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宮城県にて「推しごとアシスタント」をされている浅野瑞穂さんへのインタビュー

今回は宮城県仙台市や丸森町にて推しごとアシスタントをされている浅野瑞穂さんにインタビューさせていただきました。

浅野さんとお話していて、自然体であること、目の前の一人一人のお客さまを大切して仕事をすることの大切さを改めて感じさせられました。

またキャリアやお金との向き合いでも、周囲の人ではなく自分自身としてどう向き合いたいかという視点で思考されている点は、特に同じ女性の方にとって参考になる点が多いように思いました。

以下、インタビュー記事です。

佐藤:本日はお時間をいただきありがとうございます。まずは今までどんなお仕事をされていたのかお伺いしてもよろしいでしょうか?

浅野:大学卒業後、最初は介護業界に就職しました。当時から興味があったというよりは、求人数が多かったからです。大学時代は「学ぶ」というものに興味はあったものの、「何になりたい」というものはなく、なんとなく就職した形ですね。

佐藤:最初は介護職に就かれたのですね。お仕事はいかがでしたか?

浅野:いざ入社してみると生半可な気持ちではできないと実感しました。覚悟を持ってお仕事に従事している方々と、みるみる差がつき、苦労した記憶があります。そのとき初めて「私には何ができるのだろう」と考えるようになりました。その結果、まずはいろいろな仕事を体験してみようと思い立ち、仕事は半年で退職しました。アルバイトや派遣など、短い単位でいろんな仕事をしてみました。その後、ご縁があり前職の求人広告の会社に入社しました。

佐藤:そこではどんなことをされていましたか?

浅野:最初はデータ入力がメインでしたが、次第に営業アシスタントをするようになりました。求人情報の作成だけだったのが、営業と一緒にお客さまに向かえるようになったんです。最初は覚えることと、営業のサポートができること、お客さまに寄り添った広告をデザインできることが楽しくて仕方ありませんでした。仕事をしていくにつれて業務で接する営業の苦労も知り、アシスタントとしてもっと支えられる方法はないか考えるようになり、実際に業務負荷を軽減する仕組みづくりもしていました。
さまざまなお客さまとお話ししているうち、こういったアシスタントは社外の人にも求められていると感じるようになり、4年ほど勤務した後にフリーになりました。

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佐藤:お話を伺っていると、人を助けるのが浅野さんのベースにあるように感じました。この点についてはいかがですか?

浅野:「誰かのために」と考えるとアイデアが湧いてきますね。そして誰かを助けるには、自分も大事にする視点も大切だと考えています。誰かを助けるために「自分がどんなポジションでどうあるべきか」と考えることが多いです。

佐藤:自分を大事にするといっても相手のためが起点での発想なのですね。フリーになってからはどんなお仕事をされるようになったのですか?
 
浅野:誰かのためにと考えて具体的に自分のできることとして取り組んだのが、ライターやデザインの仕事でした。「みーさんと仕事をしたい」と言ってくださる方達が悩む領域が、たまたまクリエイティブのお仕事が多かったので、次第にデザインのお仕事をするようになりました。去年の7月に知人から丸森町の地域おこし協力隊をご紹介いただき、活動しています。「ひとりひとりが気軽にチャレンジを踏み出すためのサポートをしてくれる人がいたら、まちがもっと活気づくのかな」という単純な想いです(笑)

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佐藤:仕事をする上で大切にしているスタイルはどんなことですか?

浅野:「お客さまの想いをそのままカタチで表現する」ことを大切にしています。そのために「本質的な課題はなんだろう?」と常に考えながらお話をお聞きしています。相手が目に見えていないものをカタチにすることを大切にしているわけですから、必ずしもその答えがデザインとは限りません。そのときどきによって変わってきます。自分自身のリソースで不足する場合は、適切かつ信頼できる仲間と共にお客さまに寄り添う方法をとります。「デザイン」「ディレクション」「アシスタント」業務は異なりますが、どれもサポートしつつお客さまを応援する仕事ですよね。私はそれを一言で「推しごと」と表現しています。

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佐藤:仕事というと何をやるかという事柄ベースで考える場合が多いように感じているに感じます。しかし浅野さんの場合は「人を助ける」というスタンスが一貫されていますね。お仕事のポリシーのようなものはありますか?

浅野:求人広告の会社員時代にできない理由は探すなと言われていて、「できるかできないか」ではなく「やりたいかやりたくないか」を大切にする習慣を大切にしています。「〜したい」と思ったら、できる方法を探すんだという気持ちというか根性ですね(笑)
丸森町の地域おこしのお仕事の面接でもお話しした記憶があります。自分1人ではできないことでも、人につないでいくことで助けていきたいんです。誰かを助けたい、その不安を寄り添って拭ってあげたい。なんだかお医者さんみたいな感じですね。

佐藤:浅野さんのお仕事の仕方を伺っていると、コーチングみたいだなと感じました。クライアントとの向き合い方についてもっと伺ってもよろしいですか?

