【おすすめ本の紹介】オタク経済圏創世記
今回は「オタク経済圏創世記」をご紹介します。
この本を読んでアニメやゲームなどの歴史やビジネスモデルについて理解が深まっただけでなく、コロナ禍やアフターコロナの働き方やお金の動きについて示唆に富む内容だと思いました。
そういう意味で、書籍の気になった部分を紹介するだけでなく、この1冊から考えた未来考察についても書いてみたいと思います。
日本人の強みの仕事に生かすヒントに
日本人の特徴の1つは協調性と言われることが少なくありませんが、アニメやゲームのビジネスについてもその強みが発揮されていることがこの本からわかります。
ゲームやアニメ関連の仕事をしていない人にとっても、この点は参考になる部分が多いように思います。
アニメやゲームの歴史について様々な記載がありますが、これらの産業はたくさんの企業がチームを組んで展開されていることが紹介されています。
例えば、今でも人気作品であるエヴァンゲリオンでは、アニメ委員会方式というテレビ局ではなく広告代理店、映像メーカー、音楽メーカー、玩具メーカーが共同出資して作られていることが書かれています。また、ポケモンの場合はなんと70社が4000種類の商品を展開しているということもまたわかります。
このように、収益とプロモーションをどうしたら最大化できるかを考え、各企業が連携して実践しているのが現在のアニメやゲーム等のビジネスモデルです。
これはおそらく海外ではマネしにくいモデルで、日本人が強みを発揮できる仕事の仕方ではないでしょうか。アニメやゲーム等との関連性の薄いお仕事をされている方にとっても、これらの取り組みは参考になると考えます。
今まで同じものに見えていて実は中身が変わっている仕事がある
アニメやゲーム自体は、最近のものではなく昔からあるものです。しかし、中身は一見すると同じ見えて実は変化していると見ることもできます。
今これらのビジネスで成長が著しいのがソーシャルゲームです。このゲームも昔からあり、出てきた当初は昔からあるゲームを携帯端末でプレーできるものでした。
しかし時代を経るにつれてそれは変わってきていて、ゲームのタイプは隙間の短時間で何度もログインしてプレーできるものが増えてきていることが紹介されています。
またゲームの魅力部分にも変化が見られます。昔ならRPGゲームを早く攻略したり、アクションゲームなどでの洗練されたプレーするのが魅力的の1つだったと思います。
しかし今はむしろ一緒にゲームする仲間と競い合ったり交流したりすることが、ゲームする人のモチベーションになっていることも本の中で紹介されています。
一見変わっていないと見える商品やサービスが実際には変化しているという事例は、すぐにはわかりにくく盲点になりやすいのではないでしょうか。
こういった視点で昔からある仕事を見てみると、新しいアイデアが浮かんでくるかもしれません。
コロナ禍で注目される職業
アニメやゲームの世界において露出が高まっているのは声優です。
声の仕事なので、昔は人前に露出することはあまりなかったように思いますが、最近では一流アーティストのように大きな会場で音楽ライブを開催したり、地上波でも芸能人に交じって見かける機会が多くなりました。
これらに加えて、リアルとバーチャルの架け橋となる職業としてもこれからさらに注目されるのではないかと感じています。
アニメやゲームもそうですが、人は集うことが大好きです。いわばコミュニティですが、こういったものを求めるのはコロナ禍でも変わらないのではないかと考えます。
コロナ禍の場合はリアルで集いにくいので、オンラインも加味したコミュニティになりがちですが、その観点で目に留まったのが、リアルとバーチャルを組み合わせた2.5次元ビジネスです。
その一例として本の中では、声優がバンドを組んでメディアミックスで展開しているBanG Dream!(バンドリ!)などが紹介されています。
バンドリはアニメの各キャラクターがバンドを組んで成長していくお話ですが、実際にキャラクターの声を担当する声優も実際にバンドの練習をして、日本武道館などでライブを行っています。
コロナ禍でリアルで人が集う意味も問われてきます。またコロナだからといって消極的にオンライン化してもうまくいかない状況も各方面で見えてきています。オンラインにはオンラインだからこその価値も求められています。
そんなリアルとオンラインの両方の価値を上げる担い手が声優ではないかとこの本を読んで感じました。
そういう意味で声優が今後どのような仕事をしていくか注目していくと、未来の仕事の仕方を考える上でヒントになるではないでしょうか。
まとめ
アニメやゲームは昔からあるものですし、本のタイトルにある「オタク」と呼ばれる一部の人が関心を持つものだと考える方もいるかもしれません。
しかし、この1冊を読むと日常生活のあらゆる場面でこういうコンテンツは使われており、仕事をする上で無視することができないことがわかります。
またリアルとオンラインの融合という観点でも、アフターコロナの様々な仕事やビジネスを考えるヒントが隠されているようにも思います。
そういう意味では、働き方や新しいビジネスの関心がある方全般にとって読む価値のある一冊だと思います。ご関心のある方はぜひ読んでください。
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