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少女

「馬鹿なヤツ」と笑われた。
「母親に似て可愛くない」と。
「みっともない可哀想な顔だな」と笑われた。
「お前はオレのケツからクソまみれで生まれてきた」「橋の下から拾ってきた」と。
酒と体臭が入り混じる身体で
私を力づくで捕まえ
頬に無理矢理、何度もキスをされた。
時には舐められた。
胸を触ってくることもあった。
いつも悪臭をまき散らし、ニヤけた顔で言っていた。
「お母さんが触らせてくれないから触らせて」

私はいつも泣き叫んでいた。
救けはなかった。
誰も 誰にも届かなかった。
母でさえ、無視をした。

幼い私は心が崩壊する瞬間を知った。
母も兄もいない日だった。
いつものように、何日も風呂に入らず、朝から酒をあおる父。
ニヤニヤしながら無理矢理私を捕まえて
泣き叫び、嫌がる私にやたらとキスをしてくる。
なんとか奴の腕から逃げ出して
台所へ向かい、包丁を取り出して、奴に向けた。
アイツは鼻で笑ってた。

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