マガジンのカバー画像

碧と海

44
連載小説「碧と海」のまとめ 高校3年生の海斗はアレが出来ない。ゲイだと偽ってレズの桂木に恋人のフリをしてもらうなど、いろいろこじらせている。自分の空白の記憶を探しにやって来た伊豆…
運営しているクリエイター

2018年8月の記事一覧

『碧と海』 連載小説【24】

  ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ  つるん、としたほろ苦いプリン。  甘酸っぱいオレンジジュ…

深乃ふか
6年前
5

『碧と海』 連載小説【25】

   ふふふ 「あの、ババァ。うるせーっつうんだよ。自意識過剰なんだよ。ブスがっ」 と、…

深乃ふか
6年前
5

『碧と海』 連載小説【26】

   ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ  きらきら、きらっきら。星が瞬いている。  生暖かい…

深乃ふか
6年前
3

『碧と海』 連載小説【27】

  ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ  爽やかなオレンジジュースの香り。  つるんと舌の上…

深乃ふか
6年前
5

『碧と海』 連載小説【28】

   くくくっ  赤メガネがいなくなった『アリゾノ』のエントランスには、健康的な人たちが…

深乃ふか
6年前
3

『碧と海』 連載小説【29】

   ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ  八時五十五分か、さて、どうしたものか。  俺…

深乃ふか
6年前
3

『碧と海』 連載小説【30】

  ぶぶぶん 「ねぇ、碧のその髪の毛って、天然パーマ?」 「……そうだけど」 「いいなぁ、うらやましい。碧はなんでも似合いそうだから羨ましい」 「あのさ、なんで今朝から俺のこと碧って名前で呼んでるの」 「碧の方がしっくりくる。最初に会った時から、心の中で「みどりのきみ」って呼んでたからね」 「気持ち悪いな。色んな意味で」 「嫌なら止めるけど」 「別に、どうでもいい。前は嫌だったけど。もう、そんなに嫌じゃない」  ふうん、と言いながら隣の碧を改めて見る。Tシャ

『碧と海』 連載小説【31】

   ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶのぶ 「碧ってさ、近寄りがたいオーラだしてるくせ…

深乃ふか
6年前
4

『碧と海』 連載小説【32】

   ふふふふふ  その日の夜は少し風が強く吹いていた。  『アリゾナ』の敷地内に生えた…

深乃ふか
6年前
6

『碧と海』 連載小説【33】

「私さ、中学の時に、親友だと思ってた子から告られたの。  つまり、女の子から。驚いたよ。…

深乃ふか
6年前
4

『碧と海』 連載小説【34】

   すすすすう  オレンジ色の灯り。  甘いお菓子の香り。  あぁ、またこの夢か……。…

深乃ふか
6年前
2

『碧と海』 連載小説【35】

 『レストラン・アリゾノ』のモーニングは今日も変わらず美味かった。  目の前に桂木がいる…

深乃ふか
6年前
3

『碧と海』 連載小説【36】

 朝食を終えると、桂木は荷物をまとめた。俺は一緒に行きたい場所がある、とだけ言うと、桂木…

深乃ふか
6年前
4

『碧と海』 連載小説【37】

   ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ  バスが来るまでまだ時間があったから、カーサ鈴木まで足を伸ばす事にした。忘れてはいるけど、自分の生まれ育った場所を桂木にも見て貰いたかった。  水色と黄色のアパートに近づくにつれ、周りの雰囲気が雑然としている事に気付いた。人が多い。しかも、皆、小さな声で何かを話している。 「パトカー?」  水色のアパートの前にパトカーが二台止まっていた。少し離れた場所に、人だかりが出来ている。 「事件?」  俺と桂木はアパートに近づいた