ドラマ『琅琊榜』で習いたかった中国語～第二十二集②

サブタイトル「ひとつの決着」の続き。

苏哥哥不舒服啊

謝玉の所業について報告を受けた皇帝。誉王は莅陽長公主との約束通り、長公主とその子供たちの恩赦を願い出た。太皇太后が心を痛めないよう皇帝はそれを許可した。家族は通常連座で罪に問われるものだが、謝玉の妻や子どもたちは皇帝にとって実妹と甥・姪に当たる。「今回は」これで済んで良かった。

しかし謝玉と莅陽長公主の娘・謝綺は身籠っていたが難産で、幸い子供の方は助かったものの死んでしまう。第二十～二十一集にかけての一件で、心理的に受けたダメージは計り知れないため無理もない。

この報告を受けて心を痛めた梅長蘇がひどくせき込み、せきが治まって顔を上げると飛流が梅長蘇の顔を見ながら言った。

苏哥哥不舒服啊
ー蘇兄さん　つらい？

琅琊榜～麒麟の才子、風雲起こす～第22話
飛流

▼苏哥哥(sū gēge) 　
そのまま「蘇兄さん」。
飛流から梅長蘇への呼びかけ。

▼不舒服啊(bù shūfu a)
「舒服」は「気分がよい」「体調が良い」の意味で、直前に否定の「不」がついて「具合が悪い」ということになる。最後の「啊」は疑問の語気を表す文末助詞。シンプルな表現しかしない飛流のセリフなので、字幕では「つらい？」の一言になっている。

続けて飛流が「よくなる？」と聞くと梅長蘇は「（よく）なるとも」と答え、飛流に質問した。

你知道为什么吗

你知道为什么吗
ーなぜだか分かるか？

琅琊榜～麒麟の才子、風雲起こす～第22話
梅長蘇

▼你（nǐ） 二人称

▼知道(zhīdao)　「分かる」「知っている」

▼为什么吗(wèishénme ma)
「为什么」は疑問詞「なぜ」だが、ここでは最後に「吗」という疑問の文末助詞があるので、「なぜだか」という目的語的な使い方になっている。通常疑問詞があれば「吗」は不要だが、ここでは必要である。直訳した時に「吗」があるかないかで以下のように異なってくるためだ。

①「你知道为什么」→「おまえはなぜ知っているのか」
②「你知道为什么吗」→「おまえはなぜか知っているのか」

梅長蘇は飛流に「辛いことがそうでなくなる理由」を尋ねているため、②でないと文の意味が変わってしまう。①の意味の場合は当然「吗」は不要である。

梅長蘇の問いに首を振る飛流。梅長蘇は「人の心は動じなくなるからだ」と教えたが、飛流は訝し気にする。単純に意味が分からなかったのか、あるいは梅長蘇の言っていることと実際が違って見えたからだろうか。

物語の転換

この後は重要な情報が多く出てくる展開になるため、第二十二集のその後のあらすじを見ておこう。

謝玉は牢に繋がれ、新たに夏江という人物が登場した。夏江は夏冬の師匠であり、懸鏡司（皇帝直属の諜報機関）の長である。帰京するなり夏江は、党争に加わってはならないのに、必要な情報を得たらすぐ謝玉の屋敷から撤収しなかったからと夏冬を禁足処分（一定の場所から出ることを禁じる）にした。

師匠の言う通りにしていたら、騙されて謝玉の懐刀になっていた卓家を見殺しにする事になるため、夏冬は納得いかず反論するが夏江は聞き入れない。兄弟子の夏春は反論しないようそっと制止したので、夏冬はやむを得ず処分を受け入れた。

夏江は皇帝に帰京の報告で謁見した際にも夏冬のふるまいについて詫びた上、謝玉が罪を犯したこととその発覚は別の話とまで皇帝に吹き込んだ。その理由はすぐ後で分かる。夏江と謝玉はつながっていたのだ。

謝玉のいる牢にやって来た夏江に謝玉が言う。
「どうかあの約束を果たしてもらえぬか」

何のことが視聴者にはわからないが、まっとうな事ではないに決まっている。

場面変わり、梅長蘇の屋敷に憤った誉王がやって来た。謝玉がなかなか死罪にならず、悪あがきの主張をしているからだ。生き抜いて皇太子の即位を待つつもりなので、あせらないよう梅長蘇は忠告した。

誉王から入手した卓鼎風が殺害した人物一覧には、殺す理由が判然としない者もいた。その中に12～13年前に殺された李重心という書道の師の名前があった。梅長蘇は謝玉や皇太子の都合ではなく、別の誰かのために殺させたのかもしれないと言う。また、党争に加わらず皇太子側じゃないはずの夏江があえて謝玉を守るには何か事情があるはず、例えば謝玉が夏江に恩があれば？と。

🖌今回の気になる単語帳

成王敗寇　chéng wáng bài kòu
日本語のことわざで言うところの「勝てば官軍負ければ賊軍」に当たる。直訳すると「成功すれば王負ければ賊」という感じか。謝玉が祖先の位牌の前で莅陽長公主との会話で出てきた。