20240723 ほんの数秒の出来事

何気ない日常の出来事が、なぜか強く記憶に刻まれることがあると思う。

数日前のことだ。

いつものように河川敷を走っていると、ひとりの若い女性が走って来るのが目に入った。

ひとつに結んだ長い髪が走るリズムに合わせて振り子のように揺れている。口は少し開いているものの、その表情からは強い意志と余裕が垣間見える。黒いタンクトップから飛び出た腕は、まるで水面から今にも飛び立たんとする水鳥の羽のようにたくましい。

大きく開いた胸を流れる汗に太陽の光が反射している。その眩しさは、身体の深部にある固く冷たいものを融解させるには十分な熱量があった。つまり、とても官能的だったのだ。

ほんの数秒の出来事だったが、それは"本当に"数日前のことだったのだろうか。もしかしたら今これを書いているこの瞬間に行き交っているのかもしれない。あるいは遠い先だって。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?