見出し画像

酒たつ薬

※医薬品・依存症についての話ですが、個人的な素人の体験談の範疇としてお読みください。正確性やエビデンスを保証するものではありません。

先日Twitterでフォロワーさんとお酒と健康の話になりました。わはわはと談笑しつつ(実際はリプライで文字のやり取りですが)最終的に「断酒、禁酒、節酒はした方が健康的だ」という結論に着地、「お互い、酒・薬とはうまく付き合いましょう」と戦友とハイタッチするような感じでお開きしました。※実際はリプライです。

ちなみに私は断酒派です。

これお酒の話をする時に毎回言っているのですが、お酒の文化を否定する訳ではありませんし、飲食店やお酒を取り扱う方を否定する意図もありません。
食事と一緒においしく楽しんだり、飲み比べてああでもないこうでもないとお酒を利いたり、コミュニケーションの潤滑油として仲間やお近づきになりたい方と健全に飲み交わすということは素敵なことだと思います。

思います、が。
健康面で言うなら、やはりお酒はできるなら飲まない方が薬の効きも安定するし、眠りも深いし、体の怠さなど不調も改善に向かいます。精神を患っているのなら余計にねぇ。
たまに楽しくおいしく飲むならよろしいと思うのですが、ストレス源や疲労、鬱状態をごまかすためにドラッグ的にくっといくのは避けた方がいいな……と思います。
コントロールできるとよいのですけどね。一回「全部酒で訳分かんなくなればいいんだ~~~」と脳が学習しちゃうと覆すのは中々……。

抗酒剤(シアナマイド)との出会いは数年前に行ってたクリニックでした。「アル中日記」(吾妻ひでお著)でそういう薬があるとは知っていたので、安直に「断酒したいので処方してもらいたい」と言ったら結構さくっと処方された覚えがあります。
これ、本来シアナマイドって体に合わない場合もあるし、シアナマイドを飲んだ後に酒を飲むと最悪急性アルコール中毒で死にますので、クリニックで服用した後、少量アルコールを投与して、「こんなに苦しいから絶対に飲酒するなよ!!!」と釘を刺しておく、というのが正しい、というか本来の処方方法だそうです。
(このクリニック、シアナマイドに限らず、こっちが言うがままに薬処方してたし、今となってはどうかと思いますね……。広告もばんばん出して儲かってるメンタルクリニックのようですが……おっと悪口はここまで。)

10ml服用し、体には変化なし。うーん別に普通じゃね?どれ、ちょっとお手並み拝見、と「ほろよい(3%のチューハイ)」を一缶飲んだら、心臓はバクバクするし、胸が膨らまない感じで呼吸は苦しいし顔の火照りは止まらないし、しばらく嘔吐嘔吐で、悪酔いするという感覚を初めて知りました。
正式な検査ではありませんが、大学の実験実習で行った検査で「酒に強い」「普通」「酒に弱い」遺伝子のうち、「酒に強い」遺伝子を持つという結果も出しましたし、二日酔いは分かるけど急性的に気持ち悪くなる、ということはなかったんですよね。

まぁそんなシアナマイドですが、飲むという行為を習慣づけることによって断酒を促していこう、という動機付けの薬です。
仕組みを簡単に言うと本来肝臓で解毒される気持ち悪さを引き起こす「アルコール分解物(アセトアルデヒド)」、これを解毒する酵素を止め、酒に弱くさせちまおうという仕組みです。強制下戸化薬。
「少量で酔えるようになるならお得じゃん」というレベルではなく、まじで100分の1くらいまで減らしても気持ち悪くなるので、少量で気持ちよく酔えるようになるとかうまい話はないです。

透明の液体で無味無臭。単体で飲むと水ではないと感じますが、ジュースや汁ものに混ぜたら気づけないように思います。10ml飲むと1日以上(30時間くらい?)がっつり効く感じがしますが2~3mlでもかなり効果があり、減酒目的での処方も増えているそう。
(とはいえ量が飲めなくなるので気持ちよくなる前に気持ち悪くなるんですよね……)
薬を飲んだ数分後には効き始め、飲むだけ飲んだふりをして後で吐こうと思っても無駄です。

保管は冷蔵庫。これが結構ネックだなと思いますね。旅行とか。数回分水筒に入れとくとか……?

