見出し画像

岩手県雫石町にて移住促進のお仕事をされている外岡卓之さんへのインタビュー

今回は、岩手県雫石町にて移住促進のお仕事をされている、外岡卓之さんにインタビューをさせていただきました。

外岡さんのお話から感じたのは、ありたい姿からライフスタイルを考える大切さです。

新しい行動を起こす際の障害を考えてしまい、そこで判断がぶれることはないでしょうか?そういう思考を意識的になくし、まず制限のない状況で理想を思い描いてみることの大切さについて、あらためて考えさせられました。

また、そういう思考ができるためにも、様々な価値観の人たちと付き合うことの大切さも学びました。多様な価値観のある人たちと触れ合うことで、今の生活と自分の理想とのギャップを感じ、自分自身のありたい姿が見つけやすくなるように思いました。

以下、インタビュー記事です。

佐藤:本日はお時間をいただきありがとうございます。まずは今までどんなお仕事をされていたのか、お伺いしてもよろしいでしょうか?

外岡:学生時代は外資系企業に憧れがあり、最初はその中でご縁があった外資系生命保険会社に入社しました。都心で働きたかったのですが、赴任地が長野県となりショックを受けました。

佐藤:長野県が最初の赴任地とは環境がだいぶ変化しましたね。

外岡:そうですね。入社前は、外資系企業はスマートに仕事をするイメージでしたが、実際には働いてみると地道な仕事が多いことがわかりました。

佐藤:どんなことを感じながらお仕事をされていましたか?

外岡: 生命保険の代理店向け営業で、代理店がお客さまに対しライフプランの提案をして、お一人お一人の生涯設計に合う保険を販売するお手伝いをしていました。ただ、将来を先に決めて生きることには違和感を感じていて、むしろ先の見えない未来を歩いていきたい感覚が個人的にはありました。

佐藤:仕事面で行っていることと自分のライスタイルにはギャップがあったのですね。その後はどんなお仕事をされていましたか?

外岡:その後は都会に戻り仕事をしたいと思い、都内の画廊に転職しました。長野には様々な美術館もありよく行っていてアートも好きだったのですが、偶然新聞の求人広告で画廊の仕事を見つけたんです。

佐藤:思いがけない出会いでしたね。画廊ではどんなお仕事をされていましたか?

外岡:いろんなお仕事がありましたが、メインは都内や地方の百貨店で展示会の企画から実施まで行う一連の営業活動です。その中でも、お客さまが会場に足を運んでもらえるような展示会のテーマやタイトルをあれこれ頭をひねって考えるのが、とても楽しかったです。

佐藤:保険の仕事よりもお仕事に充実感を感じられていたように感じました。実際に前のお仕事と比較していかがですか?

外岡:アートの仕事は、統計やデータを使って不安を解消するために必要だと促していた保険と違って、買い手の心に響かせるような展示作品の選択、会場作り、広告のデザインなどのセンスが要求され、そこに面白さを感じていました。

佐藤:お仕事以外の生活面では何か変化はありましたか?

外岡:そのときはあまり将来のことを考えていませんでした。お金も結構散財していましたね。当時は海外へ自転車旅行に出かけたり、冬は毎週のようにスキー場へ通ったり、ほかにもカヌーや空手など様々な趣味に時間とお金をかけていました。 

画像1

佐藤:プライベートでは趣味の活動は充実されていたのですね。その後のお仕事はいかがでしたか?

外岡:8年近く勤めていく中、次第に外の世界のビジネス流儀についても知りたいと思い、画廊も退職することにしました。その後は会社法について勉強しているうちに、証券会社に関心を持ち、実際に入社することになりました。

佐藤:今度は証券業界に進まれたのですね。証券のお仕事はいかがでしたか?

外岡:お客さまが0の状態で、電話や訪問など新規の顧客を見つけるのが大変で苦労しました。しかし次第にお客さまが増えていき、株式の世界を勉強する中に資本主義経済に関する新しいことを知ることができて、嬉しかったですね。当時は経済小説ばかり読み漁っていました。

佐藤:生活面での変化はありましたか?

外岡:スキーやっていたときの仲間から誘ってもらい、ボランティアグループに入りました。そこでは、マラソン大会やゴスペルコンサートをはじめ、フィリピンの孤児院支援を目的にした様々なイベント活動をしていました。
自分のエゴのためではなく困っている人のために時間やお金を使ったり、同じ思いをもった人と協働作業をすることが、人生を豊かにすると実感しました。このときから人生が大きく変わったように思います。

佐藤:具体的にどんな変化がありましたか?

外岡:まず、つきあう友人が変わりました。スキーやゴルフなど趣味の仲間から、ボランティア活動をともにする仲間です。さらにボランティア活動のイベントを通じて出会ったコーチングに感銘を受け、コーチングを学ぶようになるのですが、一緒に学ぶ仲間とのつながりが、どんどん増えていきました。

画像2

佐藤:そのときにコーチング出会われていたのですね。コーチングを受けることで、ご自身の変化としてはどんなことがありますか?

