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流行の仕組みは変わっている!SNSが生み出した現在の流行

 みなさんは普段、「流行」ついていけてますか?

そう言われると「自分はついていけてるぞ」と自信を持って言える人は、意外と少ないのではないかと思います。

 インスタやTikTokでよく見るけど実は知らない、友達が話しているのをよく聞けど自分はわからない、なんてことが結構多いのではないでしょうか。

 では、なぜ流行についていけないのか。
 もちろんそれには本人の意識の仕方にもよるのですが、そもそも流行についていけなくなる社会になっているのです。

 つまり、今と昔で流行の作られ方が全く違っているんです。
 (ここでいう昔とは、2010年ごろまでを想定しています。)

 では、現在の流行の作られ方はいつから始まったものなのでしょうか?

 ということで、この記事では以前の流行の作られ方現在の流行の作られ方の違いについて述べていきます。
 そして、どうして今は流行についていけないのか、考えていきます。


 まず、以前の流行の仕方から見ていきます。 

以前の流行

 以前はテレビなどのマスメディアが発信するものが流行であり、視聴者はそれを見て流行を認識するという一方向的な流行の仕方でした。

 具体的には例えば、流行の人物に関しては、以前はテレビで知るということが多かったと思います。
 テレビが紹介することで私たちはその人物を知り、テレビ自体がその人気を作り、私たちはそれを見て人気を認識していました。
 
 つまり、国民のほとんどが知る「大きな流行」が生まれていたわけです。
 「大きな流行」とは、テレビという広く普及したメディアが発信することで、国民の多くが共通認識していて、さらに数として少ない流行のことです。

では、現在はどのように変化したのでしょうか。

現在の流行

 現在は、私たち消費者側が流行を起こし、消費者間でその流行が認識されるような双方向的な流行の仕方に変化しました。

 現在は、YouTuber、Instagrammer、TikTokerのような、アプリの中で大きな人気を持ついわゆるインフルエンサーが増えました。
 その結果、流行をインフルエンサーがそれぞれの媒体で発信するようになりました。
例)『2024年トレンド解説』、『必ず行きたい人気のカフェ◯選』


 これらの流行は「大きな流行」に対し、「小さな流行」と言えます。
 
 国民の大半が知るような流行ではないですが、SNSそのものやインフルエンサー自身の影響力が強くなったことで、ユーザーや視聴者にとってはテレビが発信する「大きな流行」よりも影響を受けるようになりました。

 「小さな流行」とは、YouTubeやSNSなどでの発信の行為を通して、不特定多数の人物に緩く認識され、かつ数が多い流行です。
 
 「小さな流行」は国民の多くが知っているものではありません。
 しかし、SNSで流行し、そのSNSやインフルエンサー自体の影響力が強くなることで、社会的に流行している(だろう)と認識されるのです。

 YouTubeやSNSはそれ自体がエンタメの発信源として、映画や音楽と同じように独自のエンタメを発信し流行を作っています。
 さらに、その他のエンタメの流行を消費者に共有してくれる存在でもあるのです。

 結果として、以前のようにテレビは圧倒的なメディアではなくなりました。

 すると、テレビが流行を発信し、視聴者がそれを受け取るという一方向的な関係の「大きな流行」はなくなりました。

 テレビはSNSと並ぶメディアの一つになり、テレビが発信する情報は「小さな流行」の中の一つという形に変化しています。

 現在テレビでは「YouTubeで人気の〇〇さん」、「インスタのフォロワーが100万人の〇〇さん」のようにインフルエンサーが紹介され、出演しています。
 このことからもテレビが流行を発信するのではなく、SNSやYouTubeで生まれた流行をテレビで後から紹介するという形に変わっています。
 
 みなさんもテレビで「流行スポット」として紹介される場所を見て、ちょっと前に流行ったところだなと思ったことはありませんか?

 つまり、テレビは流行を後から追っている以上、SNSとはややズレが生じてしまいます。

 また、グーグルトレンドで「インフルエンサー」、「ユーチューバー」をキーワードに検索すると2017年ごろから急激にグラフが上昇していることがわかります(画像参照)。
 (青が「ユーチューバー」、赤が「インフルエンサー」の検索度合いの変化)

「ユーチューバー」と「インフルエンサー」の人気度の動向

                         ↑2017年

 上の画像から分かるように、SNSの流行による「小さな流行」が生まれ始めたのは2017年ごろと言えます。

まとめ

 インフルエンサーが自身のSNSで流行を発信するようになったことで、2017年ごろから「小さな流行」が大量に発生しました。
 
 その結果「大きな流行」は存在しなくなり、「小さな流行」が現在の流行の形になっています。
 実際に、2019年に文教大学が大学生146人に調査した結果、流行を知る場所として37.4%がSNSと回答しており、テレビは18.7%と約半分でした。

 テレビは今や流行の発信源としての力が相対的に弱くなり、現在は流行の発信源というより、むしろ流行を確認するメディアのような存在に変わっているのです。

流行を知る場所として37.4%がSNSと回答しており、テレビは18.7%と約半分

「SNS と流行の関係について 」、鯉川 莉帆(文教大学情報学部メディア表現学科) 、2019年

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