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ドラマ『琅琊榜』で習いたかった中国語~第十九集①

サブタイトルは「南楚からの客人」。友好国ではない南楚から公主がやって来る回である。


まずはこの回冒頭で正式に蒙大統領が、靖王配下に加わった。第十八集の最後に大みそかの夜に皇宮から下賜される料理を届ける隊が襲われる事件で、免職になった蒙大統領の元部下が靖王府に入ったらしく、おそらく蒙大統領はその様子を見に来たのを口実に、梅長蘇の指示であえて靖王府側の梅長蘇の屋敷に繋がる場所を見つけて、靖王の力になりたいと申し出たのだった。

你觉得誉王如何

皇帝が珍しく靖王の母・静嬪を訪ねた。もともと医女だった静嬪は、疲労の色が見える皇帝を気遣う。皇帝は靖王の話からふいに別の皇子の話を静嬪に振った。

你觉得誉王如何
ーそなたは誉王をどう思う?

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第19話
蕭選

「你」は皇帝から見た静嬪に対する二人称、字幕では「そなた」という目下の相手に対して丁寧な言い方にして高貴な人が発する言葉らしくしている。「觉得」は「~と思う・~のような気がする」と言う意味で、しっかりと考えた意見というより、どう感じるかという軽めの「思う」である。「觉得」の中身は「誉王如何」で、「誉王のことをどのように」である。名詞の後ろに「如何」が付くだけで、その名詞について「どうなのか」という意味になる。

全体で「そなたは誉王についてどう思うか」で、字幕はシンプルで自然なセリフになっている。軽やかな物言いだが、言われた静嬪はおおいに警戒する一言である。皇太子と長年争って来ている分、皇帝が特に寵愛する皇子の一人であり、警戒もしている人物である。寵愛をあまり受けていない皇子の母親としては、立場上迂闊なことは言えない。

你就是性宽,什么都不在意

静嬪が当たり障りなく、そして賢く回答した結果、思うところがあった皇帝が言った。

你就是性宽,什么都不在意
ーそなたは寛容で何事も気に留めぬ

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第19話
蕭選

「你」は先ほどと同じで「そなた」、次の「就」+「是」で続く内容を強調しているか「就是」で続く内容の範囲を限定しているかと思われる。「性」は性格、「宽」はここでは「寛大である」という意味で、「性宽」は「性格が(他の人間と比べて)寛大である」ということになる。中国語は形容詞をそのまま述語にできるが、「宽」の前に「很(とても)」などの程度を表す副詞がつかないので、比較の意味が含まれている。そして「就」+「是」、あるいは「就是」で性格が寛大であることをいずれにしても際立たせることになる。

後半の「什么(不確定な事物を指す「何か」)」+「都(いずれも、全部)」で「何でも」と言う意味になり、否定の「不」と「意に介する」「気に留める」と言う意味の「在意」が続く。「在意」は否定に用いられることが多い言葉である。全体を直訳すると「そなたは(他の人間と比べて)性格が寛大で、何でも意に介さない」となる。皇帝は誉王が朝廷における力を持ってきていることが気になっている自分の性格と比べて静嬪のことを言い、見習わなくては、とまで付け加えた。

結果的に彼女の回答は皇帝に意に沿い、冷遇されていた静嬪は後日「静妃」へと位が上がった。

南楚の公主が登場する場面は次回に。

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