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「ワクワクが止まらない」感動への飽くなき追及人生とは・・・

 現在72歳となる長崎県島原市出身の田中健一さん。2006年から8年間、岡三証券代表取締役として証券業に携わる傍らNY大学ビジネススクールの日本同窓会会長、長崎大学経済学部の同窓会会長を歴任、現在長崎大学の学外理事を務める一方、長崎市観光大使として長崎アピールに勤しむ田中さんが歩む「ワクワクが止まらない」感動への飽くなき追及人生とは・・・
 


退職後、最高の人生が始まった

 時間は全員に平等に与えられたものです。その時間をうまく使って大切にする、とにかく時間のお金持ちになりたいのです。私にとっての退職とは自分で時間を自由に使えるということであり、まさしく最高の人生が始まりました。やりたいことは山ほどありますから。仕事時代の付き合いはあまりありませんが、同窓会や異業種交流会など、縦と横がある世界、いろんな業種や年齢の人との交流は楽しいです。少年野球のコーチをしていた時代の人達とも30年ぶりに交流を再開しました。
そのためにも会社を辞めたときにいかに健康であるか、が大事です。健康維持のためには、適切な睡眠・栄養・運動が大切と考えています。腰痛持ちなので最近はプールで歩くことを始めました。膝と腰に有効とのことなので、一生懸命通って改善するかを試してみたいと思っています。
豪華な食事や高価な買い物よりも、昨日の自分より今日の自分、1つでも技が磨かれたとき、謎が解けたとき、そんなレベルアップを感じたときが喜びであり、感動です。それが自分にとって何よりの贅沢なんです。
 

商品は同じだから自分の魅力を売れ

 40代の頃、お客様にもっと雑学を勉強して人間の幅を広げろと言われました。売り込む商品は同じだから自分の魅力を売れと。そんなとき、ふと「五月晴(さつきばれ)」と「五月雨(さみだれ)」、この相反する言葉に疑問を感じ、調べたところ「五月晴」は、もともと旧暦5月が梅雨にあたることから、梅雨晴れとも呼ばれたが、近年は一般に新暦の5月の晴天をいう(出典:「ブリタニカ国際大百科事典」)ことが判明、そして「立春」は新暦や旧暦と違ってまた別の暦である「二十四節気」の春ということもわかり、暦の面白さや雑学にはまっていきました。日本は暦に限らず、日本語と外来語が混在した言葉や、ビジネス界でも会計・ガバナンス制度が幾種類もあるなど、何ともちゃんぽん的な風習や制度が多いこと、気にかけてみると不思議なことだらけで興味は尽きません。
 

歴史は大いなる謎解きの宝庫

謎解きがこの上なく大好きです。日本史研究の醍醐味は、真実は違うんじゃないか、と推理小説のようでワクワクします。調べたことが当たったときの爽快感、ぴたっと合うと本当に嬉しい。食べ物や車などのモノにはさほど興味がなく、不思議の追求が何よりの贅沢です。そしてこの贅沢を味わうための調べる作業は自分との戦いです。なぜ壬申の乱からいまだに犬を飼わない地域がある?なぜ西郷隆盛の神社が山形にもある?なぜ瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)の配偶者の木花之佐久夜毘(コノハナサクヤヒメ)が世界文化遺産の富士山に信仰の対象として祀られている?そんな繋がり(真実)を知るごとになるほど、と妙な感動を覚え、また次の感動のために新たな不思議の追求に邁進します。
 

邪馬台国は最高のミステリー

 邪馬台国については暇を見つけて30年調べています。とにかく邪馬台国は複雑な方程式のようで謎が多い。邪馬台国にハマったのは島原の作家、宮﨑康平の『まぼろしの邪馬台国』が高校三年生のときに話題になったのがきっかけですが、読んだのはしばらく経ったあと、東京に出てきてからで、これが面白かった。それから邪馬台国に関する本を数百冊ほど読みましたが、読むほどに異なった主張が多いということが判明、より確かな情報を求め、魏志倭人伝2,000文字を漢和辞典片手に何度も読みました。

出典:石原道博編訳『魏志倭人伝』1985年


邪馬台国関連地域にも定期的に訪れています。先日も唐津・糸島間を山越えで辿り、「東南陸行五百里至伊都國」の謎が解けました。邪馬台国については九州説と近畿説で現在も論争が続いていますが、九州の福岡県にある広大な環濠集落を構えた「平塚川添遺跡」が邪馬台国であると確信しています。

出典:筆者撮影『平塚川添遺跡』


 

