ドラマ『琅琊榜』で習いたかった中国語～第二十五集①

サブタイトルは「漁夫の利」。謝玉の失脚により、謝玉が管轄していた巡防営（都の警固をする機関）を自分の陣営にしようと皇太子と誉王がそれぞれ争っていた。二人の争いに怒った皇帝は、最終的に巡防営の指揮権を靖王の手に委ねた。

我还没难过 你难过什么呀

梅長蘇を訪ねて来た蒙大統領。ちょうど梅長蘇が書いていた文字を見て、かつて林殊だった頃と筆跡が違うため、意図的に変えたのかと尋ねた。

梅長蘇は「致し方ないとも言える」と答えた。身体が弱ってしまい、かつてのように筆に力が入らないからだった。これを聞いて、何も言えず沈んだ表情になった蒙大統領に梅長蘇が言った。

我还没难过 你难过什么呀
ーなぜあなたが悲しむ？

琅琊榜～麒麟の才子、風雲起こす～第25話
梅長蘇

▼我还没难过(wǒ hái méi nánguò)
一人称の「我」、「还」は「～でさえ」、「没」は後ろの形容詞の否定、「难过」は「苦しい」「辛い」「悲しい」などの意味なので、文前半を直訳調にすると「私でさえ辛く（悲しく）ない」となる。

▼你难过什么呀(nǐ nánguò shénme ya)
二人称の「你」、先ほどの「难过（辛い、悲しい）」、「什么」はここでは形容詞「难过」の直後にあるため、不満や反論の「なにが」である。文末に疑問の語気を表す文末助詞「啊」が、直前の音に影響されて変わった「呀」がつくので、「あなたはなにが辛い（悲しい）のか？」となる。

全体で「私でさえ辛く（悲しく）ないのに、あなたはなにが辛い（悲しい）のか？」と言うことになる。字幕はこの意味をシンプルに表現している。

二人の話は誉王の急な来訪で切り上げさせられ、慌てて蒙大統領は靖王の屋敷とつながる秘密の部屋に隠れた。誉王は巡防営が靖王の手に渡ったことに憤慨し、最近靖王の存在感が朝廷で増していることに危機感を覚えて梅長蘇のところに駆け込んだ来たのだった。

难道殿下没有注意到这是亲王才有的特权吗

勢力を削がれている皇太子を誉王がさらに追い詰めるから、皇帝の不興を買ってしまい、その分靖王を取り立てることで警告を与えているのだという梅長蘇の話に納得して誉王は帰った。

その後、梅長蘇が秘密の部屋に蒙大統領を迎えに行くと靖王も来ていたので、三人は梅長蘇の屋敷に移った。そこで梅長蘇に巡防営の指揮権と親王への冊封の話をされ、靖王は怪訝な顔をする。親王冊封の件は把握していなかったからだ。

しかし、母親の静妃の所へ皇帝に許可を取らずに参内できるようにはなったのではないかと梅長蘇に指摘されるとその通りだと靖王は答えた。これに対し梅長蘇が言った。

难道殿下没有注意到这是亲王才有的特权吗
ー親王の特権だとは気づきませんでした？

琅琊榜～麒麟の才子、風雲起こす～第25話
梅長蘇

▼难道殿下没有注意到～吗
(nándào diànxià méiyǒu zhùyìdào～ma)
「难道～吗」で「まさか～ではあるまい」の意味、「没有」が直後の動詞＋結果補語を否定、「注意」は日本語と同様で「注意する」「気を付ける」「注意を払う」などの意味で、「到」は動作の実現や完成を意味する結果補語である。

▼这是亲王才有的特权
(zhè shì qīnwáng cái yǒu de tèquán)
靖王が何に注意を払っていなかったかは後半の文にある。「这是」で「これは～である」、「亲王」は「親王」、「才」はその後に続く内容に至るまでに紆余曲折あり、「やっと」「ようやく」「～してこそはじめて」などのニュアンスを表す。
「有」は所有の意味で「持つ」、「的」は連体修飾語で日本語で言うところの「～の～」、「特权」は日本語と同じ「特権」である。

全体で直訳調にすると「まさか（靖王）殿下は、これ（静妃の所へ随時参内可能になったこと）が親王こそが持つ特権であると注意していなかったのですか？」となる。

第二十四集終盤から第二十五集冒頭にかけての場面で、静妃の誕生日に思いがけず皇帝、静妃、靖王の親子3人が集まった時に、靖王は①母の恩人の恩赦②巡防営の指揮権、そして③静妃の所へいつでも参内できる許しを皇帝から得られた。

靖王は③の時に一番嬉しそうな顔をしていたのだが、つまり純粋に母親をいつでも訪ねられる、ということしか頭になかったということになる。皇帝もおそらく親王のことは多少念頭に入れているはずなので、そんな息子に気付いているのだろうか・・・・性格が全然似ていないので、猜疑心の強い皇帝には思いもよらないかも。

次回は第二十五集の中で出て来た重要な情報と「🖌今回の気になる単語帳」のみの構成になる予定です。