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新潟県出身orゆかりの人物による讃美歌・聖歌作品リスト

 クリスマス目前のこの時期は、キリスト教の歌が最も流れる季節ではないかと思います。そういう季節に便乗したローカルネタです。
 あえて「キリスト教の歌」と書いたのは、タイトルにある通り教派によって呼称が異なることを強調するためです。
 聖歌と称しているのは、下記の教派で合っているかと思います。

・ホーリネス系(きよめ派)…聖歌(絶版)、新聖歌聖歌総合版
・聖公会…日本聖公会聖歌集
・カトリック…典礼聖歌カトリック聖歌集

 讃美歌・聖歌に関する情報ソースすべてに当たれている訳ではありませんが、分かる範囲で「ゆかりの歌」をご紹介していきたいと思います。なお、物故者は敬称略としています。
掲載順:曲名、動画、諸歌集での収録番号
歌集略称:讃=讃美歌(1954年版)、21=讃美歌21、こ~こどもさんびか改訂版、新聖=新聖歌、福讃=教会福音讃美歌(他にも歌集はありますが、キリがないので一部例外を除いて5冊にとどめています汗)

羊はねむれり(讃243、21-252、新聖85、福讃86)

 作詞者・三輪源造(1871~1946)は新潟県に生まれましたが、『讃美歌21略解』には新潟とのかかわりについてこれ以上詳しく記されていませんでした(^^;; 同志社大学神学部(当時:同志社神学校)を卒業後、各地のミッションスクールで教鞭を取り、1903年版・1931年版の『讃美歌』(諸教派統一)の編集に携わったそうです。

ああ主のひとみ(讃243、21-197、新聖221、福讃219)

 こちらも作詞者の一人・梅田信治(1922~76)が新潟県直江津出身です。地元にあった直江津愛真教会で1948年に洗礼を受け、神学校卒業後は日本イエス・キリスト教団の牧師として各地で働いたそうです。

主の祝福があるように(福讃206)

 上越つながりで現代の作品を紹介します。作曲の塚田献氏(1969~)は高田聖書教会主任牧師であると共に、隣接する柏崎市にある神学校・新潟聖書学院の院長に今春就任しています。
 また、東京基督教大学在学中に結成した賛美グループ「LYRE(リラ、wiki)」のメンバーでもあり、LYREの楽曲は教会福音讃美歌にもう3曲(194、195、331=若林栄子氏による)収録されています。本記事ではいわゆる「厚い歌集」に収録されている曲を対象としていますが、LYREの作品は25年余の歴史で数多く生まれていますので、探してみてください。

キリストこそまことの平和(新聖351)

鹿が渇いて谷川の(福讃191)

父なる神に(福讃275)

Send me ! (福讃469)

 作者同士のつながりを意識して下川羊和氏(1967~)の4曲を紹介します。氏は新潟市で生まれ育ち、教会福音讃美歌の発行団体「福音讃美歌協会」で讃美歌委員・神学委員・理事を務めました。日本同盟基督教団の3教会での勤務を経て、現在は新潟福音教会牧師です。
 「鹿が…」は「神よ牡鹿の」(讃322、21-132※別訳、新聖304)と同じ旋律で、同じ詩篇42篇をもとにした新しい詞が下川氏によって作られたという一曲です。「父なる…」は、教会福音讃美歌CDシリーズの4枚目「日本人が作った神への讃美」のラストに収録されています。(塚田氏の作品も同作の14曲目に)

心に主の愛(新聖352、福讃417)

 作曲の大竹海二氏(1947~)は村上市出身で、東京藝術大学作曲科を卒業。神学校で学んだ後、日本長老教会の牧師として千葉と東京の教会で40年近く勤務されました。

主が来られたから(日本聖公会聖歌集517)

 作詞・作曲の菊地功氏(1958~)は、2004年秋から13年間に渡ってカトリック新潟教区山形秋田両県も管轄)の司教を務め、後任が着座するまでの2年間は使徒座管理者として新潟教区に関わってこられた方です。現在は東京大司教区大司教、日本聖書協会副理事長などの働きをされています。

幾千万の母たちの(讃美歌第二編70、21-372)

きょうだいげんかを(こ15)

