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イベントのつくりかた

はじめに

最近、この記事がめちゃくちゃバズりました。
https://logmi.jp/business/articles/320474

これ僕が、手がけたZENTech Nightっていうイベントの第3回目です。(facebookで11000以上のシェア / コメント / いいね , スライドにも記載しましたが、著名な方々にもコメントをいただきました。

この記事がバズったのはひとえにプレゼンターである竹林さんのお話が面白すぎたことに尽きるのですが、こういうイベントのつくりかたって関心ある人いるんじゃないかなと思い、まとめてみることにします。

ZENTech Nightでの僕の役割は企画 , コンテンツ設計 , イベントロジ設計 , 台本作成 , 当日の司会・ファシリテーター , メディアとの交渉窓口など多岐に渡るのですが、一言にすればイベントオーガナイザーという言葉になると思います。

最初に、このnoteで扱う ”イベント” はいわゆるトークイベントや登壇者がいるカンファレンス、スピーチなどをイメージしてます。(あと、仲間あつめとかお金集めとかは、イベント以外でもある話なので省きます)

で、お前誰?語れるほどイベントやったことあんの?って話になるんで、自分が企画の中心で関わったイベントをいくつか集めてみました。


2013年12月23日 TEDxKeio2013
https://www.keio.ac.jp/ja/news/2013/kr7a4300000cy625.html
※学生統括 / Director , 登壇者のスピーチブラッシュアップ

2018年10月 ZENTech Night Vol.1 
https://www.facebook.com/events/478281272654226/

2018年11月 ZENTech Night Vol.2 「カルビー武田雅子さんに聞く、チームの心理的安全性構築」
https://zentech.jp/zentech_night.html

2018年12月 ZENTech Night Vol.3「オムロン竹林一さんに聞く、心理的安全性とイノベーション」
https://zentech.jp/zentech_night3.html

2019年1月 ZENTech Night Vol.4「キャプテン廣瀬俊朗さんに聞く、「勝つこと」とチームの心理的安全性構築」
https://zentech.jp/zentech_night4.html

2019年3月 ZENTech Night 最終回「森本千賀子さんに聞く、クライアントとつくる心理的安全性」
https://www.facebook.com/events/343825556341623/
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企画に至るまで
さて、こういうイベントってなんのためにやるんでしょうか?「やりたいこと(目的) , 求められていること(ニーズ) , やれること(実装手法)」のフレームに落とすとわかりやすいかもしれません。どんなことでもやるからには目的があります。ZENTech Nightを例にすると、ZENTech Nightには目的が2つありました。

1. 「チームの心理的安全性」というキーワードの周知
2. 株式会社ZENTech のファンコミュニティづくりと見込み顧客の開拓

また、「チームの心理的安全性」という概念は比較的、日本に入ってきたばかりのキーワードであり、多くの人にきちんと説明を届けることは価値が高そうです。これは求められていることでもあるなと判断しました。

目的と世の中のニーズを達成するための手法として、コストが比較的小さい、やれることの一つとして「イベント」がありえました。

イベント(オフラインイベント)の特徴として、参加にコストがかかる分、多くの情報(全ての感覚に訴えられる)を届けることができます。そのため、うまく設計をすると熱量高く参加者に多くのものを持ち帰っていただき、また今後のコミュニケーションもとりやすくなります。また、オンラインで完結するものと違い、目の前で場の調整(仕様変更)を行うことも比較的容易なので、運営者が気遣いができる人が集まっている場合、目的達成に対して確実性がかなり高いのも特徴です。

上記の順序で考えた時に、目的達成に確実性が高くコストが高すぎないということから、ZENTech Nightというイベント企画は生まれました。

コンセプトの決定
僕は世の中のほとんどのことは、コンセプトが一番大事だと考えています。コンセプトがよくても実装手法が悪いと人に届くものにならないですが、改善を繰り返すことができます。一方でコンセプトがそもそも悪いとどんな素晴らしい実装をしても、人に届くものに絶対なりません。

ZENTech Nightでは、目的が決まっていたことと、キャスティングできる人たちのことを考えた時に、以下のようなコンセプトを立てました。

"チームの心理的安全性について実践者の智慧とサイエンスの知見からみんなで考えるイベント"

実装方針の決定
コンセプトが決まると、自ずとイベントの実装方針が決まります。

・実践者の智慧 : ゲスト登壇者によるチームの心理的安全性と関わる様々なお話を引き出して話していただく (プレゼン , 対談)
・サイエンスの知見 : チーフサイエンティストである行動科学者、石井さんの説明(プレゼン)
・みんなで考える : 会場参加者とのやりとり(Q&A / ワーク)

コンテンツ決定
実際のプレゼン内容などを詰めるにあたって、登壇者と打ち合わせをします。とはいえ、登壇者はみなさまご多忙であることが多いため、限られた時間でより良い打ち合わせをするためにいくつか準備を行います。
(実際、ログミーの記事でも触れられてますが、ZENTech Nightの第二回目、武田雅子さんの会に関しては打ち合わせもオンライン、当日まで一度もお会いできないでテキストチャットベースで進めてました。)

