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DANROの連載4回目が出たのでひとり反省会をした。

DANROの連載4回目が出たのでひとり反省会をした。

公開されたものを読み返した感想は「小学生の遠足日記かよ」というもので、どうしても時系列以外の方法で書けなかったかという反省が残る。

まあ、50歳になって己の未熟さ、いい文章を書くことの困難さに直面することは、残りの人生の長さを考えると悪いことではない。もちろん、

「みなさん、おいしいお料理には詳しいんですけど、お酒との組み合わせは簡単ではないみたいで」

という錦屋酒店の女将さんの言葉を書き出しに持ってきて、そこから最初の回転寿司に戻り、その後の弁慶さんに持っていくという構成も考えた。

でも、それは小学生の遠足日記を回避するために、中学生の読書感想文にするといった、むしろあざとさを感じさせるものになると思ったのでやめた。

エッセイっぽくするために、事実ではなく自分の考えで書き出すという方法も当然考えた。例えばこんな感じである。

お酒は何でも飲むが、日本酒も嗜むというと「じゃあ、あれですか。お寿司屋さんのカウンターでひとり一杯とか」と言われることもあるが返答に困る。都内の「回転しない店」は結構な値段になるし、寿司と酒との相性を十分に考えてくれている店が多いとは思えないからだ。

六本木の店などで、若い女性を連れたIT社長に出くわすのも気分がよくない。せっかく白身が美味しい季節なのにトロだのサーモンだのを頼んで、何をしに来たんだか、そんなものに使うんだったら会社に収益をもたらす若きエンジニアたちの給料を上げてやってくれ、なんて考えながら目の前の料理に集中できるわけがない。

ただ、こう書き出すと感想部分が増えて3000字をはるかに超えてしまう感じだし、論理的に矛盾なく悪態をつき続けるのも根気がいる。

なによりも、数日前からYahoo!に配信されていることを考えると、まずは無難な形でよかったのかなと思う。

これだけ気を使って無難な遠足日記に仕上げても、悪名高きYahoo!コメント欄のユーザーどもはクソコメントを寄越しやがる(笑)。しかし、かつて本業のメディアで「死ね」というコメントを日々大量に贈られていた自分からすると、むしろ懐かしいような感じがした。

銭湯の電気風呂で刺激を受けて、血行がよくなるようなものだ。幸先がいいとすら思える。いくつかピックアップしてみよう。

そもそも、新潟に深夜バスで行く必要あんの?
狭いしゆっくり寝れないし、朝7時に着いたって店開いてないし・・・w
6時台の新幹線で行けば10時には新潟市内に着いてる

この記事、ガイド見て机上で書いたんじゃないの?

ガイド見て机上で書いた?ああ、そんなにうらやましいのか(笑)じゃあ証拠の写真を載せておきますね。特に炎節(盛夏)の日本海の岩牡蠣は、本当にうまい。

念のため確認すると、東京発午前6時8分の上越新幹線に乗ると、午前8時13分に新潟に着くようだ。料金は、JR乗車券・特急券を加えると、片道1万570円である。確かに時間に無駄はない。

一方、今回利用したWILLER EXPRESSは、木曜深夜出発で片道2,900円で行けた。もっと安い日を選べば、新幹線の片道一回の料金で、バスなら2回往復できてしまうのである。ただ、これを書いちゃうとバスの宣伝臭くなるからやめた。

それに、夜行バスがサービスエリアで途中休憩をするときの昧爽(夜明け方)の景色には、なかなか味わい深いものがあるのだ。

行くのなら素直にMAXときで行くよ。4列シートのバスに乗りたくないし。

そうですか。3列シートだったけどね。

金持ちの休日

金持ちというより、休みを取れることに対する嫉妬かなと思えるコメントは他にもあった。

ただの寝言やな
新潟の宣伝大使か
夜行バスで、しんどいだけや
これが当たり前にできるのは
独身で金持ってるヤツやけど
金あったら、バスでは行かんぞ

「金あったら、バスでは行かんぞ」「これが当たり前にできるのは独身で金持ってるヤツ」は、自分で論理矛盾しているのに気づかないのか。ちなみに乗り物より飲み食いにカネを使いたい既婚者です。

取材ですね これ

確かに事前準備もせずにここまで楽しめるのはラッキーとしか言いようがないですが、取材ではないですし、自腹です。

>>ふだんは旬でも地物でもないマグロやサーモンを頼む人たちを密かに軽蔑していた

好きな物食べて何が悪い?
ここで一気に読む気失せました。

このコメントに対する「そう思う」は9件、「そう思わない」は17件なので、軌道修正は特に必要なさそう。

立ち食い寿司で至が出てくるのかよ。なんて贅沢。
凄すぎるわ。

「そう思う」は10件、「そう思わない」は0件。同感です。

なんだ、この記事!
新潟、行きたくなっちゃうじゃないかよぉ〜!(≧∀≦)がぁーっ

ありがとうございます。「そう思う」30件。

なんかすごい浅い記事だな。

今回、非常に興味をそそられたコメント。反応も「そう思う」は12件、「そう思わない」は8件と割れている。

単純に文章が小学生の遠足日記レベルだからそう思ったのであれば、お目が高いと素直に思う。

ただ、経験上、「浅い」としか論評しないコメントは、往々にして自分に納得できない内容があっても、それを明らかにすると自分が責められる部分があって、後ろめたいときによく使われる気がする。

「痛いところを突かれた」と言い換えることもできる。

実は今回のコラムを書くに当たって、調べたけれど書かなかった部分がある。それは、新潟の一部のコシヒカリに対する不評や反省だ。

文中にはあえてさらっとしか書かなかったが、周辺取材をすると、兼業農家と農協がコメをまずくしているという批判をいくつか聞いた。これと直接関係あるかどうかは分からないが、こういう記事も出ている。

特Aが設けられた1989年から唯一、28年連続で最高評価を受けてきたブランド銘柄米『魚沼コシヒカリ』を初めて最高の特AからAに評価を下げた。新潟県産コシヒカリでは『中越コシヒカリ』もAにランク落ちしたが、新潟の上越、下越、佐渡は特Aと評価され、県内で明暗が分かれた。

手間をかけて作っている佐渡は、やはりうまいのである。かなり危機感を募らせている人もいたし、事実を認めながら、しようがない、いまさらそんなコメづくりはできないし、自分らにも自分らの生活があるんだから、という兼業農家の関係者もいた。

今回のコラムから、もしも「佐渡のコメを見習ってくれ」というメッセージを読み取ったのであれば、それは読解力が高いと思う。

そして、それに対して「こちらにもいろいろ事情はあるし、単純な話ではないのだ」という意味で「浅い」と非難しているのであれば、まあそうかもしれないが、うまいものを作る人を称えるのは勝手だろ、と言うしかない。

そんな感じで、これからもYahoo!のコメントとの(勝手な)対話を続けていきたいと思うが、そちらばかり向きすぎるとまたおかしくなってしまうので、引き続き自分の納得と、掲載メディアのDANROのブランド向上のためだけに書き続けることにします。


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