浅野:今の世の中には便利なものが溢れていて選ぶことは容易になったように思います。デザインの分野でもアプリがたくさんありますよね。ただそういったものから選べたとしても「本当にそれでいいのかな?」、「それで人に届くのかな?」と考えてしまいます。アプリだと既存のものでオリジナルでなく、いわゆるテンプレも多いですよね。例えば、誰かに想いを届けると考えてラブレターだとしましょう。「テンプレでラブレター書いて人の心に届くのかな?」と感じてしまいます。起承転結は参考にしても、最終的には大好きな子のどんなところに惚れたのか書いてある方がキュンとしませんか?私のこと知ってくれてるんだ、ってより興味が湧きますよね。クリエイティブな分野でも、誰でも容易にこれができたらいいなって思ったんです。ある意味「コンシェルジュ」みたいな感じですね。

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佐藤:本質を大事にされているのだなと感じました。仕事を提案するというよりも自分のことを相手に伝えて、それが結果的に仕事になっているような気がしました。

浅野:営業営業…というのは苦手で、自分を表現する方が得意ですね。音楽に例えると、自分がアーティストだとして「このCDめっちゃいいから買って!」というのは苦手なんですけど、「今回はこんな想いで作ったんです〜!」って想いを伝えるのが得意というか(笑)。実際に今までは知り合いからの反響やイベントなどで仲良くなった人からお客さまを紹介されて、ご縁に繋がってきました。自分自身で勝負するような働き方を今後もしていきたいです。

佐藤:「自分を仕事にする」という言葉が浮かびました。そういった働き方は何かうまい表現もありそうですね。

浅野:昔からプライベートで飲みに行っても、仕事の相談とか受けるんですよね。飲み屋のお姉さんとかママなのかな?って思うときあります(業界の方ごめんなさい)。仕事にはプライベートが関わってくる気がしていて、今でもお客さまと話をしていると結果的にプライベートの悩み相談になることもよくあります。ご自身のキャリアの話やご家庭のお話など、本当に多様です。プライベートと仕事はそれぞれ両立できると幸せだなぁと考えていて、そこも合わせて価値をつけてお金に変えていくことをもっとPRしていきたいです。

佐藤:いいですね。人生全体でみれば、仕事はその一分野であり、だからこそ他の問題も絡んでくるものだと私も感じています。フリーで活動といえば、女性の場合、フリーで活動することに憧れている方も多いように感じているのですが、そういう女性の方に向けて何かアドバイスなどありますか?

浅野:本屋さんのビジネス書のコーナーを眺めていると、「副業で簡単に稼げる」、「自分らしさでお金を稼ぐ」みたいな本を目にします。そのメッセージを鵜呑みにしてアクションをして欲しくはないですね。それらの情報が、自分にそれが本当にあてはまるか考えて行動することが大切だと考えています。

佐藤:「周囲が言っているからやる」ではなく「自分が思っているからやる」ですね。区別は難しいところではありますが、とても重要な部分だと私も思います。

浅野:そして、さまざまな人とお仕事をしていると、ジェンダーの壁に当たることが多いなと感じています。例えば、男女の話題になると「女性が活躍しやすい社会に」という趣旨の話が出てきやすいです。ただ、その内容をみていると男女の差というより、むしろ能力や力の差の問題だと思いうこともあります。それはLGBTQでも同じだと考えていて、むしろその括りさえなく、個性に対する支援の仕方の問題だと感じています。多様化と言いつつ、曖昧を恐れているようにも感じますね。私もセクシャルマイノリティだと思いますが、この言葉がでないくらい普通に個としてみられる世の中だといいなと願っています。 

佐藤:カテゴリーに当てはめることでかえって苦しい思いをしている人も多そうですね。働き方にもそういう発想で苦しんでいる人も少なくないように思われ、とても大事な視点だと思いました。
働き方の質問が多かったので、そこと関連し次はお金という観点でも聞いてみたいのですが、働き方とお金との関係性という点で何か考えていることはありますか?

浅野:最低限のレベルでは、働いたときにそれに見合った対価としてお金としてもらうことが必要だと考えています。こう言うと貪欲に聞こえるかもしれませんが、お金って「助けてくれてありがとう」とか「お互いさま」のカタチだと思っているんです。だからこそ、誠実に関わっていく必要があると思うんですよね。でもそれは、全員がたくさん稼げと言っているわけではありません。日本にいる上で最低限支払うの部分を満たせば、誰といたいか、何をしたいか、どう生きたいか そういった価値観で上限が変わってくるように思います。それ以上の部分では物々交換で生きるなど、人それぞれの形があっていいと思っています。

佐藤:その観点からはコロナウィルスを端にした一連の騒動で、ベーシックインカム導入の是非が世界各地で活発になっています。この点については何かお考えの点はありますか?

浅野:ベーシックインカムという考え方が、日本人の昔ながら働き方にマッチするかという視点が大切だと思います。すごく働きたい人もいれば、適度に働きたい人もいる。だけどお金は一律って、ちょっと違う気もしていて。それに、人間って「できれば働かないでお金が入ってこないかなー」って思う人もゼロじゃないですよね(笑)。働き方にあった配慮は必要だと思っています。また個別に配慮が必要なものは国として関わるのは難しいと感じていて、地域の実情に応じて対応が可能な市町村単位や会社単位での導入ならありかもしれません。

佐藤:様々なお話を聞かせていただきありがとうございます。大変参考になるお話が満載でした。本日はありがとうございました。

浅野さんのSNS

Twitter:https://twitter.com/mii_3s

Instagram:https://www.instagram.com/mii_3s




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