2011.09.24 Saturday 日本の学校の先生のコミュニケーションの問題は、平均的日本人に共通した問題

(以前に書いたブログ記事の再掲)

上の子供は日本の公立小学校に4年間通ったのですが、驚いたことの一つは平均的な先生方の実務的コミュニケーション能力の低さでした。

色々なお知らせプリントが配布されます。防災ずきんを持ってくることや、体操服のここに名札をつけてください、いつ遠足があります、など。
そういったプリントで、会社などの実務コミュニケーション文章では当然のルールが守られていないことが目につきました。例えば、重要なこと・伝えたいことを冒頭に持ってくることや、意味的に同じものは一つの場所にまとめること、ビジュアル的にメリハリをつけることなど。一人の先生に限らず、さまざまな先生からのプリントを見ても、差はあれ似たり寄ったり。始めのうちはよほど赤ペン添削して返してやろうかと思ったくらいです(笑)

お知らせの真ん中あたりまで文章読まないと、何をして欲しいのかがわからない、x月x日に持ってきて欲しいもののリストが別表にあるが、それ以外にも本文を読まないと全てのものが記載されていない、あちこちに吹き出しコメントがあるが、意味のないものばかりでどこが大事なのかぱっと見てわからない、といった調子のものばかり。もらった連絡の中で一番わかりやすかったのは、緊急連絡メール登録について業者が作った説明文章だったりしたことも(笑)

プリントは、すべて手書きで書かれていて、ものすごく手間がかかっていることは分かります。Power Point 作成文章よりもはるかに暖かみがあるし、子供達にはこちらのほうがいいでしょう。効率一辺倒の会社と違って、小さな子供と接するためには少しのんびりとした感じというか、より人間くささが必要であるということも理解しているつもりです。

とはいっても、効果的なコミュニケーションの基本は変わらないはず。こういう先生達に作文の指導などを受けると、叙情性や感情表現ばっかり要求されて、何を伝えたいのだかよく分からない文章になっていってしまったりするのだろうなとか考えてしまいました。まあ日本の学校ではたいして作文を書く機会はなかったようですが。

現在子供が通っているアメリカの公立小学校の先生のプレゼンは、普通のアメリカ人の会社員同様、平均的に上手です。
学校が始まるときに、Parents and Teacher nightと呼ばれる一年間のガイダンスがありますが、そこでは30分程度の担任の先生がプレゼンをします。私が見てきたものは、たいてい教育のビジョンから始まり(そこでjob marketとかいう単語も出てきたりするのがアメリカ的ですが)、それをカリキュラムにどうやって落としているかを、典型的な vision - strategy - procedure の順番で話します。

企業で見かけるPowerpointプレゼンに比べると、先生方はまだ苦手なのか時間がないのか、見栄えなどはあまり良くなかったりするのですが、それでも30分程度の説明時間内に要点をまとめ、その後質問があったときの連絡先などの情報などもしっかり入ります。さらに、プレゼンのときの先生方の服装は日常の服装と違って、ちょっとドレッシーな服を着ていたりして、メリハリがついている感じです。

親子面談も、テストの結果など事実をまとめ、それに基づいて、筋道だって子供の活動について語られました。単なる印象ではなく、データや事実に基づいて語られました。

ただ、このあたりは、先生の質というよりは、平均的に実務コミュニケーション訓練が日本はあまりにも弱いからなのではないかと思います。アメリカで、特に先生のコミュニケーション能力が優れているわけでもなさそうです。逆に、企業の国際会議を見ていると平均的な日本人の説明の下手さははっきりと見えますしね。

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