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【小説】夫婦円満の秘訣。

【小説】夫婦円満の秘訣。

最近結婚した私にとって両親は理想的な夫婦だ。
いつも仲がよく。喧嘩なんて聞いたこともない。

父は仕事で帰るのが遅い事も多く家の事や私達の事を一人でしていた。それなのに母は毎朝手作りの焼き立てパンを出してくれるそんな家庭だ。
当たり前だと思っていた日常が難しい事だと気がついた。

「ねぇ、お母さん夫婦の秘訣って何?」
「うーん、そうねぇ。お父さんに不満があった次の日の朝にパンを焼く事かしら?」

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【小説】二人の食卓 彼女の場合

【小説】二人の食卓 彼女の場合

コートの出番も減ってきて明るい色が似合う季節。
我が家の朝食定番になりつつあるハムエッグをつつきながら、朝の情報番組を観ていた。
そんな時、彼が唐突に
「今日、餃子が食べたい」とリクエストしてきたのだ。
おや、珍しい。
一緒に行った週末の買い出しの時に材料を買ったのを覚えいたのかもしれない。
「わかった」と返事をしつつ、未だ呼ばれない自分の星座を見逃すまいと、視線はテレビに釘付けである。
そんな私

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【小説】二人の食卓 2 彼の場合

【小説】二人の食卓 2 彼の場合

最近、暖かい日が増えてきて昼には半袖でもいいぐらい暑くなる日も出てきた。
今日も昼ごろには気温が高くなりそうだなと考えてると、ふと昨日同僚が言っていた
「そろそろビールに餃子が美味しい季節になってきましたね」
と言う話と週末の買い物の時に材料を買ってたのを思い出し彼女に
「今日、餃子が食べたい」
とリクエストした。
「わかった。」
と返事はかえって来たが、彼女の目線は僕ではなく朝の情報番組に釘付け

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【小説】二度目は気絶です。

【小説】二度目は気絶です。

「まだやるのか?最後、戸締まり頼むぞ。」
所長は、そう言って出ていった。

俺だってもう帰りたい。
しかし凡ミスから大幅に間違えた書類を作り直さなければ帰るに帰れない。
寒々とした事務所にキーボードの叩く音と時折自分のため息だけが響く。

終わりが見えかけた時だった。
急に冷や汗が止まらない、そして胸が締め付けるような圧迫感もある。
なんだか体も思うように動かない…
それでもどうにか頭を上げるとそ

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