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菊地康介のコーヒーをめぐる旅 Vol.4

新型コロナでビジネス計画が白紙に

話し手:菊地康介 / 聞き手:永井一樹(附属図書館職員)

(永)緊急事態宣言直後の4月11日に、コーヒーでクラウドファンディングに挑戦されましたね。

(菊)はい。新型コロナウイルスの影響で、当面は就職も難しそうだし、この1年間は、自分の力を試してみよう思ったんです。自分でどこまでやれるか、具体的には自分でおカネをどう生み出せるかを考える年にしようと思ったときに、自分でお店をつくるしかないって思ったんですよ。でも、開業資金なんてないですから、じゃあクラウドファンディングにチャレンジしてみようかと。計画書を書いて、クラウドファンディングの会社に出したら、やっていいよっていう話をしてもらって。あとボタンひとつ押せば公開というステージまで来たのが3月後半で、ちょうど新型コロナウイルスで日本がパニックになり始めていた頃でした。

(永)そうですね。

(菊)その頃、テレビでも一気に危ないぞ、やばいぞっていう雰囲気になってきて、なかでも逼迫した医療現場の状況が毎日ニュースで伝えられていました。それを見ていたときに、今このタイミングで、自分のお店を持つために、皆さんおカネくださいって、何だかすごくかっこ悪いなと思ったんです。すごく独り善がりだなと。
それで、クラウドファンディングの会社に相談して、一旦計画を白紙にすることにしました。

(永)あとボタンひとつというところまで来ていたのに…。

(菊)はい。その代わり、今回のパンデミックで大変な思いをされて働いている人たちのためになるようなクラウドファンディングを立ち上げようと、方針転換しました。
今、大変な状況のなかで闘っている人の代表って誰だろうって、考えたときに、僕の中で真っ先に浮かんだのが「国境なき医師団」だったんですよね。で、事務局に連絡をして、クラウドファンディングで集めたおカネを全額寄付したいんですって話をしました。そしたら、結構複雑な手続きが必要で、すごく面倒くさくて…。
自分がおカネをもらう側だったら、まあそんな面倒も耐えられるんだけど、寄付する側だったので、正直辛かったですね。

(永)最終的にどれくらい集まったんですか?

(菊)目標は50万円だったんですが、ほんとにぎりぎりで達成しました。

(永)おめでとうございます。そんななかで、菊地コーヒーが開業。それって、いつ頃の時期でしたっけ。

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(菊)それは、クラウドファンディングで、最後の一人にリターンのコーヒー豆を送り終えた6月10日だったと思います。

(永)でも、「国境なき医師団」に全額寄付したから、開業資金なかったんじゃないですか。

(菊)ないですね。だから開業といっても、今はコーヒー豆を扱うオンライン・ショップのみなんです。

(永)客層はどんな感じですか? 菊地君と全くつながりのない人からも注文が来たりする?

(菊)そうですね。そのきっかけになったのが、クラウドファンディングでした。クラウドファンディングでは、もちろん知り合いの方からの支援が多かったんですが、全く存じ上げない方からもご支援をいただきまして。そんな方から、「リターンのコーヒーが美味しかったから、お店の方にも注文してみました」っていうコメントを頂いたりしたんですが、とても嬉しかったですね。

菊地康介ロングインタビュー 目次

|0| 菊地康介という若者
|1| フリースクールで培った「自由」
|2| パナマの寒村に飛ばされて
|3| 新型コロナでビジネス計画が白紙に
|4| モットーは「人生を丁寧に」

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