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ドラマ『琅琊榜』で習いたかった中国語~第十五集①

先週は夏バテで投稿できず申し訳なかった。改めて続けます。今回のサブタイトルは「東宮側の攻勢」。第十四集で皇太子側の謝玉が卓鼎風に命じた太監の襲撃に端を発する件だ。

皇太子側の思惑は、更に事を起こし、蒙大統領の信用を失墜させ、皇宮を護衛する禁軍の掌握を狙っているであろうと梅長蘇は考え、蒙大統領を守り誉王の立場を悪くしないため誉王府に向かった。誉王がむやみに蒙大統領のために嘆願してしまうと帝位争いの一環と疑われてしまうからだ。だが既に誉王は秦般弱の(余計な)助言で皇帝に蒙大統領のための嘆願をしてしまっており、梅長蘇は厳しく諫めるのだった。

皇帝は、調査に長けた直属の諜報機関「懸鏡司」の「掌鏡使」に太監襲撃事件の調査を命じた。一名は夏冬で、霓凰郡主の友人である。


蔺晨哥哥办完南楚那边的事情 说不定就要来京城看你了 你是不是很高兴啊

梅長蘇宅へ伝書鳩が報告を運んで来た。南楚という国にいるらしい琅琊閣の主・藺晨(第一集で登場)からであった。報告を読んだ梅長蘇は黎綱に「4月12日までに都入りさせろ」と返事するように指示をした。そういえば第一集の時点で藺晨が飛流に「南楚に行こう」と言っていたので、もはやあの時点で対策を練っていたことになる。伏線がすごい。

飛流は藺晨にあまりにもからかわれるので、藺晨のことが苦手で浮かない顔をしている。そのため、いつも藺晨からの鳩を隠したりしてしまうことがあって困るので黎綱が意地悪を言った。

蔺晨哥哥办完南楚那边的事情 说不定就要来京城看你了 你是不是很高兴啊
ー藺閣主は用を終えたら会いに来るかも 
 うれしいか?

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第15話
黎綱

「蔺晨哥哥」は「藺晨兄さん」で飛流の立場からの呼び方になっている。「办」が「する、やる、処理する」などの意味で、結果補語「完」が直後について「やり終える」という意味になる。「南楚」はこの物語に出て来る国名の一つ、「那边」は「あちら、あそこ」の意味だが、名詞の直後について「向こうの方」というニュアンスが加わる時があるようだ。そのため「南楚那边」は「南楚の方」ということになる。そして連体修飾語の「的」を挟み、「事情(事、仕事、用事などの意味)」と続くので「南楚の方の仕事(用事)」という意味になる。

「说不定」は「ひょっとしたら~かもしれない」で、「就要」は文末の「了」を伴って「まもなく」、残る「来京城看你」は連動文で「来京城」は「都に来る」、「看你」はここでは「君に会う、君を訪ねる」の意味である。

全体で「藺晨兄さんは南楚の方の仕事をやり終えたら、ひょっとしたらまもなく君(飛流)に会いに都へ来るかもしれない」になる。字幕の方がシンプルでわかりやすい。

その後の「你是不是很高兴啊」は反復疑問文だが、通常「你很高兴啊」だけで文章は成立する。「很」+「高兴」で「嬉しい」という意味で、「很」は「とても」という意味だが、強調して発音しなければ訳出せず形容詞に添えるだけの語である。最後に「啊」という疑問の語気の文末助詞で「君は嬉しいか?」という文章だ。

でも形容詞を目的語に取り、肯定を強調する役割の「是」が入り、それの肯定形と否定形を合わせた反復疑問文化すると話者の積極的な態度が滲んでくる。飛流が藺晨のことがイヤなのをわかっていて「嬉しいよな?そうだよな?」と言う黎綱の意地悪さが透けて見える。

ここまで大人げないことをするのは、きっとそれだけ飛流が今まで藺晨からの伝書鳩に何かしてきていて業務に支障をきたしていたんだろうな。梅長蘇と蒙大統領のところに行くことになって飛流は機嫌を直したのだった。

東宮側が仕掛けて来るであろうことについて、誉王と皇后は備えていたが後宮に火を放たれ、皇后は叱責を受けてしまった。一方梅長蘇は謝玉を倒すため着々と準備を進めている。続きは次回に。

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