28(にわ)ノ烏

思考と記憶。備忘録。

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    個人の日記って残しておくほどのものでもないです。捨てるために書いてるようなものです。

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捨てるための日記_31『書写という趣味』の連載を終えて

人格OverDriveさんで連載させてもらっていた『書写という趣味』がひとまず完結した。読んでくださった皆様がたには本当に感謝します。 編集の杜さんから「にわさんの書写エッセイが読みたいので書いてみませんか」と言われたときは、請われて文章を書いたことがなかったので、とても驚いた。とても驚いたけど、引き受けてよかったと今は思う。 ただ書写を楽しんでやってTwitterにアップしていただけだったから、何をどう書こうか少し悩んだけれど、「にわさんの目から見た書写の世界を知りたい」

    • アニメ『烏は主を選ばない』13話まで観て

      アニメの12話「后選び」のラストまでみて、アニメの演出にすっかり騙された~! と思った。それと同時に、后があせびでないならあとは消去法で浜木綿しかいないとも思った。 それにしても、浜木綿が言うように后に相応しいのは真赭の薄(ますほのすすき)だったかもしれない。けれど、あせびのように自身の悪意や思惑を巧妙に覆い隠し(意図的にしろ無意識にしろ)、世間知らずで純真無垢さ・人畜無害さを装いながら周囲の人間を思い通りに動かすことのできる人間は、間違いなく中央政権で生き生きとそのチカラ

      • デ・キリコ展(東京都美術館) 古代ギリシャ、形而上学的室内、マヌカンなど同じモチーフが生涯に渡って絵画に描かれる。けれどそれはただの再生産とかではなくて常に新しい描き方を模索して付け加えていく、螺旋階段を登るような営みに見えた。今のデ・キリコならこれらをどんなふうに描くだろう?

        • エッシャー 不思議のヒミツ(富山県美術館)

          有給を使って平日に北陸新幹線で富山に来た。 富山県美術館は初めての来館。 エッシャー展は動画以外の作品が撮影可能なので嬉しい。平日の昼間は本当に人が少なくてゆっくり見ることができたし、写真も好きなだけ撮れた。 第1章 デビューとイタリア 『イースターの花』は初期オランダ時代の作品。友人アート・ファン・ストルクの著作の挿絵。 見たときに、雄鶏とタイトルである神智学の関係がわからなくて撮った。著作を読めばわかるんだろうか? 軽く検索してみただけではわからなかった。 植物

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        • アニメ『烏は主を選ばない』13話まで観て

        • デ・キリコ展(東京都美術館) 古代ギリシャ、形而上学的室内、マヌカンなど同じモチーフが生涯に渡って絵画に描かれる。けれどそれはただの再生産とかではなくて常に新しい描き方を模索して付け加えていく、螺旋階段を登るような営みに見えた。今のデ・キリコならこれらをどんなふうに描くだろう?

        • エッシャー 不思議のヒミツ(富山県美術館)

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          石川九楊大全【古典篇】(上野の森美術館) 現代の書ってこんなに自由なんだ。そして筆と墨でこれだけの技巧が凝らせるんだ。 盃千字文が文字としてはまだわかりやすかった。色、バランス、配置にバリエーションがあって美しい。 すごいものを見たという感じがした。7月からの後期も楽しみ。

          石川九楊大全【古典篇】(上野の森美術館) 現代の書ってこんなに自由なんだ。そして筆と墨でこれだけの技巧が凝らせるんだ。 盃千字文が文字としてはまだわかりやすかった。色、バランス、配置にバリエーションがあって美しい。 すごいものを見たという感じがした。7月からの後期も楽しみ。

          マティス展(国立新美術館) 作品点数が多くて見応えがあった。絵画だけでなく彫刻の展示も多い。個人的にはバレエ・リュスの衣装を手がけていたのが興味深かった。ピカソといいこの時代の芸術家はバレエ・リュスと関わりが深いのね。展示ラストのロザリオ礼拝堂の再現、光の演出が良かった。

          マティス展(国立新美術館) 作品点数が多くて見応えがあった。絵画だけでなく彫刻の展示も多い。個人的にはバレエ・リュスの衣装を手がけていたのが興味深かった。ピカソといいこの時代の芸術家はバレエ・リュスと関わりが深いのね。展示ラストのロザリオ礼拝堂の再現、光の演出が良かった。

          捨てるための日記36_「ゴヤ《戦争の惨禍》(国立西洋美術館)」

          ゴヤの「戦争の惨禍」が見たくて国立西洋美術館へ行った。企画展には何度か足を運んだけれど、常設展を見るのは初めて。 一つ一つの版画について語ることは避けるけれど、このタイミングで「戦争の惨禍」をまとめて見ることができて良かった。 ロシアによるウクライナ侵攻、パレスチナでの虐殺がなおも続いている現在、この展示がされたのは意義あることだと思う。 ゴヤの「戦争の惨禍」はスペイン独立戦争を描いたものだ。スペインにもフランスにも肩入れしていない、ただ暴力の悲惨さが延々と描かれる。

          捨てるための日記36_「ゴヤ《戦争の惨禍》(国立西洋美術館)」

          捨てるための日記35_「彩の国シェイクスピア・シリーズ 2nd Vol.1 『ハムレット』を観る」

          初めて劇場へ芝居を観に行った。吉田鋼太郎演出、彩の国さいたま芸術劇場での「ハムレット」 みんな早口 初観劇なので、まず登場した人物がすごい早口でしゃべるなと思った。多分シェイクスピアは台詞量が多い? 状況とか全部一気にしゃべる。TVの字幕表示に慣れすぎっちゃっているから、耳からの情報を取得するのにけっこう集中した。吉田鋼太郎さんの低音ボイスは聞き取りやすい。 シェイクスピアはメタが好き? 舞台の上の役者に、役者や芝居のことを語らせるのはシェイクスピアではよくある手法な

