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文鳥

我が家にも文鳥がいるので親近感がわき夏目漱石の「文鳥」を購入しよんでみました。
短編だから1時間もあれば読めましたが、しかし…

なんという悲しく切ない話なんだろう!

あらすじは、主人公は小説家で弟子の三重吉が文鳥を飼うことを勧め、最初のうちは可愛がって世話をしていました。文鳥の「千代、千代」という鳴き声を聞くうちに昔主人公が帯の上や鏡で顔に光を当てたりして悪戯をした女性を思い出して懐かしんでいました。しかし主人公が小説を書くのに忙しくなり文鳥の世話を忘れてしまうようになり遂には文鳥が死んでしまうというお話です。この小説のテーマは忘却。親しい女性との思い出が失われていくのを文鳥の死になぞらえていると思います。読んでいて大変切なくなりました。

夏目漱石の小説は後悔、嫉妬、悲しみなど人の心の”闇”の部分を描いている作品が殆どです。現代社会は目標を達成し成功する”光”の部分ばかりが賞賛されますが、他人から承認されるばかりが人生の価値とは思いません。僕は自分の心の”闇”を覗き込む事によって初めて自分という人間を認めてあげる事ができると思います。

ところで、漱石の「文鳥」は1匹でしたが我が家は2匹います。明治時代とは飼育環境が違うので、「文鳥」で描かれたの文鳥と健康状態は較べられないと思いますが放鳥の時はいつも元気イッパイに飛び回っています。顔を合わせば喧嘩ばかりですが、1匹になると寂しくなり「千代、千代、千代」と相手を呼びます。
そんな短気でツンデレな文鳥ですが外に出たら最後、餌も自分もとれずに死んでしまうであろう儚い生き物。我が家の文鳥は漱石の「文鳥」とは違って出来るだけ長く生きて欲しいものです。

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