1. 登壇者の情報をインプット : インタビュー記事や著書などがあれば読み込みます。最近は慣れてきたのでやりませんが、読み込んだ上で、年表をつくっておくとスムーズです。また読み込みながらわからないワードが出てきたらググるし、何度もお話しされていることはキーワードだと思ってメモしておきます。
2. イベント概要と目的 , 狙いをまとめておく : 僕が思う素晴らしい登壇者の方々は詳細に細部まで話すより、目的や自分たち(運営サイド)の戦略(なぜやっているか)などの上流部分をお話しただけで、ご自身のお話の中からここを話すとこのイベントには良いのではというエピソードを出していただけることが多かったです。短いインタビュー / 打ち合わせ時間になり得る場合、この点を意識して先にお伝えしておくだけで濃密さが変わります。

コンテンツの制限になるのは時間配分です。そのため、持ち時間に関してだけはコンテンツの中身を踏まえながらも、ある程度イメージしてお伝えする必要があります。そのため、全体の代替のタイムラインは先につくっておいて登壇者と打ち合わせる方がスムーズです。大事なのは全体のタイムラインのどのタイミングで来場者にどんな気持ちになってほしいかを明確にイメージしておくことで、そこがお伝えできるなら、時間配分に関してご指摘をうけることは少なくなると思います。

登壇者の発信についてのスタンス
少し蛇足になる可能性はあるのですが、登壇者と打ち合わせしたりしながら、コンテンツをつくる際に、僕が本当に大事にしているスタンスについてです。

イベントの趣旨にあっているかというのはもちろんですが、なによりも、登壇者である"その人にしか伝えられない大事なメッセージ"に近づいてるかをすごく意識しています。

その人にしか伝えられないような大事なメッセージというのを分解すると、
・その人の今までの実績やご経験などのバックグランド
・その人が伝えたいメッセージやストーリー
(・今回のイベントの趣旨)
だと考えています。

登壇者は多くのメディアでもインタビューされていることが多いです。
インタビュアーの皆様ももしかすると、登壇者の一番素晴らしい部分を引き出そうと努力をされてきたのだと思います。であるならば、続く、自分はそれ以上の魅力を伝えられるように努力できるかというのは、登壇者の方々はもちろん今まで多くの情報を出してくださったメディアの方々の努力に対して報いる最大の誠意だと考えています。

少なくても、お忙しい中で時間をくださった登壇者の方々の魅力を最大限伝えることができれば、今度はその魅力を感じた方々が次の舞台を作ってくれます。いつもそんな思いで、打ち合わせに臨んでます。

当たり前から非日常を

少しTipsになるのですが、登壇者は当たり前に自分の人生を生きてます。だから、視点が面白いと思ったものはきちんと伝える必要があります。一方で、来場者が感じている日常とあまりにも遠い面白さは、来場者にとって他人事にしかなりません。そういった意味で、登壇者の面白いエピソードを来場者がわかるように過不足なく伝えることが大事になります。

告知開始まで
こういったプレゼン / 講演形式のイベントだと、告知をするにあたって準備がいくつかあります。最低限で書いてみます。

1. Googleフォームなどでつくる参加応募フォーム
2. facebookやtwitterなどでの告知投稿

Googleフォームの詳細は調べていただければわかりますが、参加者の期待値や登壇者に聞いてみたいことなどを抑えておくと、当日のコンテンツへの参考になります。また、Googleフォームのバナー画像をイベント用のものにしておくと、勝手にフォーム自体の色が変わるので、意図して世界観を伝えていくこともできます。

Facebookイベントを立てるなどでも、参加ボタンで参加者リストはつくれますがいただいた情報をコンテンツづくりに生かしたいということおよび、リマインドのしやすさなども踏まえて、参加応募フォームを作成する方が後々の効率が良いと考えています。

告知開始
フォームが完成したら、告知を開始します。大掛かりな広告などをしないのであれば、FacebookやTwitterなどでの拡散、DMでの告知などが一般的なものではないでしょうか?インターネットの出現後、世の中、どんどんコンテンツが溢れているため、集客は関心の奪い合いに勝たないといけません。そういった意味だと、DMでの集客が地道ですが、一番確実なものになり始めているように感じます。

また、登壇者の方にFacebookやTwitterなどで拡散いただくようにお願いするにも良い方法です。ZENTech Nightはありがたいことに、ご登壇者や運営の投稿のみで(運営チームのブログがバズるなどの幸運はありましたが)、全5回で650名以上の方にご参加をいただけました。

リマインド
応募者には1週間前と前日にリマインドのメールをお送りすると良いかと思います。また、場所などの変更が生じた場合もコミュニケーションとして全体メールを送ります。メールで送る場合は、イベント用のメールアドレスを取得してToにはそちらのアドレスを、Bccで応募者全員にメールを送ります。

イベントロジ / 役割分け
一般的なイベントに必要な役割は最低限で、受付 , PC操作 , マイク回し(質疑応答用)あたりになるかと思います。また、照明や音響などに人があてられる場合、かなり凝った演出も可能になります。

