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大人がハマる昆虫研究

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40になって知ったディープな昆虫の世界。身近な環境も、視点次第で宝の山に。
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2022年9月の記事一覧

圃場整備された水田にはどれくらい水生昆虫が生息しているのか?

圃場整備された水田にはどれくらい水生昆虫が生息しているのか?

現在国内で止水性の水生昆虫が絶滅の危機に瀕しているのは周知の通りで、神奈川県においても、かつては水田で普通に見られたらしいナミゲンゴロウやタガメが姿を消してからすでに久しい。これら止水性水生昆虫の減少の原因として、水田における強力な農薬の使用や圃場整備による乾田化、中干しの強化等の稲作の近代化の他、水田に付随するため池への侵略的外来種の侵入や護岸強化が挙げられている。このようなネガティブなイメージ

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相模川の伏流水に生息するメクラヨコエビ類

相模川の伏流水に生息するメクラヨコエビ類

神奈川県厚木市内の相模川に水生昆虫探索によく通っており、伏流水の湧く地点から盲目のヨコエビ類を見つけたことがある。話によると、このような地下水性のヨコエビ類はそれほど珍しい存在ではないらしいが、実際に目にすると、地下水の知られざる生態系を垣間見たようで、何とも不思議な気分になる。

よく分からないが、メクラヨコエビ類のPseudocrangonyx属だろうか? 上記ヨコエビは、2018年12月~2

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オリンパスのコンデジTGシリーズの写真に映り込む円形ゴーストを画像処理で消す技

オリンパスのコンデジTGシリーズの写真に映り込む円形ゴーストを画像処理で消す技

昆虫の生態や標本の手軽なマクロ撮影に,顕微鏡モードを搭載したオリンパスのTGシリーズのコンパクトデジタルカメラを使用している方は多いだろう。TGシリーズは,顕微鏡モードに深度合成機能も併用することで,体長数ミリの小さな昆虫でも手軽に鮮明な拡大写真が得られるので大変便利なのだが,高倍率で撮影すると,画像中心に青味がかった円形のゴーストが映り込みやすい欠点がある。自分はTG-5を使用しているが,特に,

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大人がハマる昆虫研究

大人がハマる昆虫研究

虫との邂逅小学生の頃はカブトムシやクワガタを採ってきて飼育を楽しむ程度の昆虫少年だったが、中学生以降、興味の対象は他のものに変遷。大人になってからは、灯火に大型の甲虫が集まっているのを目にしても何の感慨も湧かないほど虫への関心は完全に忘れていたが、息子がきっかけで、再び「虫屋」になった。それも、昔よりも遥かに深いレベルで。

2016年の夏、上の子が6歳のとき、義父(元昆虫生化学者)が昔作った見事

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