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結婚式を挙げるはずだった日のこと。

2020年5月24日。
私たち夫婦は、本来ならその日挙式をする予定だった。
挙げられなかったのは言うまでもなく、新型コロナウイルスの感染予防対策のため。結婚式を予定通り行うか、延期か中止か、悩みに悩んで来年へ延期する決断をしていた。

延期を決断してからすぐに緊急事態宣言が発令し、夫は完全リモートでの勤務となり、街の馴染みの店も次々と休業、あっという間に日常は非日常に変わってしまった。
そんな中私は3月の下旬に会社を辞め、転職活動をしていた。面談や面接は基本リモートとなり、私も外に出ることはなかった。

夫婦揃って2ヶ月間、ほぼ100%引きこもる生活を送っていたのだ。

挙式会場も5月いっぱいはお休みとなり、私達が実施の決断をしようが延期の決断をしようが関係なく、式を挙げることはできなかったんだなぁとぼんやりと思った。

・・・

そして延期の決断をしてから、あっという間に二ヶ月が経ち5月24日を迎えた。
その日はとてもいい天気で、緑が眩しい季節だった。
いい天気すぎて、やっぱり5月に式を挙げたかったなぁと、まだ少し残念に思っていたけど、感染者が日々確実に減っているのを見て、私たちの自粛もきっと無駄ではなかったんだと自分を励ました。

そして、いつものように遅めに起きて、いつものようにダラダラしていると、夫のご両親から花とケーキが送られてきた。

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夫も事前に知らされてはおらず、完全にサプライズ!
粋なことをしてくれますなぁ。
せっかくなのでお花を持って、二人で写真を撮った。
一眼レフをタイマー設定して、うまく枠に入るように調整して…。

撮った写真をお義母さんへ送ったら
「本当だったら今日が結婚式だったのにね!とりあえずそれで我慢してください」というメッセージがきた。

お義母さんたちのおかげで爽やかな気持ちになれたので、遅めの昼食は久しぶりに外へ食べに行くことに。

夫と近所のカフェへ行き、それぞれハンバーグセットとオムライスセットを注文した。
お昼にしては遅い時間だったのもあり、店内のお客さんは私たち夫婦だけ。
窓から見える公園の緑がすごくキラキラしていて、夫と「なんか避暑地みたいだね!」と話した。

店内にかかる懐かしい洋楽を聞きながらこの2ヶ月間のことを思い出す。
考えてみたら2ヶ月もの間、ほぼ24時間夫と一緒にいることなんてこの先めったに無いのではないだろうか。
ケンカすることもなく、なんだかんだ笑い合いながら毎日穏やかに過ごせたのは、間違いなく夫のおかげだ。

じんわりとありがたみが増したので、あらめて「一緒にいてくれてありがとう」と伝えると、夫からもありがとうと返され「へへへ」と二人で笑いあった。

式は挙げられなかったけど、5月24日はとてもいい日となった。きっといつかこの日のことを思い出したとき、悲しい記憶よりもあたたかな記憶が蘇るだろう。

・・・

街には少しずつ日常が戻ってきている。
本来なら今頃は挙式を終え、新婚旅行で北イタリアにいるはずだったのだが、結局どちらもまだ出来ずにいる。

だけどその一方で、とても素敵な会社にめぐり逢い、転職することができた。予定通り挙式をし、旅行に行っていたら、恐らく、その会社に行くことはできなかっただろう。

そう考えると本当になんだか、人生何が起こるかわからないなぁと思う。
どうしようもなく理不尽に楽しみや幸せが奪われる一方で、
思いもよらないラッキーなことや、チャンスが降ってくることもある。

だからこそ、あんまり人生に振り回されないように、むしろこっちが振り回すくらいの気持ちで生きていけばいいのかな、と今なら思う。

来年だって、きちんと望んでいた通りの式を挙げられるかはわからないけど「生きてればいろんなコトがある」のだから。

何が起こっても臨機応変に、楽しむ気持ちを忘れずに。
そんな風にこれからも、大切な人とできる限り長生きしていこうと思います。

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