よく家族が酒をやめない依存者の飲食物にこっそり混ぜ、本人が服用していることに気づかずに飲酒してえらいことに……。とはよく聞く話です。こっそり盛るのは本当に死にかねないのでやめましょうね……。

使い方としてはシアナマイドを飲むことにより「よし、酒を飲まない1日の始まりだ!」と動機付けを繰り返していきます。
私としては徐々に酒を飲まない日を延ばしていくことで「酒を飲まないとやってられない」→「飲むとつらいので酒を飲めない」→「酒を飲まなくてもやっていける」と意識を転換していくのが目的かなと思います(学習をしなおす感じ)が、人それぞれですかね。
まぁそもそも本人の意志でシアナマイドを飲まないと効果がないので、「シアナマイドを続けられたら苦労はない」という話もありますが……。

私はシアナマイド飲みこんだ時点で「酒を飲むかどうか常に突きつけられる」ということから解放されて楽チンです。コンビニのショーケースでストゼロを眺めずに済みます。
シアナマイドに依存してるだろ、と言われたらグゥ音も出ませんが酒よりはいいと思いますわ。楽だし。罪悪感ないし。

とはいえ、本人がまず「やめたい」と思うことが大切というか。シアナマイドを処方されたのでそれを飲めば酒があっという間に嫌いになる。という簡単なものではないです。

処方されるのも簡単ではなく、精神科でないと処方はまずできないと思いますし、精神科医が「この患者の飲酒には問題がある」と判断しないと難しいと思います。
今より一つ前の主治医はシアナマイドの処方には慎重で「あなたくらいの飲酒状況ならなんとかなるので意志の力で断酒してください」と言われました。
肝障害や胃腸の不調を引き起こす可能性もあるし、不意のアルコール摂取(卓上の飲料を酒と知らずに誤って飲んでしまう、調理に使った酒が飛んでなかった、奈良漬け・アルコール入りチョコ・酒粕などをうっかり食べてしまう、化粧品や消毒用のアルコールを吸ってしまう)で強烈な悪酔いの反応を起こすリスクもあります。
今は感染症対策で頻繁にアルコール消毒しないといけないし、ちょっとにおい吸うと気分悪く感じるし、アルコールアレルギーの方ってこういう感じなのかな……と思います。化粧品もリキッドファンデーションとかはアルコールくさいですね。製品によるかもしれません。
香水は香料溶かすために成分はほぼアルコールです。私は香水をつけて気分悪くなった経験はありませんがこれも人によりけりかもしれません。
注射前のアルコール消毒とかは大丈夫みたいですが一応初めは申告しましょうね。

私は一回アルコールで希死念慮MAXになって死にそうになって(というか自死の妄想が焼き付いて止まらなくなり)入院しており「酒を飲みたいけど飲みたくないぃぃい」と泣いておりましたら、それ見た今の主治医の先生は出してくれました。
それでも10mlではなく半量の5mlで、入院中から投与しつつ、という感じでした。

シアナマイドもたまに効かない体質の方もいるみたいでその場合はノックビンという別の抗酒剤もあります。これについてはあまりよく知らないですけども……。

レグテクトという飲酒欲求を抑える薬もあるようで、こちらは服用後にお酒を飲んでも特に気持ち悪くはならないようですが、うちの主治医に言わせると「あんまり……効かない気がする……」と仰ってました。
酒に無関心になって素面を維持できるなら夢の薬ですけどねぇ。脳が完全に酒浸しになってる状態まで進んでから効力発揮ということで精神的依存の段階ではあまり意味がないということなのか……。

お酒断つと砂糖の大量摂取にいっちゃうのですが、依存症あるあるみたいで、とにかく脳内麻薬を欲している状態なんですね……。何が足りないんじゃ。ドーパミンか?β-エンドルフィンか?
家族には「ストレスなんてないくせに……」とか言われるのですが、私が晒されているのはストレスというより無力感・虚無感な気がします。

アルコールの離脱症状はお酒を断って4~5日間が一番苦しいと言われます。入院した時も看護師さんから「4日くらいでお酒抜けますからね、まずはしっかりお酒抜きましょう」と言われました。

経験上、そこを抜けるとするっと「飲まなくてもいけるかな?」ゾーンに入るので、とりあえず一週間完断ちを目指してます…………。
とかいって数ヵ月~半年でだいたいスリップするパターンなんですけどね……。断酒できる期間はじりじり伸びているので今度こそ逃げ切ってやる…………。

余談ではありますが、たまたま主治医不在の時に不足した頓服薬をもらいに行ったら処方を確認したベテランっぽい女医の先生に「あなたシアナマイドなんて飲んでるのォ!?」と引かれたのはいまだ新鮮な記憶です。
比較的若い女子(当時は20代)が飲む薬ではない様子…………。
とはいえ、アルコールの影響を受けやすい女性は3~5年くらいで依存症になるという話もあります。男性は大体7年くらいですかね。
…………何から何まで損だなぁ、この身体。

ここまでお読みいただきありがとうございました。よろしければサポートのほどよろしくお願いいたします