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食費をなくす⑥猟期を終えたとたん、今ならイノシシが獲れるんだけどなぁと思う

次の狩猟期間の11月まであと5ヶ月もあります。でももう罠をメンテナンスしたり、新しい罠をつくりたくて、つくりたくて仕方がないです。次の猟期で3年目ですが、毎年そうです。

僕はイノシシを獲ったことがありません。でも、狩猟期間が終わったとたん湧いてくる「今ならイノシシを獲れる」という途轍もない自信。あれは一体なんなのでしょうか。わからんけど、とにかく今なら、もれなくイノシシが獲れるんです。せっかく獲れるんだから今すぐ罠をメンテナンスしないといけないし、もっといい罠をつくらなきゃいけません。でももう猟期は終わってる。次の猟期まであと5ヶ月。ざっと150日。はやる気持ちのやり場がなく、とりあえず「日本一安い罠の店」「鎌田スプリング」「オリモ製作販売」のカタログやオンラインショップを眺め、気持ちがシレッとするのを待つしかないのか。イノシシが獲れるというのに!

自分で獲ったイノシシ、美味いだろうなあ。そんなことをふんわり思い浮かべながら、とぼとぼと作業場へ。段ボール箱の中に、三段角の雄鹿がひきちぎったワイヤーの切れっ端。目に入ったそれを見て、やっぱり罠のワイヤーはもっと短いほうがよかったんじゃないか。あぁ、このときは角がこわくて生け捕りに時間かけすぎたんよなぁ。それからロープラチェットをきつく引っ張りすぎた。首痛かったやろうなぁ。かわいそうなことした。肉質も落ちてしまう。

そんなことを思いながら作業グローブをはめる。とぐろ巻いたワイヤーをスルスルッと引っ張る。かかった時の稼働範囲を半径140cmにしたい。170cmを目安にハンドカッターでザク。ああすればよかったなあ。ザク。こうすればよかったなあ。ザク。山ほどの後悔や改善ポイントがあふれ出て。ザク。170cmのワイヤーがようけできて。ザク。結局、15本の弁当箱式のくくり罠と、10本の踏み込み式のくくり罠を新たにつくってしまったのは、昨年のこと。

これでイノシシが獲れる。にも関わらず、まだ狩猟期間は終わったばかり。

そうだ、ワークマン 行こう。わずか4ヶ月で狩猟用の服がボロボロになったのだ。来季の狩猟に来ていくウェアを新調するのだ。それと、胴当てベルトも買おう。前期は道具入れのウエストバッグが腰のところでぷらんぷらんして鹿の足をロープでくくるときに邪魔になったからな。胴当てベルトにウエストバッグを縫い付けたろ。ホホホ。

準備万端。半年前に。狩猟期間はこれからだ。これからだって聞くと地井武男を思い出すのは僕だけでしょうか。はぁ。前を向くと、遠すぎて。

そんな昨年がつらすぎて、今年は野菜づくりをがんばることにしました。無農薬で安全安心な野菜をつくって、それでもってちょっとでも食費をなくし、狩猟のことを忘れられたら最高です。

2年目の狩猟期間が終わった3月からさっそく始めないと、夏野菜にはありつけません。ポットや直播きで種を植えて、5月や6月に定植してちょうど今時分になると野菜たちも軌道にのってきて、よしよしこれはいけるな、なんとか収穫はできそうかな、という状況になっていて、ひと安心しています。

今育てているのは、ミニトマト(アイコ)、ナス、長なす、ピーマン、オクラ、きゅうり、ズッキーニ、枝豆、大豆、トウモロコシ、サトイモ、ショウガ、さつまいも、アスパラガス、つるなしいんげん、空芯菜、シソ、赤シソの18種。いわゆる自給が目的なので、数より種類が必要です。

大豆は、味噌用として育てています。昨年できたものから種をとり、2年目ですが、いい感じに育ってくれててよかったです。連作障害を心配したんですが、土をしっかり耕して、完熟牛糞と保田ぼかしを入れて、互いの成長を促し合うトウモロコシと混植し、無事、いい感じ。

大豆、大豆、トウモロコシ、大豆、大豆、トウモロコシ…の順で植えてます

畝(うね)には草マルチをしています。保湿や保温や草防止などを助けてくれます。これはそこらへんの草がのびたのを刈ったり、誰かが草刈りをしたあとに放置した草をもらってきて、草マルチにしています。

そこらへんの刈った草で草マルチ

「目と手をかけたぶん、野菜はこたえてくれるんや」
近所の農家さんが、大豆畑にいた僕に教えてくれました。素敵やなぁ、ずっと大切にしよう。そんなふうに思った言葉です。畑をすると、近所のおっちゃん、おばちゃん、じいちゃん、ばあちゃんが、みんな師匠に見えてきます。いっこ聞くと、惜しみなくいろんなことを教えてくれます。これまで見えなかった師匠たちとのつながりが、何よりの収穫。スーパーでは買えない、いちばん美味しい部分をかじらせてもらった気がして、嬉しい気持ちになりました。

ミニトマトの花

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