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おまけ話5 ヒーローショーの脚本を書く…の巻

医師にして小説家…という人はちらほらといらっしゃいます。
僕もこんな風に文章をいっぱい書いているし、論文もたくさん書いています。
もともと文章を読んだり書いたりするのが好きなんですね。
小学生の頃は、毎日図書館から1冊ずつ本を借りては帰り道に読みながら帰っていたので、気が付いたらバスが終点についていたり、車にひかれそうになったり大変でした。
中学生の頃の夢の1つは小説家でしたから、今ももっといろいろ書いてみたいという気持ちはあります。
でもさすがに時間がなさすぎますけど…。

しかし!やっぱり創作活動は大好き。
人のセリフなんかや場面展開を考えるのが面白くて、忘年会の芸のセリフ書きとかで楽しんでいました。
まあ、たいていろくでもない内容なんですが(ここにも書けない)

そんな中、あるお話が舞い込んできました。
「がん検診のイベントでヒーローショーをするので、監修をしてほしい」ということでした。
広島で初の「がん防災フェスタ」と銘打ったそのイベントは、たくさんの一般の方々にがん検診の大事さを伝えるのが目的です。
検診を受けてほしいのは一般に「親世代」となった40代になったばかりくらいの親御さんたちです。
そこで、子供たちに人気のヒーローショーで集客をしようということですね。
監修には、がんにも詳しく、子供心も理解できる医者が適任…というわけで、僕にお話がやってきました。

僕は基本的に「仕事は断らない」主義です。
もともと好奇心旺盛なので、なんでもやってみようと思う性格ではあったのですが、医者になった時に外科医特有の軍隊形式のトレーニングを受けましたので、
「お返事は “はい”か“Yes”か ”喜んで!“ (5,7,5)」
というありがたいお言葉(?)をそのまま信じ込んで生きてきました。

ヒーローショーのヒーローは、広島のご当地ヒーロー 「メープルカイザー」です。


メープルカイザー

おお!かっこいい!
メープルカイザーは主に児童虐待防止のために活動しており、広島市などの公認も得ていることから、小児外科医としてはもちろん存在は知っていました。
しかし、実際にヒーローショーを見たことはなかった僕は、「これではいかん」と思い、とりあえずYoutubeなどで動画を全て視聴することから始めました。

ふむふむ。ヒーローショーってこんな展開なのか…
声を入れておいて、アクションを合わせていくのか~。大変そう。
おお、必殺技かっこいい!
声がいいなぁ…。←基本声フェチ

そして何本も見ているうちに、なんとなくシナリオを考え始めてしまいました。

この悪役にこんなセリフ言わせたら絶対面白いな…。
ここでちょっとボケを入れて。
子供の声援で力が増す展開にして…と。
最後のシメはこのセリフだな。

するとあら不思議。
第一回打ち合わせの前に、シナリオがセリフ付きでほとんど出来上がっているじゃないですか。

最初は「医療監修」ということでお話を受けて、どういう話を作るかみんなで話し合おうということだったのに、いつの間にやら「このストーリーで行きましょう」ということになり、いつの間にやら僕は、「脚本:広島大学病院 小児外科 佐伯医師」ということになっていたのでした。
うーむ。

しかし、これで本当に大丈夫なのか…?と思いつつ本番を見に行ったのですが、心配は杞憂だったようです。
我ながら悪役の行いがひど過ぎて「このやろー」と思うくらいだったのですが、無事子供たちの声援を受けてメープルカイザーが怪人たちの悪の心を斬って退治し、めでたしめでたしと相成ったのでした。

その後檀上で僕も挨拶して、メープルカイザーとがっちり握手。
役得役得。


子ども達のために共に戦おう!

ということで、僕は「医師にして小説家」で活躍されている先生方には遠く及びませんが
子供の頃の夢を叶えることができて
「医師にして(自称)脚本家」
にランクアップ(?)したのでした。

補足事項
2024年6月22日 広島がん防災フェスタ メープルカイザーショー 脚本
本イベントの売り上げ、およびメープルカイザーショーの売り上げより、広島大学病院 小児外科 佐伯が進めている「小児がんの子ども達のためのVRゲーム制作プロジェクト」に寄付をいただいております。


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