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印象派 モネからアメリカへ(東京都美術館)

印象派の展覧会が多いなと思っていたけど、第1回印象派展から150年の節目なんだね。
この展覧会は観おえてから、エスカレータを降りると入り口そばへ着くので珍しく2周してしまった。閉館が近かったので、1周目で人が多くて読めなかったキャプションが2周目でじっくり読めてよかった。

1 伝統への挑戦

印象派前史の画家たちの紹介。
歴史や神話、聖書を題材にした絵画でなく、日常の風景を絵に描けるということは生活が豊かになってきている証拠だなと思う。写真だって記念のときくらいしか撮らなかった時代から、今ではなんでもないショットが何枚でも気軽に撮れるわけだし。

このあたりの絵画はまだかっきりきれいに風景が描かれている感じ。
HPとフライヤーで紹介されているのはジャン=バティスト=カミーユ・コローの「ヴィル=ダヴレーの牧歌的な場所ー池畔の釣り人」(Jean-Baptiste-Camille Corot "An Idyllic Spot at Ville-d'Avray--A Fisherman on the Banks of the Pond") (1865-70年)[出品リストNo.5]

2 パリと印象派の画家たち

ここの章はウスター美術館所蔵以外の絵画がいくつか混じっている。
あと出品リストには絵画しか載っていないのだけど、モネの睡蓮を購入するときの手紙や電報の複製が展示されていて面白かった。こういう資料がみられるのは貴重な気がする。

HPに図版がある4点。

カミーユ・ピサロ「ルーアンのラクロワ島」(Camille Pissarro "Lacroix Island at Rouen")(1883年)[出品リストNo.16]

風景がパリだし塗りの筆致とかが印象派という感じ。パリを描く印象派は水辺が多いイメージがある。

メアリー・カサット「裸の赤ん坊を抱くレーヌ・ルフェーヴル(母と子)」(Mary Cassatt "Reine Lefebvre Holding a Nude Baby (Mother and Child)")(1902-03年)[出品リストNo.20]

メアリー・カサットは2016年に京都で催された展覧会を観に行っていて、それで名前を知ったんだよね。ドガとの出会いから印象派展に参加しているので、ちょっとドガっぽいところも感じる。

チャイルド・ハッサム「花摘み、フランス式庭園にて」(Childe Hassam "Gathering Flowers in a French Garden")(1888年)[出品リストNo.21]

アメリカの画家。この絵、右側に緑の壁のある構図が浮世絵っぽいと思ったんだよね。

クロード・モネ「睡蓮」(Claude Monet "Water Lilies")(1908年)[出品リストNo.23]

言わずと知れたモネの連作睡蓮のうちのひとつ。

3 国際的な広がり

この章もウスター美術館所蔵以外の絵画が混じっている。例えば黒田清輝の「落葉」は東京国立近代美術館所蔵だ。
この章は木漏れ日の表現が印象的だったかも。太田喜二郎の「風景」(目黒区美術館)や斎藤豊作の「風景」(郡山市立美術館)が。

ジョン・シンガー・サージェント「キャサリン・チェイス・プラット」(John Singer Sargent "Katharine Chase Pratt")(1890年)[出品リストNo.29]

未完成の絵画。描きかけの花は紫陽花っぽい。

4 アメリカの印象派

チャイルド・ハッサム「コロンバス大通り、雨の日」(Chide Hassam "Columbus Avenue, Rainy Day")(1885年)[出品リストNo.48]

2章の「花摘み、フランス式庭園にて」と同じ画家。この絵は会場で見たとき、一瞬写真かと思った。光の加減もあると思う。フライヤーやHPで見るとそんなふうには思わないから。

5 まだ見ぬ景色を求めて

ポール・シニャック「ゴルフ・ジュアン」(Paul Signac "Golfe Juan")(1896年)[出品リストNo.56]

シニャックは新印象派で点描画を描く画家としてとても有名だけど、その絵は印刷で見るのに一番向いていないと思う。この人の絵は実物を見てこそ。

おわりに

平日16時以降の入場でもチケット販売で人が並んでいたので、3月最終週は平日でももっと混みそうな感じがした。4月以降は平日でも日時予約制になる。
ただこのあと郡山、八王子、大阪と巡回する。

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