夏太郎

おそらく海の日生まれ。 日々のこと、考えていること、わたしの思考回路。

夏太郎

おそらく海の日生まれ。 日々のこと、考えていること、わたしの思考回路。

最近の記事

言葉にしなければいけない

 「言葉にできない」と歌うように、映像や音、ダンス、絵など、言語がされない表現が世の中にはたくさんあり、受ける自分は少しでも自分の感度を上げて、作者が言わんとすることをインプットしようと試みる。体感とはよくいったもので、頭だけではなく体の五感を全て使って楽しみ受け取ると、脳みそまで至らぬ刺激は「なんだか〇〇だった」という感覚で身体に止まってしまう。その、まだ咀嚼し自分の腑に落とせていない段階が実は一番熱量があり、これをわざわざ自分の拙いボキャブラリィから似ている言葉を引っ張り

    • 思い出が捨てられない

       数年前から「ミニマリスト」や「断捨離」という言葉をよく耳にするようになった。今や「お片づけ」のプロまで現れ、自身のていねいな暮らしぶりや住まいのこだわりをSNSで発信する人も多く見られるようになり、自分も彼らのフォロワーの1人である。が、自分自身はミニマリストとは程遠い人間である。  引越しというものは自分の所有物を全て把握するのに良い機会である。人生初の引越しは、高校卒業後、進学のための上京であった。叔父の運転するワゴン車に、必要最低限の家財道具(母の知人の息子が手放し

      • 作品は助け舟

         友人に話したら「うちの会社もこんな人ばっかりだよ」と言われるような人が4月から上司になった。上司と部下という立場をはっきりさせ、お金と肩書きを大事に、自身の友人を紹介するプロフィールには漏れなく年収がついてくるほど露骨だった。業績も大事なのはよくわかるが、極端に中身のない業務に精神衛生は保たれず、汚染は身体も蝕んだ。  1時間弱の面談で、上司に言われた言葉は針の雨のように鋭く全身に突き刺さり、フルマラソンを走ったような、ノンストップで富士山に登頂したような壮絶な疲労感とと

        • 骨と石を想う休日

           先日行った東京国立近代美術館の帰り道、大丸東京店でやっているバレンタインフェアでものぞいてみるかと東京駅へ行ったので、ついでに、KITTE 2Fにあるインターメディアテクへ立ち寄った。説明しておくと、こは東京大学の研究室の収蔵品の博物館で、動物、植物、昆虫、化石、鉱物など、あらゆる標本が展示されており、まるで図鑑が実体化したような空間である。8割がコレクションで、2割たまに企画展がやっていたりする。今回は仏像と蓄音機だった。そのためほとんど入れ替えはないが、何度でも行って眺

        言葉にしなければいけない

          創作に伴う賛否について

           東京国立近代美術館(以下、近美)で開催している「民藝の100年展」へ。最終休日ということもあり、入場は時間予約制に。そうとは知らずのこのこ出向き、次の入場まで、1時間半待ちに一度は臆したものの、隣の受付から「入場時間までの間コレクション展をご覧になれますので〜」と聞こえてきたので、よし、と当日券を購入。  行ったことがある人はわかると思うが、竹橋の駅周辺は毎日新聞社ビルと当美術館があるのみ、しかも休日は社ビルも閉鎖しており、地下の飲食店街も入れない、加えて外は雨!ここで目

          創作に伴う賛否について

          スカートを穿くこと

           少し前にTwitterか何かで「ノンセクシュアルを公表」という記事を読んだ。今まで聞いたことがなかった言葉だったので、ググッてみると、  ノンセクシャルとは、恋愛感情はあるが他者に対して性的欲求を抱かないセクシャリティのことを指す。 恋愛感情がある場合のアセクシャルとして、ロマンティックアセクシャルとも呼ばれる。  ちょうどこのような類で悩んでいた時期で、それがふっと軽くなった。カテゴライズはあまり好きではないけれど、言葉で知るというのは大切だなと思った。  最近はL

          スカートを穿くこと

          眠れない夜には

           深夜、もうそろそろ寝ないと、という時間になってもなんだか眠くないという日がある。本を読んでみたり、映画を見てみたり、とりあえず布団に入って目を閉じてみたり、しかし、寝なければと思えば思うほど逆効果で目が冴えてきてしまう。 そんなときにわたしは、部屋を暗くして、録画してあるNHK日曜美術館「世界で一番美しい本 ベリー侯のいとも豪華なる時祷(とう)書」をつける。  時祷書とは、中世ヨーロッパの装飾写本のひとつで、ローマ・カトリック教会が修道院の暮らしを生活に組み込みたいと考え

          眠れない夜には

          おつかれ乾杯

           仕事が終わって、ふうっと一息ついたときに、そういえば、1月27日は父の誕生日じゃないか、ということを思い出した。わたしが17歳のときに、45歳で亡くなったから、そうかそうかーー。  17歳のわたしに「好きなことしたええ」と言った父の言葉は、それ以来わたしの真ん中で大事に大事に温め続けている。高校卒業後に上京した、関東には父の同級生たちが住んでいて、せっかくだからと「県人会」なるものを発足し、四半期に一度くらいのペースで集まっては美味しいご飯をご馳走になっていた。  父と

