ギターゲット編最終章


青年は一人で気持ち良さそうに歌っていた。

目をつむりながら歌ってはいるものの、約1.5mほど隣に僕がそっと座ったことは気付いているだろう。

彼は歌い続ける。

夜の静寂の中聞こえるのは彼の声だけ。

僕は今日の朝に買ったギターをそっと取り出し、彼の奏でる声の音階を探した。

音階がわかり、彼のメロディをギターで追いかけると、目をつむりながら少し笑っていた。

ギターで徐々にリズムをつけていく。

それに乗じて彼も頭を揺らし、気持ち良さそうに歌ってくるぢゃないか。

その彼をみて僕も嬉しくなってギターの調子も上がっていくぢゃないか。


THIS IS JUST THE MUSIC!!!ぢゃないか。


て感じですげー高揚した気分で僕は弾き続けた。


だってだってさ、突然心地いいアカペラの音色が耳にすっと入ってくることなんてある?

たまたまそこに通りがかったやつがギターを持っていて、その後日を越すまでセッションすることなんてある?



僕がギターを弾き終わると彼も歌うのを止め、初めて目を開けた。

yeahhhととりあえず握手して自己紹介。

彼はJamroというらしい。

暗がりでよく見えなかったが、汚い。

ビリビリのジーンズにサンダルから見える足の爪は長い。

歳は同い年かそれ以下だと思う。

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「Jamro、続けよう」


と、今度は僕から音を鳴らす。

彼も次第にのってくる。


何回も繰り返してると流石に僕も飽きてきた笑



この広場に僕らが演奏をしている途中何人か人が出入りしていた。

で、もう終電もなくなった頃まで、最後まで2mほど先に座ってるやつがいた。

暗くてはっきりはわからないが、演奏中はタバコを何本か吸いながらこっちをみている様だった。


演奏に飽きて、少しJamroと喋っていると、そいつが、

「おい、マリファナ休憩だ!」と手招きをしている笑

僕とJamroは迷いなくそいつの元に行った。

近くまで行くと、彼の顔がはっきり見えてきた。

老人。青い目。白髪と白いひげ。整った顔立ち。ポップなキャップ。かわいい笑


「ほら、いけいけ。フォッフォッ」

と、彼はキセルをJamroに差し出す。

彼がそれをくわえると老人はベンチに座りながらキセルに火を付ける。

Jamroは深く吸い込む。

煙を吐き出しながら僕にキセルを差し出す。

くわえると、老人がまた火をつけてくれる。

僕も深く吸い込んで咳き込んだ。


すぐにキマった。他二人もどうやら同じ様子。

老人はよく喋る。喋る喋る笑

こっちの目を見て話しているのだがチンプンカンプン。

一人で喋って「フォッフォッ」つって笑ってるし。エコか。

「Stephenぢゃ。よろしく。フォッ」

握手をすると手がごつい!巨人か。

分厚くて、僕より第一関節ほど指も長い。

こいつはなかなか死なない老人だろうなと僕は思った。

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なにやら真剣に書いている。

アドレスをくれた。マッチに書いて。かわいい。

画像3

よかったらメール送ってあげてください。



Jamroが、

「ねぇFuya!キマった状態で音楽してみようよ!!」

と、テンション上がり気味で言ってきた。

僕がギターを弾きだすと彼は頭を嬉しそうに振り出す。


今日やったどのセッションよりも激しく弾いた。

Jamroも一番声が出てた。

一番ロックだったね、グルーブしてた。


僕らが演奏を終わるとStephenはまた喋りだす。

ずっと喋る。Jamroも聞き上手だから話を聞いてくれる。

また演奏する。

また喋りだす。

このルーティンに僕は飽きてきたので、そろそろ行くわつって別れを告げた。

約4時間ほど一緒に遊んだだろうか。その内のほんの一部をボイスメモで録音したのがアップしている「Jamro and me」です。

静かな夜中に垂れ流しで聞いて欲しいですね笑


不思議な一日だった。

アメリカ、すげえな。


僕は予約もしていないゲストハウスに辿りつき、エントランスはもちろん鍵がかかっているわけで、朝までこの前で待つ所存だったがタイミングよく人が来て、

「あの、スタッフさんですか?」

「違う」

「僕まだ予約してなくて飛び込みなんですけど中で待つことってできますかね?」

「んーー知らないけどいいんじゃない?入りなよ。」

「あざす」

つってロビーのソファにて、おかげでwifiもゲットして、僕はこのブログの最初の記事を書き上げたわけだった。

書き上げた後、朝を待つため、寝袋にくるまってソファで寝た。

徐々に周りが騒がしくなり、目を覚ますと、スタッフぽい人がせかせか働いていたので、寝袋にくるまりながら「Excuse me」と声をかけると、もちろんすごい形相で、「Who are you!!!!!?」となるわけで、彼が「え、日本語しゃべれますか!?」「あ、はい日本人です。」「え、なんで入れたんですかえ、誰ですか、普通に不法侵入ですよね??!」とひどく怒っている様子でして、「早く出て行ってください警察呼びますよ」と、追い出されてしまった今となっては懐かしい記憶なんですけどもねははは


でもいいのさ、結果的にブログを書けたし、寝れたし。


以上ギターゲット編でした。





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