次郎との接触を避けていますし、リョーガからも技術指南は受けているものの直接的に教わっているわけではないので。
そう考えると覚醒に重要なキーパーソンはやはり「滅びたとて蘇られないやつは所詮そこまでだ。日本を任せたぞ」と日本を託してくれた平等院鳳凰、そして決勝前の決定戦でリョーマに密かな贈り物をした不二周助でしょうか。
プランスとの戦いでは南次郎のスタンドも出てきたので、考えられるものとしては侍の魂=阿修羅の神道と天衣無縫の派生系=愛しさの輝きの融合といった可能性もなくはないです。

何れにしても、金太郎とセダの対比を中心に許斐先生も手抜かりなくしっかり各キャラを深掘りしているので、どのような決着になるのか、またS2へどう繋がるかも楽しみになってきました。

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