2011.11.03 Thursday バイリンガル教育

(だいぶ昔に書いたブログ記事を再掲しています)

バイリンガル教育については、山ほど文献も俗説もありますが、私なりの経験と考えを書いておきたいと思います。私自身は小学校4,5年生で1年半ほどイギリス現地校でimmersionされた帰国子女です。

何歳からバイリンガル教育を始める良いのかについては、7歳以下だ、9歳以下だと低い年齢でいろいろ語られます。あるいは、徹底した母語教育のほうが先だとも。

きちんとしたデータに基づいた実証研究によれば、成長の各ステージにおいて、複数言語をいつどのように習得できるかについては、まだ専門家でも意見が分かれるようです。自分の経験からは人によって違うとしかいいようがありません。

例えば、大学生を過ぎてから新しい言語の習得を開始して、本格的な議論や発表、その他高度な知的生産をするのに実用上全く支障がないレベルで使えている人も複数知っています。逆に、帰国子女仲間を見ていて、住んでいた国の言葉を大人になってもきちんと話せる人は多くない。小さいと学ぶのは早いですが、忘れるのも早い。

言語音については感受期というものがあるそうで、例えば良く知られているように、大人になってから良い発音を身に着けるのは不可能ではないまでも大変です。楽器演奏の習得に似ているのかも。ただ、高校生くらいで海外に行って、わずかに外国人の発音があるけれど、ほぼ完璧な発音をできる人も知っています。
そして、国際語としての英語をターゲットとするのであれば、本当に完璧な発音というのは一部の職業を除くと、あまり問題にはなりません。心地よく、きちんと通じるということが重要です。そのレベルであれば後のトレーニングで相当レベルまで身につきます。

また、第二言語の文法に接触する時期は、早ければ早いほどその習得は早いという研究結果もあるようです。語順、冠詞、構文などなのでしょうか。

週に数時間程度の遊びを中心とした幼児英語教育は、その程度では言語習得にはあまり役立たない、それならば母語をきちんと学んだほうがいいという意見があります。幼児期が言語音の感受期だからといって、CDで外国語を聞かせても、親がしゃべる場合とは違って、効果は低いという研究結果もあります。英語のCDやDVDを幼児のうちから与えておけば、ヒアリングができるようになったり、しゃべれるようになるというほど簡単なものではないようです。

しかし、その言語に興味を持たせることと、他人よりも少し得意になると得意だからさらにがんばるという好循環が生まれるという面があるでしょう。また、二つの言語を習得した子供は、それぞれの言語の構造をより理解して二つの言語をより意識して使うという研究結果があるようです。多言語を習得することは他の能力を育てるのに役立つとのこと。

本当に使えるレベルになるくらいに効果を上げるためには、自分の見知った経験の範囲では、2年くらいimmersionし、その後も適切なフォローアップをし続ける必要があるようです。それ以外は、本人の努力しだいでかなり変わってきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?