イベント運営者は会場が決まり次第、PAについては最低限確認するべきかと思ってます。また、照明の位置などの下見もしておくとスムーズに進みます。

僕が会場を選ぶ際は、最低限マイクが4本以上ある場所を選びます。マイクを回す時間が長くなれば長くなるほど、来場者からの質問が一つ減る可能性があります。時間内により満足度を上げる場をつくるためには細部のこだわりが重要になります。

受付は来場者の人数にもよりますが、3ラインから4ラインあると、滞りなく人を流していくことができるかと思います。できる限り、またせずにスムーズな受付を行うことも場の満足度を高めるために重要です。

PC操作に関しては切り替えが可能な場合、2台準備しておくと、スムーズです。登壇者が自分のプレゼン用スライドなどを入れようとしているタイミングで、別のPCにイベントロゴが入った画像などを表示しておくだけで場が持ちますし、なにより操作している状況をプロジェクター画面から来場者に見せるのはとてもカッコ悪いです。そのため、極力2台以上が切り替え可能であると良いです。

当日の役割と担当、その人が何時にどこでなにをしているのかはエクセルなどでまとめておいてスタッフ全員に渡しておくといいです。

台本
イベント用の台本は流すMovieの時間 , 司会 , 各登壇者の話す時間 , 登壇者の入れ替わりの時間などこと細かに設計しておきます。特に司会に関しては話す言葉自体も書いておいていいかもしれません。秒単位で台本を準備しておいて登壇者に事前に共有しておくと、登壇者も話の過不足について意識をしてくださるので、イベント運営側からして良いTipsかと思います。

配布資料 / 投影スライド
フライヤーなどの配布資料は受付で配ります。また、事前に登壇者からも告知したいことがあれば配布資料を配らせていただく旨をお伝えしておくのが良いかと思います。登壇者 / 来場者 / 運営が全てWin-Winになれるような仕掛けは特に意識して行います。

投影スライドに関しては、全体進行のもの以外だと登壇者が自分で作りたいとおっしゃる場合が多いのですが、ZENTech NightはGood Design賞を受賞している優秀なデザイナーがいたので、投影スライドに直させていただくので、事前に資料をいただければというコミュニケーションを登壇者と行なっていました。このおかげで全てのスライドが同ファイル上に収まっているので、PC切り替えのコストがかなり削られました。

ワークについて
講演型のイベントだと会場がインタラクティブにやりとりできるのが、主に登壇者と来場者全体って形になりがちです。1対nのコミュニケーションも大事ですが、n対nのコミュニケーションが生じると満足度が高くなるので、登壇者プレゼン後の休憩時間などを通して、来場者どおしが繋がれるワークを入れておくと盛り上がりが強くなります。

ZENTech Nightでは「一期一会だと思っての名刺交換」 , 「森本千賀子さん直伝の飴ちゃんワーク」などを休憩に入る前に説明して、休憩時間を通して、お手洗いなど以外に会場が交流できるように設計しました。おかげさまでものすごい会場の一体感につながりました。

当日、本番の心がけ
運営者の心がけでしかないのですが、とにかく会場全体に気を張っておいて、細かいところをフォローし続けることが大事です。ZENTech Nightではイベントオーガナイザー以外に、司会とファシリもやっていたので、司会とファシリの心構えも書いておきます。

司会はなによりも滞りなく速やかに進行を進めると言うことを意識します。また、ファシリテーターは登壇者ゲストに話を振る役割でもあるので、ゲストのエピソードの中で、これは会場に届けるべきだというものさわり部分を話ながらゲストに聞いてみるなどを心がけましょう。あくまで自分が触媒になって、ゲストの面白いエピソードを会場に届けるという気持ちで進めていきましょう。

終わったあと
きちんと御礼メールを登壇者 , 来場者にお送りしましょう。
また、目的に対して行うべきコミュニケーションがあれば行うところまでがイベントです。

ZENTech Nightはありがたいことに、Logmiさんにログが掲載されるようにできたので、ログミーさんとのコミュニケーションは、イベントで生じた価値を、メディアを通してご紹介いただくチャンスです。目的に対してより多くの付加価値があるので、原稿のチェックなどを全力で頑張りましょう。(現在、ZENTech Night Vol.4の原稿チェック中)

最後に
きちんと書いてみたらなかなか大変な作業をしていたのだなと思いました。(それでも全く書き足りない。)

でも、イベントは仲間と一つのものをつくりあげる過程も、当日の場自体もとても楽しいものです。期日が決まっているのでやらなきゃいけないですし、その過程は本当に大変ですが、終わった後に残るのはきっと達成感だと思います。ぜひ楽しんでください。

この文章を読んで、イベントをつくりたいなって思った方がいればぜひ取り組んでみてください。楽しいイベントが増えれば増えるほど、未来はよりよくなると信じてます。僕も11月末に1000名規模のイベントを行う予定です。もし、ご関心ある方いれば、ご連絡ください。楽しいイベントを一緒につくりましょう。

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