          おつかれ乾杯

          格好良い人

           2020年はこれまでガサツに生きてきた自分を見つめ直し、可愛らしい人になりたいなと思っていたけれど、2020年の終わりに、自分はめっちゃ格好悪い人間だったということに気づき、2021年はぜひとも「格好良い人になりたい」と思った。  いや、そもそも格好良いってなんだ?私の思っていた格好良いとは。 ① 幼なじみのK君  実家の二軒隣に住む同級生で、背は一番低かったけど、誰よりも運動神経が良く、きっと顔もイケメンだった。何より、小学校の卒業式が終わった教室で、担任の先生から、

          格好良い人

          タイトルと次回予告

           幼い頃からテレビアニメやマンガが大好きで、小学校からの帰り道は16時15分から始まるアニメの再放送に目掛けてダッシュで帰宅したり、土日は早朝にやっているアニメのために学校へ行く日よりも早起きをするし、18時からのアニメのために自分だけ夕飯の時間をずらしたり、アニメ中心の生活を送っていた。我ながら凄まじい執着だったなと思う。(田舎だったので娯楽が少なかったのは事実)  アニメの主題歌をリアルタイムで流れる歌詞のテロップを見ながら、テレビの前で歌って覚えた。次回予告までしっか

          タイトルと次回予告

          繊細なひと

           最近話題になっている「HSP(Highly Sensitive Person)=ハイリー・センシティブ・パーソン」という言葉。生まれつき「非常に感受性が強く敏感な気質もった人」という意味で、統計的には人口の15%~20%。5人に1人があてはまるそう。(わりといるんだね。)病気ではなく、あくまで「気質」「性質」とのこと。  最初に耳にしたときは特に気にしていなかったが、たまたま見た朝のワイドショーで10項目くらいのセルフチェックをやっていて、へえ、と思って見ていたら、あれよ

          繊細なひと

          好きなものに蓋

           先日、絵を描いている友人とお茶をしたときのこと。 今年は家に籠る時間が長かったせいか、外の時間はあっという間に流れていて、気づかぬうちに季節が変わって、扉を開けてびっくりだったね、と話し、「家にいるとき何してた?」という友人からの質問には、このnoteのことを答えた。  「うんうん、外に出ないから、向き合うものが自分しかなかったよね。」 続けて、  「私は断捨離をしたんよ、星野源のCDやらDVDやら雑誌やら、いっぱいあったものを全部手放した、すごく好きなんだけど、好きだから

          好きなものに蓋

          ソは青い空

           自粛期間中に実家の母から「相談があるんやけど」という連絡が来た。なんでも、母の友人の息子が東京の大学に進学して春休みで実家に帰省していた矢先に世の中がこんなことになってしまい、母としては授業もリモートだしこのまま実家にいてもいいのではと思うのですが、息子は早く東京に帰りたいと言い、毎日ケンカばかりなんです、何か良きアドバイスないですか?ということだった。まあ今は危険を犯さないほうがいいんでじゃないですか、というつまらない回答を送ったけど、よくよく考えてみると、学生時代での思

          ソは青い空

          星座の研究

           夏休みの宿題で最後のデカイやつ、というと読書感想文と自由研究が2トップではないでしょうか。まあまあ、読書感想文はさておき、わたしにとって自由研究は多忙な父と少しでも一緒に過ごすための大切なイベントであった。  父は小学校の先生で、いろんなことに対して興味と探究心があり、自分の好奇心に子供を巻き込んで行くことがとても上手だった。  小学1年から6年まで、それはそれはいろんな研究をした。裏山を歩き回って草木花や落ちてる動物の糞や骨を観察したり、セミの幼虫やトンボのヤゴを捕ま

          星座の研究

          夏休みのスリル

           今年の春は家に籠ってばっかりで、気づけば外の季節は夏になっていた。日差しも強く、湿度も高い。我が家もとうとうクーラーをつけてしまった。このクーラーをつけたときの、窓の外は暑いのに部屋の中は涼しくて快適な空間、クーラーのにおい、が妙にソワソワさせる。いい意味で。  また、休みの日に朝寝坊して、本来なら昼食の時間に朝ごはんを食べる。昨晩はそのまま眠ってしまったから、昼間にシャワーを浴びる。そして日が暮れぬうちから缶ビールを開けたりすると、これはもうソワソワ中のソワソワである。

          夏休みのスリル

          雨のことば

           歌川広重の「東海道五十三次(保永堂版)」が好きで、暇なときにはパソコンを傍に置いて描かれた土地をGoogleマップで検索して、ふむふむ今はこんな感じか、とおうちにいながらひとり妄想・東海道の旅をしていた。日本橋から京の都までの宿場町が描かれているのだが、その季節や気候は様々で、何枚か雨に打たれる絵がある。雨を線で表現したのは広重が先駆者だそうだ。  大学で英語を専攻していて、第二言語ではドイツ語とフランス語を挨拶程度勉強した。外国語に触れて感じることはやはり文化の違いであ

          雨のことば