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ひゃくま
2020年12月29日 20:49
6/ 学校祭2日目の今日も耕輔たちの通う高校は大盛況であった。 「はぁ……なんで俺、今日もウェイターやってんだ……」 耕輔が小さく呟いた。 耕輔は自分のクラスの喫茶店で昨日に引き続きウェイターをやっていた。 本来であれば耕輔の出番は1日目と3日目で、2日目は丸々遊べたはずだったのだが―― 「アンタが昨日サボったからでしょ」 耕輔の目の前にいた坂本が乱暴に耕輔の持つお盆の上にコーヒーと
2020年12月22日 20:33
「ッ……!?」 魔法陣が容易く切り裂かれた男が後ろへ飛び退き、一瞬で詰められた間合いが一瞬のうちに元に戻った。 夕夏も追撃を加える事もなく、男の魔法陣を切り裂いたFPの刃を振り払い、再びその刃を構えた。 夕夏が追撃に出なかったのは、相手にまだ未知の部分が多いためだろう。 夕夏は刃を、男は自信の腕を構えたまま牽制しあう。 それだけの時間があれば耕輔が構えるのにも十二分だった。 1対
2020年12月15日 21:17
5/ 「宇野君」 先行している夕夏が口を開いたのは、ちょうど階段を上っている時だった。 赤崎達と別れてから、二人の間には会話が無かった。 耕輔は喋らないまま進む夕夏の後を付いていくのが精一杯であった。 しかし、なんとなく夕夏のその歩みに迷いが無いような気はしていた。 「さっき、赤崎が言っていた言葉を覚えているかしら」 「……『FPの流れがおかしい』、でしたっけ?」 足を止めることも
2020年12月8日 21:13
4/ 「あ、有村会長!! どうでしたか?」 お化け屋敷を出るとすぐに受付をしていた女子生徒に声を掛けられた。 どうやら夕夏と耕輔が出てくるのを待っていたらしい。 「随分作り込んであって見事だったわ」 女子生徒の言葉に耕輔は引き攣った笑顔を返すのが精一杯であったが、夕夏はいつもと変わらぬ笑顔と調子で応えた。 応えてから、夕夏はポケットから手帳のようなものとペンを取り出して、何かをメモした
2020年12月1日 22:26
3/ 「ちょ、ちょっと!! 会長!!」 夕夏に手を引かれ、学校祭で賑わう校内を猛スピードで走り抜ける。 いったい何の用事なのか、いったい何処へ向かっているのかわからないまま連れまわされる。 時折、校内で知らない者の居ない夕夏に生徒たちが男女問わず声を掛けてくるが、夕夏は器用に、速度を落とさないまま微笑んで手を振っていた。 耕輔の制止に一向に応えないまま、夕夏は走る。 廊下を行き、階
2020年11月24日 21:40
いつも以上に活気づいている教室内で琴占言海は忙しく荷物を運んでいた。 いつもの制服姿ではなく、上はTシャツに下は制服のスカートという、少しラフな格好であった。 「ん?」 そんな言海は喧騒の中で自分のスマートフォンが振動していることに気付いた。立ち止まり、荷物を抱えた状態で器用にバランスを取り、スマートフォンを取り出して画面を確認する。 短くはないメッセージであった。 「……なるほど」