 作曲の大中恩(1924~2018)は東京生まれ。オルガン曲や讃美歌の作品を多く手がけた大中寅二を父に持ちましたが、父親への反発心から音楽の道に進んだと明らかにしています。東京音楽学校(現・東京藝術大学音楽学部)で作曲を学んだ後、多くの歌曲・合唱曲を世に送り出し、芸術祭奨励賞をたびたび受賞。1955年には中田喜直らと「ろばの会」を結成し、子どものための音楽作品の作曲に尽力しました。
 創立から半世紀を超えた敬和学園高等学校校歌と学園讃歌(創立40周年記念)、さらに来年で創立30周年を迎える敬和学園大学校歌(創立20周年記念)を作曲しました。
 二作とも、「サッちゃん」「おなかのへるうた」等の童謡を生み出した従弟にあたる阪田寛夫とのコンビ作品です。

 2曲とも演奏者によってアレンジが加えられていますが、1曲目の原曲に忠実なアカペラ四声合唱はこちらです。

21.1/1追記:「讃美歌の虫干し」というマニアックなfbグループにこのリンクを貼った上で、「他にあるようでしたらお教えください」と呼びかけたところ、こちらの曲をご指摘いただきましたので追記します。

花彩る春を(讃21-385)

 作詞の上島美枝氏(1961~)は愛媛県に生まれました。讃美歌21出版に向けた「新しい讃美歌募集」(1989~95)に応募され、選外佳作に選ばれた…というとまどろっこしいですが、それだけ認められた作品だった訳です。原作は、氏の父親が作った曲に合わせて詩作されたものだったそうです。
 結局委員会によって手が加えられ、高浪晋一氏による新しい曲が配されて讃美歌21に収録されました。現在では、召天(逝去)者記念礼拝でよく歌われる曲になっているのではないかと思います。
 讃美歌21略解では氏の肩書が「新潟教会オルガニスト」と記されています。氏のお連れ合い・一高氏は、2000年から10年間に渡って同教会牧師を務めていました。(詳しくはこちらのページへ)
 動画は、ちょうど高浪氏本人によるものです。7月末から、数多くの賛美歌・合唱曲を届けてくださっています。

21.7/31、9/4追記

ちいさいこどもの(21-189、こ47)

 作詞の北村宗次氏(1930~)は高田(上越市)出身で、関西学院大学大学院(神学)、ユニオン神学校(アメリカ・ニューヨーク)、セント・アンドルーズ大学(スコットランド)で学び、日本基督教団宝塚・東中野神戸栄光の各教会の牧師を歴任。神戸栄光教会在任中に阪神淡路大震災を経験し、復興に注力しました。また、同教団讃美歌委員長や日本賛美歌学会初代会長を務め、礼拝学や讃美歌に関する著作を数多く残しています。
 個人的に一度お会いしたことがあり、その際にこの曲の楽譜にサインをしていただいた思い出があります。
(7/31-9/4の間、21の番号と添付動画を間違えていました。お詫びして訂正致します)

あかるいひかりを(こ11)

 上記サイトでは、一部のみ無料で聞けます。

ひとりの小さな手(ともにうたおう34)

 動画が見つからなかったので歌詞が掲載されているサイトを貼りました。この曲は本田路津子さんの歌(訳詞)として知られていますが。1954年版讃美歌にとっての第三編と言える歌集「ともにうたおう」に収録されるにあたって「信仰共同体の意味をはっきりさせるため」(巻末解説から引用)に付加された6節の詞を北村氏が作詞しました。

 ということで、現時点では15曲が確認できています。プロ野球やJリーグでは「出身地別一覧」等の概念がたまに登場すると思いますが、讃美歌ではなかなか見られないのではないでしょうか。讃美歌第二編では曲の「つくり」に着目して、欧米賛美歌、日本現代賛美歌、単旋律聖歌、コラール・詩篇歌等…という順番で掲載されていますが、作者出身地別索引はどう考えても難しいでしょうね(^^;; 「ご当地ソング」「地産地消」という概念が賛美歌にもあってもいいような気はするものの、当面は地道に探していく他なさそうです。
 そういう訳で「漏れ」が十分予想されますので、お気づきの点がありましたらお教えいただければ幸いです。

 今回の見出し画像は、県内最大のチャペルである敬和学園高校のチャペルです。楽器本体は残念ながら見えませんが、ユニットオルガンのパイプが正面の奥(?)に据え付けられています。

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