20240716 青いヨット その2

軽快なリズムにのせてあげる。水面を走る青いヨットをイメージしながら。でも決して慌てたりはしない。あくまで風を頼りに、帆を大きく広げてあげる。

水分をめいいっぱい溜め込んだ朝の空気を少しずつかき分けていく。昨晩激しく打ちつけた雨のせいだろうか、小動物にでもかき乱されたように雑草が丸くなって伏せている。

緩やかな登り坂を越えると、待ち構えていたように緩やかな下り坂が現れる。「今まで何してたんだい。待ちくたびれちゃったよ。」そう言わんばかりに。

今までも、これからも、何も変わることがないと信じていたものは、全て偶然の産物だったのだろうか。いや、たまたまそういう境遇の中で息をし、笑っていただけなのかもしれない。

巨大なクスノキから生えた水面がガサガサと音を立てて大きく揺さぶられている。あぁ、分かっているとも。きみはただ一緒にいたいだけなんだよな。でも、それでも、やっぱり、前に進まなきゃならない。たとえその先に何もなかったとしても。

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