          捨てるための日記35_「彩の国シェイクスピア・シリーズ 2nd Vol.1 『ハムレット』を観る」

          アブソリュート・チェアーズ(埼玉県立近代美術館)

          会期終了間近の平日の夕方、館内は空いていた。静かな状態で椅子たちを鑑賞できたのはすごくよかった。 1.美術館の座れない椅子 1-1.デュシャンの「自転車の車輪」(京都国立近代美術館) 木製のスツールの上に自転車の車輪が乗っている椅子。当然座れない。というかスツールはただの台座として使われていて椅子だと思われていない。 1-4.草間弥生の「無題(金色の椅子のオブジェ)」(高松市美術館) 椅子としての形は保っているけれど、ファルスを思わせる突起が全ての表面を覆っていて「座ら

          アブソリュート・チェアーズ(埼玉県立近代美術館)

          捨てるための日記34_「2024春M3に行ってきた」

          去年の秋に初めて訪れたイベント、音系・メディアミックス同人即売会M3。今年の春も行ってきました。 11時頃に着いて当日券販売の列に並びます。25分くらい並んでいたかな。 去年の秋は、お目当てのブース1つ行くという予定だったので、他は全然チェックしてなくて所在なくうろうろしてました。さすがに、せっかく行ったイベントはもうちょっと楽しみたかったなーと思って、イベントが終わってからサイトのサークル一覧をチェックしたりして。 なので今回は事前にサークルチェックしました。 キーワー

          捨てるための日記34_「2024春M3に行ってきた」

          印象派 モネからアメリカへ(東京都美術館)

          印象派の展覧会が多いなと思っていたけど、第1回印象派展から150年の節目なんだね。 この展覧会は観おえてから、エスカレータを降りると入り口そばへ着くので珍しく2周してしまった。閉館が近かったので、1周目で人が多くて読めなかったキャプションが2周目でじっくり読めてよかった。 1 伝統への挑戦 印象派前史の画家たちの紹介。 歴史や神話、聖書を題材にした絵画でなく、日常の風景を絵に描けるということは生活が豊かになってきている証拠だなと思う。写真だって記念のときくらいしか撮らなか

          印象派 モネからアメリカへ(東京都美術館)

          池大雅(出光美術館)

          2018年に京都国立博物館で見た「特別展 池大雅 天衣無縫の旅の画家」では、山水画と讃の人だなあという印象を持った池大雅。それ以外のことをあんまり覚えていなくて、新鮮な気持ちで今日の展覧会を見た。 第1章 光との戯れ 「葛の葉図」の讃を白隠慧鶴が書いていて驚いた。え、同時代の人だったっけ?! 「瓢箪図」讃が荘子の無用の用と不至の指が引用されていたので気になっちゃった。詳しい解説があったので後で読むためにメモ。 「池大雅における室町文化憧憬の一様相」 https://id

          池大雅(出光美術館)

          本阿弥光悦の大宇宙(東京国立博物館)

          行くつもりがあまりなかったけれど、くずし字解読講座で扱っているテキストが伊勢物語の嵯峨本だったため、平日仕事終わりに行ってきた。 第1章 本阿弥家の家職と法華信仰 本阿弥光悦(ほんあみこうえつ・1558~1637) 日本史年表で確認したら1560年桶狭間の戦いから1635年参勤交代の制度化あたりを生きた人だった。 本阿弥家は刀剣の研磨や鑑定を家職とするとあるけど、時代からしてめちゃくちゃ実用品としての刀剣を扱う職能じゃないか。 刀剣の展示はこの章のみで、数は少ない。

          本阿弥光悦の大宇宙(東京国立博物館)

          青磁(出光美術館) 青磁の通史的な展覧会。 面白かったけど、中国史が頭に入ってないためすんなり理解できたとは言い難いかも。キャプションは見やすくてとても良かった。 とはいえ焼物は個人的にイマイチよくわからない。

          青磁(出光美術館) 青磁の通史的な展覧会。 面白かったけど、中国史が頭に入ってないためすんなり理解できたとは言い難いかも。キャプションは見やすくてとても良かった。 とはいえ焼物は個人的にイマイチよくわからない。

          キュビスム展 美の革命(国立西洋美術館)

          さすがに国立の展覧会は大きいし作品数も多かった。あと章立てが細かくて14もある。 基本的に写真撮影可で、ダメなやつだけ禁止のマークがついているので、写真を撮っている人が多かった。個人的にはスマホをかざして拡大すれば、ちょっと離れたところでもキャプションが読めるので嬉しい。 1 キュビスム以前ーその源泉 キュビスムの源泉はポール・セザンヌらしいので、展示もセザンヌから始まる。印象派のイメージのほうが強かったのでピンとこなかったけれど、「ラム酒の瓶のある静物」がちょっと上から

          キュビスム展 美の革命(国立西洋美術館)

          モネ 連作の情景(上野の森美術館)

          印象派以前のモネ 印象派の画家、モネ テーマへの集中 連作の画家、モネ 「睡蓮」とジヴェルニーの庭 展覧会の構成は以上の通り。 第1章 印象派以前のモネ フライヤーにも掲載されている初来日の「昼食」。印象派以降は風景画家の印象が強いモネなので、人物が描かれているのが新鮮でよかった。 第2章 印象派の画家、モネ ヨーロッパで風景画というジャンルが成立したのが17世紀のこと。 その後、鉄道によって郊外への移動が容易になったとか、絵の具を戸外へ持ち出せるようになっ

          モネ 連作の情景(上野の森美術館)