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高校生のための人権入門(2) 人権とはなにか

人権とはなにか

人権とはなにか。辞書を調べてみると、人権の意味として「人が生まれた時から持っている権利」というような説明が書いてあります。確かに説明としてはそれで間違ってはいないのですが、この説明を小学生に聞かせれば、たぶん、「なぜ、生まれた時から持っているの?」とか、「なぜ、持っているの(誰が持たせたの)?」という質問が返ってきそうです。そして、そのような質問に、きちんと答えることはきわめてむずかしい気がします。高校であれば、地歴公民の先生方は、フランス革命の歴史などを通して、どのようにして「人権」という思想や観念が生まれてきたのかを説明されることでしょう。しかし、わたしはそのような説明をこれからしようとは思いません。

「人権とはなにか」という問いに対する答えとしては、例えば、「人権とは、幸せに生きる権利だ。どんな人でも幸せに生きる権利を持っているんだ。」という説明もあります。先ほどの辞書の説明に比べれば、これははるかにわかりやすい説明です。しかし、この説明も「幸せ」ということの中身、人はどうであれば幸せなのか、ということを明らかにしない限り、単なる「いい言葉」で終わってしまいます。

さまざまなところで、「人権は尊重されるべきだ。」、「人権が尊重されないのはおかしい。」というような言葉を見たり、聞いたりします。しかし、なぜ、人権は尊重されなければならないのでしょうか。日本国憲法に書かれた「基本的人権の尊重」に代表されるように、さまざまな法律によって人権が保障されているからでしょうか。それとも、法律の規定に関わらず、人権はすべての人が生まれた時から持っているものだから、当然、尊重しなければならないということなのでしょうか。

ただ、そういうことよりも、今、まずここで考えなければいけないと思うのは、実際に今の日本において、人権は尊重されているだろうかということです。法律で人権の尊重が明記されていても、これからお話しするように、今の日本社会のいたるところで、その人権が侵害されています。また、人権が人間が生まれた時から持っている揺るがしようのない権利であれば、なぜそれを簡単に侵害したり、奪ったりできるのでしょうか。

ぜひ、そんなことを考えながら、この先を読んでいただければと思います。

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