空に浮かぶ緑と白(短編小説)
古い車内は、悪路に蹴躓きながらゴトゴトと音を鳴らしている。窓を開けると数時間ぶりに新鮮な空気が流れ込み、ぼやけた頭を現実に戻させた。
「いい景色だ」
空色のグラデーションにコントラストが利いているせいか青々とした緑に目を奪われる。少し不可解なことに気づいた。山の中腹から細い煙が上っている。いや、煙と言うよりかは真っ直ぐと天に向かってのびる蜘蛛の糸のようだ。よくよく目を凝らしてみると、細い糸は無数に絡まり、垂れているように見えた。
私はなぜだか気になり、その方へ走らせるこ