あれもこれも、で視野を広く集中力UP

 同時期にあれもこれもと挑戦するのが大好きです。何かに固執しているとかえって見えなくなるものです。多角的な見方をすると見えてくるものがある、全部繋がっています。だから思い立ったらすぐ行動、試してみます。字が下手と妻に言われた週末には書道に通い始め、10年間書道に熱中しました。お陰で挨拶文や署名などが苦にならなくなりました。試す時間を作るためやり繰りを目一杯考える。幅広く深く入りたいからこそ集中する。思えば高校三年生のときギリギリまでバスケに熱中した結果、慌てて大学受験への猛勉強に突入した短期間の集中力が今も役立っているのかもしれません。

バスケに熱中した高校時代


 

調べたことを使える情報にするために

 本は洋書も含めて良く読みます。本を読むときは線を引きながら読み、次はその引いた線のみを読みます。最後はそれをまとめてスマホへ保存。電車に乗っているときなど定期的にそのまとめた情報を見ることで、記憶に残りやすくうっかり忘れても、すぐ引き出すことができる使える情報になります。高校時代など過去の写真もすべて整理してスマホに保存しました。いまでは人と話しながら半世紀前の写真がすぐ出てくるので盛り上がり、重宝しています。スマホはもう手放せません。
 

世の中は偽情報で溢れている

 情報過多の時代だからこそ、その情報の中で一次情報をいかに入手するか、を大事にしています。一次情報を自分の足で見つける努力は惜しみません。例えば神社に行けば宮司さんに会って直接話すようにしていますし、新聞に掲載された気になる企業の記事は、直接その企業のホームページを検索して調べることなどもしています。
ただ常に一次情報を入手できるわけではなく、二次情報のみの場合もあります。二次情報の場合には誰かの意思が入った情報となるので、なるべく複数の情報を取って、全体を見るようにします。三次情報ともなると評論家が出てくるので、その情報には注意が必要であるとともに、かなり多くの情報をみる必要があります。真実を見つけて先を読む力、それはリスクを軽減することでもあり、非常に大事にしています。
地元で自治体から大雨による避難指示が出たとき、指定の避難場所より自宅の方が高い位置にあると以前より調べていたため、冷静に自宅で待機していました。仕事でも例えばユーロ危機のときに欧州に出かけてECBや金融機関を取材し、本物の情報を得て役立ちました。
時間を節約して人の話を鵜呑みにする「認知的節約」、人のせいにする「認知的不協和」という心理学があるが、これが一番ダメなことです。
 

変化に合わせて楽しむ

 趣味は多い方がいい。ゴルフは一人でも仲間とでもできるので、ずっと続けています。なかなかシングルプレイヤーには戻れないけど、ちょっとでもうまくなれたら、と自分自身との戦いを楽しんでいます。旅行も大好きで、これまで多くの国を訪問しました。今は難しいけどまた旅に出たいなあ、と思っています。国内の旅は主に神社・仏閣の深訪で、新しいことの発見に欠かせません。
世の中はどんどん変化していきます。そして変わるからそのときにできることを一生懸命やり、そのときそのときに仲間と楽しむ。コロナ禍で大勢と集まることができなくなったときも、いち早くZOOMと契約してネットで続けられるようにしました。お陰で今まで以上に会合の充実した面が出てきたことも新発見です。地方の友人・知人との会話も増えました。もちろん対面は最も大切な手段だと考えますがですが、これからはハイブリッド会合も欠かせないようになるかと思います。以前習っていた好きな水彩画もまた始めたいと考えています。

自筆の水彩画『オランダ坂』


 

運命は変えられる

 宇宙が誕生して138億年、地球が生まれて46億年、人類が誕生して700万年、人生は何のために生を受けたか考えても分からない。心配してもしょうがないから一生懸命生きて感動を味わおう、と。そして何に迷っているか分からないときは、とにかく書くことにしています。それだけでも自分の頭が整理されます。宿命は変えられないが、運命は変えられる。宿命、運命、立命、天命の順です。禅の言葉に「心こそ心迷わす、心なれ、 心に心、 心許すな」とありますが、いっときの感情に流されず、いかに冷静に保てるか、恐怖に勝つにも磨いた技を出せるかも、心次第です。ただ心を鍛えること、これが一番難しい。
 

いまどこに行きたいか?

 そう問われたら、やはり吉野でしょうか。吉野は神武天皇、天武天皇、後醍醐天皇が一時隠れていた場所です。神武天皇は神武東征で近畿の豪族と対峙した時、天武天皇は壬申の乱で大友皇子と戦った時、そして後醍醐天皇は南朝政権を掲げた時に滞在した大変興味深いところです。これまで何度か訪れましたが、また行きたいところです。

#生きがいの持続化 #イキイキ #ワクワク

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