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相棒ー劇場版Ⅳーは傑作だと改めて思った話

何年も前からテレビ朝日のドラマ『相棒』を放映中はほぼリアルタイムで観つつ、最初の土曜ワイド劇場の回から改めて全部時系列で観ていくということをしている。なぜそんなことをしているかというと『相棒』は割と初期から見ているつもりだが、Season1・2あたりはリアルタイムで観ておらず、色んな設定や過去作で出た情報を網羅して楽しみたいと思ったからだった。

それが現在Season15に到達し、映画版の4作目にたどり着いた。当時映画館でも観たしテレビ放送でも観たがやはり良い。『相棒』関連の映画では私は劇場版Ⅳが最も好きだ。

『相棒』は一連の映画作品、またドラマでもよく取り扱うが、今の日本に対し問題提起をする話が多い。そこに杉下右京という変わり者の天才(でも人間としては存在し得ないほど真っ当)と個性豊かなその相棒や脇役たちのキャラクター、そして彼らが演じる一種の様式化した演出によるエンターテイメント性があって面白い。

『相棒ー劇場版Ⅳー』の場合も当然それらがすべてそろっている。杉下右京や相棒自体の魅力はいろんなところで語られているので、今回はそのような根本的な部分は割愛させていただく。

↓以下感想はネタバレあるので注意↓











この映画の場合、特に言いたいことはマーク・リュウ(天谷克則)のこのセリフに集約されていると私は思っている。

この国は平和を享受し不幸は全て対岸の火事のように眺めている。この国は何一つ変わらない。

相棒ー劇場版Ⅳー
マーク・リュウ(天谷克則)

マーク・リュウ(天谷克則)がテロ未遂事件を起こすに至った思いに、フィクションとはいえ恥じ入る気持ちで涙してしまう。辛い目や理不尽な目にあった人間が悪に染まってしまうのは、良い事ではないがある意味不自然ではない。ところが、この物語の事件の首謀者は一口にそうとは言えない人物だった。

「この国は何一つ変わらない。」と言いつつ、変わってほしくて自分の命だけをかけた。その根底に他者、しかも直接見知らぬ大多数の人々への優しさすらある(ただし目的のために元部下などの犠牲は出したが。本意ではなかったであろうとは思う。)。

多くの日本在住の日本人は、幸いなことにいつ死んでもおかしくない生活はしていない(それでも別の意味で苦しい生活を強いられている人々も少なくはないが)。でもそれゆえに気付けていないこと、忘れている平和のありがたみを教えてくれる映画だ。

山崎哲雄警備局局長はその立場にありながら人の命を軽視し、犯罪組織を率いるマーク・リュウ(天谷克則)の方が命を大切に考えているという皮肉な構図。そしてマーク・リュウ(天谷克則)の意図を理解した上で、彼のような人物が死んではいけないと身体を張って守った右京さん(ちゃんと助かると知っていても毎回撃たれた瞬間に杉下右京ファンの私は泣く)。良い意味での「人間」のドラマがあの場面に集約されている。「あなたは、生きるべきです。」というポスターのキャッチコピーはそういうことだっあ。

大雨などの災害、物価は高騰して家計を圧迫、将来への漠然とした不安、依然として残る各種不平等、安心して生活していけるとは言い切れないが、それでも戦争で命を落とすような環境にはないことに感謝して、せめて日々を丁寧に自分とその周囲が幸せでいられなくなるような選択をしないよう丁寧に生きたいと思った。

そして人より優しい人が、誰よりも割を食うようなことがあってほしくない(本人はそう思ってなくても)。

ちなみにこの映画の「お話」がお好きな方は少々古いですが、この漫画おすすめです。ご興味を持たれた方はぜひ。絶対途中でやめないほうがいいですよ。

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