外岡:コーチングを受けているうちに「自分の感動を人と分かち合いたいという価値観」が見えてきました。それからは価値観を生かし、感動する商品やサービスをお客様と分かち合うことを意識して仕事に活かしてきました。それは実際にとてもうまくいったのですが、リーマンショックが起きてからその価値観を満たすことが難しい状況が続き、退社することにしました。
その後、コーチングを学んできた同期からの勧めで『チェンジザドリームシンポジウム』というイベントに参加しました。これがまた大きく自分の生き方を見直すきっかけになりました。「世界中のすべての人が環境的に持続可能で、社会的に公正で精神的にも充足した生き方を実現する」というシンポジウムの目的に共感し、それを自分が目指す道標にしようと腑に落ちる感覚があったからです。また今の世代だけでなく将来の世代も満たされる「持続可能」であることも大事にしたいと思いました。それで自分が興味のあることで「持続可能な世界」にも役立つと思った「有機栽培」から試してみることにしました。

画像3

佐藤:ボランティアサークルの活動から内面の大きな変化があり、そこからライフスタイルも大きく変わっていったのですね。今の生活にもだいぶ近い生活スタイルになってきたと思うのですが、その後はどんな生活になりましたか?

外岡:新たにエコヴィレッジを包括的に学ぶプログラムに参加したり、引き続き農家の手伝いをしていたのですが、一時的な学びではなかなか身につかないなと思うようになりました。それで一年を通して有機栽培を学んでみたい、腰を据えてどこかで学びたいと考えていた時に、東日本大震災が発生しました。
当たり前の日常がそうでない、いつ命が果てるかわからない、先送りしていたやりたいことをすぐに行動に移そうと背中を押されるように熊本にわたりました。ネットで探し当てた有機栽培をしている農業生産法人で実践しながら学ぶためでした。さらにご縁のあった方を通じて自然栽培や農産加工などをしている障がい者福祉のNPOで働くようになりました。その過程で永続的な農業「パーマカルチャー」を沖縄で学ぶなど、ますます持続可能な暮らしの探求心が高まり、同じような方向を向く仲間が増えていきました。その後、岩手県雫石町でエコビレッジのようなコミュニティ作り構想があると聞き、さらに望ましい生き方ができるのではと、地域おこし協力隊という仕事に応募し採用いただき、今に至ります。

画像4

佐藤:持続可能な生活を実践する中で、住む場所も大きく変化していったのですね。都会に住んでいた昔と地方に住んでいる今の生活を比較すると、いかがですか?

外岡:都会暮らしだったころと比べると収入は少なくなりましたが、持続可能な暮らし方に近づいていると思いますし、豊かな暮らしになったと感じています。例えば今食べているリンゴは町内で有機栽培されたものですし、お米も野菜も身近にあるものばかり。都会より人は少ないけれど畑作業を手伝ったり、お返しに野菜を頂いたり、暖かな近所付き合いがあってそれが豊かさや安心感につながっています。

佐藤:新しい地域に飛び込むときに気をつけたことはありますか?

外岡:似た価値観を見つけて一緒に活動することです。移住先にはパーマカルチャーに関心のある人がいたので、最初はその人と一緒に畑を耕したり、エコな発明品を真似て作ることから始めました。そこから次第に仲間が広がっていきました。

画像5

佐藤:新しい土地で人間関係を築くのはなかなか難しいことなのではないかと感じるのですが、その際のポイントなどはありますか?

外岡:人間関係の構築に時間をかけることです。人間関係を築く過程でいろんなことが起きますが、それでも粘り強く付き合っていきました。
後は、周りにいるいろんな人を理解しようとすることです。人はみんな自分のことを理解してもらいたいと思っています。まずは周り人の話を聞いて、相手との信頼関係を築きます。そうしていると、自分のやりたいことが少しずつできるようになっていきました。

画像6

佐藤:あせらずにじっくり人間関係を形成していくことが大切なのですね。移住する際にお金の面で気をつけたことは何ですか?

外岡:まず収入を確保しながら有機栽培が学べる職業訓練を選んで移住を決めました。証券会社勤務時に比べると圧倒的に少ない収入でしたが、住居費や食費など支出が抑えられたので十分やっていくことができました。6年間の熊本在住時、何か所か引っ越ししましたが、家賃は概ね2万円から2万5千円の範囲を超えることはありませんでした。

佐藤:生活コストは実際に住んでみないとわからない部分ですよね。キャリアやお金について考える際に大事にしていることは何ですか?

外岡:ありたい姿から行動を決めることです。仕事、お金という事柄ではなく、感動を分かち合う自分、持続可能な暮らしを楽しむ自分、そんなありたい姿に目線を置くと、自然と自分がどうしたいかというDOING(やること)が見えてくるように思います。

佐藤:キャリア、お金と考えるのではなく、ありたい姿から考えるのですね。これからはどんな生活をしていきたいですか?

外岡:畑で野菜を育てたり、快適に暮らしていけるように家を改修したり、いま冷蔵庫やエアコンを持たない生活をしていますが、アイデアや技術を身に着けて低エネルギーでかつ心地よい暮らし方を自分がワクワクするやり方で探求したいです。それが周りの人にもポジティブな影響をもたらして少しでも持続可能な世界に進んでいけたら嬉しいです。

画像7

佐藤:様々な場所で生活されたお話とても興味深かったです。本日はありがとうございました!

外岡さんのSNSやHP

Facebook:https://www.facebook.com/takayuki.tonooka

ameblo:https://ameblo.jp/tononoblog/






この記事が参加している募集

お金について考える

これからの時代に必要な職業観とお金観について考えるヒントになる方や本について紹介しています。いろんなタイプの方を取材しているので、よかったらフォローお願いします。